早坂のキッチン
403μぐらむ
今夜のご飯は。
「早坂くん。ちょっといいかな?」
昼飯を何処で食おうかと思案していたら課長の尾坂に呼ばれる。仕事をしないで飯のことを考えていたのがバレたか?
「はい。なにか御用でしょうか?」
「ええと、忙しいところ申し訳ないのだがこの案件が明日までに見積もりの提出なんだ。今日中になんとか形にしてくれないか?」
見せられた書類は後輩だった下垂が担当していた案件だった。
下垂は今朝、退職代行サービスを使って退職を申し入れしてきて、本人の希望通り本日付けて退職となった男だった。
うちの会社はブラックではないし、どちらかというとホワイト寄りで社内の風通しも悪くない。それなのに彼が退職代行サービスで退職の意を伝えてきたということで朝からちょっとした話題になっていた。
仕事は人任せ、責任は他人に押し付ける、約束は守らない。しかも女にもだらしないと言うのが下垂だったので、当然ながら社内の評判はいいはずもなく彼の退職は俺の知る限り歓迎されていた。
「辞めてまで他人任せですか……。これだけ迷惑かけるとかある種の才能ですね」
「本当に申し訳ない。頼めるのが早坂くんしかいないんだ。よろしくお願いする」
課長には特別ボーナスを貰うことで、仕方なくその仕事を引き受けることにした。まさかヤツの尻拭いが俺のところに来るとはまったく考えてもいなかったよ。
「ねえ、残業なの?」
「そ。見ればわかるでしょ?」
誰もいなくなったオフィスにいつの間にか彼女がいることに少し驚いたが、そんなものおくびにも出さない。
「それってあのゲスイの仕事なんでしょ。そんなの放っておいてもいいじゃない」
「
これだけは事実だし、俺ができることならば協力は惜しまないつもりだった。
「でもそれは
「これこれ、会社でその呼び方は止めなさい。あとね、課長からの特別ボーナスがあるんだよ。それが一番だな」
さっきから仕事の邪魔をしてくるのは、営業3課に所属している我が社のトップクラス営業の
「ねえ、ちょっと。あなたのところの課長って」
「そうだね。尾坂課長だよ。ご実家があれの」
ちなみに課長からの特別ボーナスは現金などではなく、課長のご実家の山で採れる松茸と栗を分けてもらうってことで手を打っている。
「やった。今年の秋は豪華なごちそうにありつけるってわけね」
「そゆこと。俺が頑張るのもわかるだろ?」
まだ夏前なので、だいぶ先の話ではあるが楽しみなのは間違いない。
さて、あと少し掛かりそうなので仕事に戻るとしようか。
「終わるまで待っているね」
「いや、先に帰っていいよ。まだもう少しかかるし」
「せっかくなのに?」
「何がどう、せっかくなのかわからんが、今日はご飯炊いていないんだ。炊いておいてくれないか?」
「! わかった、やっておく。早く帰ってね、あ、な、た」
だから会社で余計なことは言わなくていいんだって。それだけ言うと依鈴はスキップするように帰っていった。
「やれやれ。今夜は夕飯何にするか決めてなかったんだよな……。ってそれよりも仕事、仕事」
依鈴と俺は同じ敷地内に住んでいるが、恋人同士でもないし同棲だってしているわけではない。
同一敷地内に建っている1号棟に依鈴が、2号棟に俺が住んでいるというだけ。これは単に偶然だった。
会社からの距離や住環境などを勘案したらそうなっただけ。あいつと考え方が似ているって言うこともあるのだろうが、そういう事言うとあいつは図に乗るので言ったことはない。
本を正せば、依鈴との関係は高校生の頃まで遡る。
