第3話 パパは涙がでそうだよ…

 スタッフを呼びます。


 僕達家族は2種のサンドイッチにポテトフライ、フライドチキン、そして…そして…


 僕は…


 シンガポールのタイガービールを注文します。


 娘たちはアイスコーヒーを頼んでいました。



「プール冷たくなくてちょうどよかった…」

「深さも普通だし…」

「夜になったら向こうに夜景が見えるんだね…」


 西向きのそのプールは夕日も綺麗だそうです…


 スタッフが僕等の注文を運んできました。


 ついについにこの時が…


 よく冷えたシンガポールのタイガービール…


 なんか…

 なんかね…

 感動です。


「パパは涙がでそうだよ…」

 オーバーな表現でなくそう思いました。


「みんなのおかげだよ、りほは勉強がんばって薬科大の5年までストレートできて、ママは薬局がんばって…」


「パパも薬局や家族のこと頑張っているよ! 」


「うん…」


 奥さんがさらに…

「じゃあ、乾杯しよう! 」

「かんぱーい! 」


 紙ではなくちゃんとしたグラスです。

 タイガービール…


 口当たりが好きです。

 黄金の液体に泡がはじけ、その向こうにプールとシンガポールのビル群が見えます。


「憧れのマリーナベイ・サンズに宿泊する」

「屋上プールに入る」

「プールサイドでビールを飲む」


 ひとつ夢がかなった瞬間でした。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る