残照

ボクノシモベ

残照

「やあ、久しぶり。よく来たね。」と変わらぬ声で伯父が言った。


実際、最後に会ったのは半年ほど前だろう。


伯父の百寿の誕生パーティーだったが、こちらは地方都市住まいの上、両親のサポートをしてると簡単に上京とはいかない。


しかし、私とこの伯父は昔から不思議と気が合う。


向こうからは昭和の初めに起きた事を伺って、こちらは出回り始めたばかりのパソコンの使い方を教えると言う、教え教えられの関係だったからかもしれない。


2.26事件の日の出来事と、インターネット黎明期の人力検索エンジンの使い方のどちらが興味深いか、人によって違うだろうが、どちらも得難い体験だったのだと思う。


私がそこまで老いるかはわからないが、老いるならば、このような残照と思えるような歳の取り方をしたいと素直に思った。

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残照 ボクノシモベ @bokunosimobe

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