彼女とは2年3年と同じクラスで、それなりに仲が良かった。馬鹿なこともやったし、しっかりと青春していたと思う。ただし、恋愛方面では一切そういう感情を持った記憶がない。
それから数年後、入社式の新入社員挨拶の場面で彼女と再会するとはこれっぽっちも思っていなかった。依鈴は堂々と壇上で俺達の代表として挨拶していたのには目が点になる以外なかった。
それから紆余曲折があって、昔のように、昔以上に親密な関係にはなったが会社の連中にはこのことは一切漏らしていない。
人事総務課に提出している自宅住所の表記だって、依鈴の番地の書き方は『3−6−1−507』だけど、俺の場合は『3−6 レジデンスコート2号棟607号室』としてあるので一見して同じ敷地に住んでいることはわからないと思う。
もっとも美人でスタイルもよく性格だって素晴らしいエリートが、俺みたいなやつのところに毎晩のようにやってくるほど仲が良いなんて誰も想像しないだろうけど。
最初は低頻度で休日に一緒に出かける程度だった。ふたりとも地方からの上京民なので、友人らしい友人がいなかったっていうのもある。
それが次第に互いの部屋を行き来するようになって、いつの間にか依鈴が俺部屋の合鍵を持つようになり、今や2つある俺んちの部屋の片方には依鈴の私物が大量に置いてあるところまできていたり……。
要するに友達以上恋人未満のような感じになっているというわけ。だって互いに告白とかそういうのはした覚えは一切合切ないのだから。
「終わった」
社内チャットで、課長あてにファイルをメッセージとともに投稿してからパソコンの電源を落とす。
「買い物して帰れば、ちょうど飯が炊きあがっている頃になるな」
あまり遅い時間にならず仕事を終わらすことができた。とはいえ、今から帰ればそれなりに遅いのには変わりはない。
「手早くできる料理、か」
いくつかは頭に浮かぶが、ほとんどの材料が自宅にないのでスーパーの品揃え次第になりそうだ。
「おかえり!」
「ただいま」
別に一緒に住んでいるわけじゃないのにこの挨拶が普通にできてしまうのはいろいろ俺も毒されているってことだろう。
「ただいまのチューは?」
「しないって」
「もうっ、いじわる」
「いじわるって……」
このやり取りも毎度のことなので、軽くスルーしておけばいい。スーパーで買ってきた食材は依鈴に渡して着替えを先にする。
「今夜のご飯はなんだろうなー」
「大したものはできないけど、一生懸命作りますのでご賞味くださいませ」
「やったね! ご賞味するのでよろしくお願いします」
「おけ。まず一品は今朝作っておいた出汁トマトね」
これは路地物が出回っていたので買った大ぶりのトマトを湯剥きしてだし汁につけておいたものだ。朝から仕込んでおいたので、中までしっかりと味が染み込んでいるに違いない。
「おー見るからに美味しそうだ」
次は冬瓜のそぼろ煮を作る。スーパーで1/4カットの冬瓜が処分価格で売っていたのを買ってきた。冬瓜って美味しいけど、二人で食べるのは1/2でも大きすぎるのでちょうど良かった。
鍋に沸かした湯にカットした冬瓜を投入する。冬瓜を茹でている間にひき肉も隣のコンロのフライパンで炒めていくことにする。
塩少々にだし汁、料理酒、砂糖を入れて更に煮炒め、茹で上がった冬瓜もそこに入れていく。
「塩味がもう少しほしいな。ちょっと醤油も入れておくか」
最後に片栗粉でとろみを付けたら出来上がり。
二品できたが、両方ともあっさり味なので一つくらいは濃い目の味付けのものがほしい。
「アスパラガスでなにか……」
太くてみずみずしいものがスーパーで手に入った。冷蔵庫には確かバラ肉が余っていたはず。
