【完結】種子島からやって来た、訛りまでもが可愛い過ぎる美少女。満月の夜にはサキュバスに変身して俺のことを身も心も誘惑してくるんです

財宝りのか

第1話 超絶美少女転校生の訛りがひどい

 教室の扉が開いた瞬間、時が止まったかと思った。


 入ってきたのは、この世のものとは思えないほどの美少女。艶やかな黒髪が腰まで流れ、大きな瞳は宝石のように輝いている。制服のブレザーは彼女の豊満な胸を包みきれず、今にもボタンが弾けそうだ。スカートから伸びる白い脚は、モデルのように長くしなやかで、黒いニーソックスとの境界線——いわゆる絶対領域が眩しい。


 教室中の男子の視線が吸い寄せられ、女子たちも嫉妬と羨望の混じった眼差しを向けている。窓から差し込む朝日が彼女を照らし、まるで天使の後光のようだった。アイドル?女優?いや、そんなレベルじゃない。二次元から飛び出してきたような、完璧すぎる美少女が、俺たちの教室に立っていた。


「えー、今日から転校してきた和泉さんです。みんな仲良くしてください」


 担任の紹介に、クラス中がざわめく。特に男子たちの興奮は隠しきれない。「マジかよ」「天使じゃん」「告白する」なんて声があちこちから聞こえてくる。


 そして、その美少女がゆっくりと口を開いた。


 薄紅色の唇が、まるでスローモーションのように動く。小さく形の良い口元から、きっと天使のような甘い声が聞こえてくるんだろう。クラス中が息を呑んで、彼女の第一声を待っている。俺も含めて、全員が期待に胸を膨らませていた。


「わ、わいの名前は和泉はるかち言いもす。種子島ちゅう鹿児島ん離島から転校してきもした。東京に来っとは初めてじゃっで、ほんのこて緊張しちょっとです。慣れんこつばっかいじゃっどん、皆様方にいろいろ教えてもらえたら嬉しかとです。よろしゅうお願い申し上げもす」


 教室が凍りついた...


 これが、私立聖ヶ丘学園高等部2年3組における、俺——結城陽太と和泉はるかの出会いだった。


 和泉はるかの登場は、俺の平凡な日常に突如現れた、美しくも理解不能な嵐のようなものだった。まさかこの出会いが、俺の人生を180度変えることになるなんて、この時は想像もしていなかった。


 ***


 放課後、俺は部活もない帰宅部なので、いつものように一人で帰ろうとしていた。校門を出て、なんとなく東京駅方面へ足を向ける。新作のラノベを買いに行こうと思っていたんだ。


 東京駅に着いて、ふと改札付近を見ると——あの転校生が立ち尽くしていた。


 和泉はるかさん。朝の自己紹介のインパクトが強すぎて、顔は完璧に覚えている。きょろきょろと辺りを見回し、今にも泣きだしそうな顔をしている。


 夕方のラッシュアワー、東京駅は地獄のような混雑だった。スーツ姿のサラリーマンたちが疲れた顔で足早に歩いていく。彼女は人波に押され、流されるようによろよろと動いている。


「すみません、邪魔です」


 イライラした声と共に、中年のサラリーマンが彼女の肩をぶつけて通り過ぎる。


 俺は声をかけるべきか迷った。正直、関わるのは面倒くさい。でも——


「和泉さん?」


 彼女は驚いたように振り返り、俺を見た瞬間、大粒の涙がぽろぽろとこぼれ始めた。


「わい...東京は怖かとです...人が多すぎて...どこに行けばよかか分からんとです...」


「えっと、どこに行きたかったの?」


「東京の...夜景が見たかったとです..種子島には高かビルは存在しちょらんで...」


 夜景?俺は少し考えて、「それなら、案内するよ」と言ってしまった。


 ***


 山手線のホームは、想像を絶する混雑だった。


「次は新橋〜、新橋〜」


 アナウンスと共にドアが開くと、人の津波が押し寄せてきた。俺と和泉さんは、否応なく車内に押し込まれる。


「きゃっ!」


 彼女の小さな悲鳴。満員電車なんて、種子島にはないだろう。


 俺は彼女を守ろうと、必死に壁際のスペースを確保した。でも、次の瞬間、後ろから押し込んでくる乗客の圧力で、俺は彼女に押し付けられる形になってしまった。


 彼女の豊満な胸が、俺の胸板にぴったりと密着する。制服越しでも分かる、信じられないほどの柔らかさ。顔が一気に熱くなった。


「ご、ごめん...」


 謝ろうとしたが、電車が動き出した振動で、さらに体が密着してしまう。彼女の髪からココナッツのような南国の甘い香りが漂ってくる。首筋にはうっすらと汗が光っていて、なぜか目が離せない。


 彼女の息遣いが、俺の首にかかる。温かくて、少し震えている。俺の心臓は、もう限界まで早鐘を打っていた。


「あの...苦しくない?」


 精一杯の優しさで聞いてみる。


「だ、大丈夫とです...」


 彼女が顔を上げた。至近距離で目が合う。大きな瞳に、俺の顔が映っている。唇が、触れそうなくらい近い。


 電車が急カーブを曲がり、遠心力で彼女の体重が俺にかかる。太ももが触れ、手が偶然絡まった。





【お礼】


 ここまでお読みくださった方、本当にありがとうございます。


 正直、種子島弁は甘い部分はあると思いますが、雰囲気ということでどうかご容赦ください!


 よろしければ評価☆☆☆や感想、ブックマーク、応援♡などいただけるとさらに嬉しいです!


 これからも続けていけるよう、頑張っていきます。どうぞよろしくお願いします!

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