「ならば肉巻きアスパラで決まりだろ」
アスパラを下茹でする。さっきの冬瓜と一緒にやっとけばよかったと後悔するが今更遅かった。
豚バラ肉に片栗粉をまぶして、下茹でしたアスパラにくるくると巻き付けていく。
ぐっと握って巻き付けてしまえばバラけることもないだろう。バラ肉なのにバラけないとは如何に……。
「お腹すいたぁーくだらないダジャレはいらないのでご飯お願いします〜」
「焼いてタレに絡めるだけだからもうすぐです……」
聞こえているとは思わなかったので少し恥ずかしい。
こんがり焼きめがついたら、醤油、みりん、酒、砂糖で作ったタレを絡ませる。とろみが付くまで煮詰めるけど、焦がしたら台無しなのでここは慎重に。
「ほれ、出来上がり。味噌汁はインスタントでゴメンな」
「はいはい。全然問題ないよー」
「「いただきます」」
「トマト、うんまい。ただ漬け置いただけとは思えない美味さ」
「だろ? これからの季節はトマトがうまいぞ」
「ねえ、冬瓜のこれご飯に掛けちゃってもいい?」
「どうぞ、好きなように食べてくれ。うちの中なんだから多少のお行儀の悪さなんて気にするんな」
「アスパラホクホク〜 濃い味付けもたまんないよー」
「だろ? ご飯のおかわりはいるか?」
明日の仕事にも活力が出るようなものを食べられて良かった。
「今年は早くも梅雨が明けたそうよ」
「ふーん。通りで太陽の光が強いわけだ」
「そんなこと言って出社したあと今まで一度も外出していないでしょ?」
「バレたか」
今日はいつになく忙しくて、朝からずっとデスクに向き合いっぱなしだった。おい、なんでそんなこと他部署の依鈴が知っているんだ?
「臣くんのことは、何でもお見通しなんですよっ」
「だから会社ではそう呼ぶなって」
「いいではないかぁ〜 フロアにはわたしと臣くんしか残ってないよ?」
うーむ。そう言われると1時間ほど前に尾坂課長がお先にって言って帰っていった気がする。
忙しいことは忙しいが、納期はまだ先なので今日はこれで終わりにしよう。
「依鈴って最近完全に直行してくるよな」
「いいじゃない。どうせ自分ちに帰ってもこっちに来るのは変わらないんだし」
依鈴の住む部屋は俺の住む部屋の向かいにある1号棟なのだが、その1号棟にある自分の部屋に一切寄らず俺の部屋へ彼女は会社から直接やってくる。
まるで同棲しているようだけど、そのような事実は一つもない。
部屋に入ると依鈴は俺からスーツの上着を受け取り、ハンガーに掛けていく。ネクタイも然り。
最初のうちは自分で片付けると遠慮していたのだけど、毎度毎度やられていくうちにそうするのが当たり前のようになってしまっている。
これもまた既成事実というやつなのだろうか。
彼女は俺が寝室として使っている方ではない部屋に入っていき、暫くすると部屋着で出てくる。知らないうちに俺の部屋に彼女の衣類まで準備されていたのだが抗議しても無駄な気がしたので見ないふりをしている。
「今日のご飯は何?」
「ん〜、今日は丸一日デスクに齧りつきっぱなしで疲れたから簡単なものにするよ」
冷蔵庫には、実家から送られてきたサワラの味噌漬けが冷凍されてある。このサワラは父が自ら釣ってきて味噌に漬けたというものらしい。
しかも西京味噌と普通の米味噌の食べ比べができるように両方で作ってあるもの。
春の終わり頃釣りに行ってメーター近いサワラを釣ったとのことで調理しては各方面に送ったみたい。ちなみにうちには西京味噌と米味噌の3切れずつだった。大量に送ってこないのは父の理性のおかげか?
一応送られてきた直後に2切れずつは食べて父へ感想も言ってある。残った1切れずつは2ヶ月ほど冷凍庫で眠っていただいていたが、多分問題はないだろう。
「あ、これまだ残っていたんだ」
「そ、依鈴はどっちがいい?」
「いや、ここはふたりで半分こでしょう」
「それもそうか」
魚焼きグリルで焼くのが王道なのかもしれないが、後でグリルを洗うのが面倒なので俺は魚をフライパンで焼くことにしている。
「それ、私が焼くよ」
「ん。頼む」
依鈴がエプロンを付けて焼き作業を代わってくれる。このエプロンもいつの間にか我が家に置いてあった。黒い柄模様のと色違いの白色の柄模様のおそろいのやつ。
ならばと俺は副菜と味噌汁を作ることにした。
味噌汁は豆腐とわかめでいいだろう。手を加えようとするとどこまでも終わりが見えなくなるからな。今日のところはシンプルが一番良さげだ。
あとは夏野菜の代表格のきゅうりを使った一品でいいだろう。ほんとここまで手抜きだと料理と言えないような気がするやつを作ることにした。
「きゅうりが一本とごま油に鶏ガラスープっと」
きゅうりは乱切りにしてそこにごま油を垂らし、鶏ガラスープの素をパラパラとふりかけて菜箸で混ぜるだけ。最後にゴマすり器からすりゴマを振りかけりゃ出来上がり。
簡単だけど美味いので毎夏しょっちゅう作るレシピになる。
「ねえ、茄子もあるよ」
依鈴が冷蔵庫から茄子を発掘した。一昨日、郊外の取引先に行った際、そこの社長に土産として袋いっぱいの家庭菜園の茄子を頂いたんだっけ。
「じゃあ、ひき肉が残っているか見てくれる? 冷凍庫の方なんだけど」
「あるよー」
茄子を程よく消費するには毎日食べるしかないけど、思いつくのは焼きナス、揚げナスくらい。あとは普通に炒めるくらいしか思いつかない。と、いうことで今回は麻婆茄子風にしてみようと思う。
なんで風かというと、茄子以外の野菜が一切ないから。よく入っているピーマンとか人参などの手持ちがないんだ。味付けは麻婆茄子だけど具は茄子とひき肉のみ。なので風ってこと。
「なんか、漫画でも小説でも私達みたいな関係の物語ってよくあるじゃない? そういうのだともっとオシャレなご飯が出てくると思うんだけど」
「現実なんてこんなもんだよ。嫌なら食わなくていいから」
「いえ、いただきます。いただかせてください」
「うむ、苦しゅうない」
そんなくだらない会話をしている間に料理は出来上がる。今日は本当に手間のかからない料理しかしていない。
サワラ味噌漬け2種にきゅうりのなんか和えたやつと茄子の麻婆風。あと味噌汁な。毎日の料理なんだから凝ったものばかりなんて絶対に無理だからさ。
「「いただきます」」
「美味しい!」
「当たり前だろ。適当に作っても美味いものしか作らないよ」
「おお、さすがですな。臣くん」
なんだか酒の肴みたいだったので思わずカシュッとやってしまう平日の夜。
「あー臣くんだけずるい! わたしにも頂戴よ」
「勝手に冷蔵庫から取ればいいだろ? 中のもの、口にしちゃだめだなんて言ったことないぞ」
「ん、じゃぁ勝手にもらうね」
そう言うと依鈴は奥の方に隠してあったプレミアムなビールをカシュッとやりやがった。
「おま、それ」
「ダメじゃないんでしょ?」
「むう」
「ゲリラ豪雨ってやつですかね」
「だろうね。困ったものだよ……。停電はまだ復旧してこないのか?」
梅雨が明けたらいきなり夏本番になった。連日、焦げるのではないかと思う気温にすでに夏バテ気味の同僚もちらほら見かける。
「でもまあ課長。停電の前に情シスからデスクトップパソコンの電源を落とせって司令が来ていて助かったじゃないですか」
「確かにな。いきなりズドンじゃ、今頃泣いているかもしれないしね」
電気がないのでパソコンも使えないし、照明も消えているので書類仕事と言っても手元が暗すぎて何もできない。今日は終業時刻までこのままかもしれないな。
「早坂くん、仕事の方は順調?」
「はい、お陰様で今日中にやらなければいけないことはすべて済んでいます」
「では、今夜も夜波くんと一緒に夕食かね?」
「はい。えっ?」
会社では、依鈴との関係は同期の同僚であること以外バラしていないはずなんだけど。課長……何者?
「いやね、先日キミらがスーパーマーケットで仲良く食材を吟味しているのを見かけてしまってね。ちょっとカマかけてみたのだよ。そうか、二人はそういう仲だったのか」
「いや……仲はいいですけど、課長の考えているような仲ではないような気がします」
「そうかね? まあ、それはそれで。今日も定時で上がっていいからね」
「ありがとうございます」
「――ということが今日、あったんだ」
「あれま。つまり課長さんにはわたし達の関係が知られるところになったというわけね」
「平たく言うとバレたってやつだな」
「いいんじゃない、別に悪いことをしているわけでもないし」
課長に知られたってことは他の誰かにも知られる可能性はゼロじゃないってことだろう。
社内でも1、2を争う美貌の主と俺みたいなイチ平社員が仲良くしているなんて知られたら面倒じゃないだろうか。
羨望程度なら構わないが、嫉妬だったり蔑みだったりを食らったらこっちも平常心ではいられない。
「どうして臣くんがそんな見方をされないといけないの?」
「俺みたいなのと依鈴が釣り合わないって思っているやつは多いと思うよ」
「そうかな。臣くん今度主任に昇進するよね? 同期の中じゃ一番じゃん。すごい人だと思うけど」
「男の中には未だにそういう子供っぽい考えを持つ奴らがいるんだよ。夜波さんみたいにかわいい子の隣にあんなやつがいるなんて許せない、みたいに」
「臣くん、わたしのことかわいいって思ってくれているんだ」
「い、今はそういうのは関係ないだろ……」
俺が依鈴のことをキレイだし可愛いと思うのは今に始まったことじゃないし、そもそもそんなのは事実なのだから俺の主観なんて入る余地はない。
「でもそれって、嫉妬している人は自分でもわたしを手に入れることができるのにみたいに考えているのかしら。手に入らない前提なら嫉妬なんてそもそもしないよね?」
「まあ、ワンチャンあるって思っているから、自分こそがふさわしい的に思うのかもしれないけど」
さすがに社内に病的なほどまで嫉妬深いやつはいないと思うし、そういう現場に鉢合わせたことは一度もないので断言を避けたいところだが。
「ふーん。じゃあ、そのチャンスを捻り潰しちゃえばもう文句は出ないよね」
「捻り潰す? どうやって」
依鈴は悪巧みをしているようなニヤリ顔をして俺の目を覗き込んでくる。いったい何をやらかすつもりなのだろう。
「わたしはさ、臣くんのことがだーい好きなんだけど、臣くんはわたしのこと嫌い?」
「え? なっ!? 何をいきなり……」
「嫌いなの?」
「そ、そんなことはないよ。嫌いだったら一緒にいることなんかないし、ましてや毎日ご飯を共にするなんてありえない」
「だよねー。つまりは臣くんも私のことが好き、でいいよね?」
いきなりの告白に面食らうがここで嘘を言う理由もないので、大きく頷くことにする。間違いなく俺は依鈴のことが好きだ。
「じゃ、結婚しちゃおうよ。そうすれば、有象無象のヤキモチ焼きさんもぶっ潰すことできるよね。ヒトのものになっちゃえばもう絶対に手になんか入らなくなるし」
「けっ、結婚!?」
「え? 嫌なの」
「嫌じゃないけど、依鈴はそれでいいのか?」
「うーん、どちらかと言うとそっちじゃなきゃ嫌かな。臣くんとはずっと一緒にいたいし、家族になりたい」
彼女の胃袋は確実に掴んでいた気がしたけど、いつの間にかその心までをも俺はガッチリ掴んでいたらしい。
「ということで、結婚しましたの事後報告になります」
「早坂くんは、相変わらずだけど仕事が早いねぇ。感心するよ」
「ははは、恐れ入ります」
「でも、今日は男性社員の大半は仕事にならないかもしれんな……早坂くん、フォローよろしく頼むね」
やれやれ。今日の夕飯は何にするか考えながら今日を乗り切ろう……。
早坂のキッチン 403μぐらむ @155
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