08 美咲と有希(ゲームの説明)

 透水がやってるメテオラ・オンユニバースというゲームを、軽部と一緒に初めてみることにしたよ。メテオラシリーズは通っていなかったんだけど、最近ガンダムシードを見たから、始めるには良い機会だね。



「軽部はロボットアニメなにが好き?」

「ファフナー」



 軽部はたまに、わたしの知らないことを知っている。ファフナーを調べてみると、ガンダムシードと絵が似ていた。同じ人がキャラクターデザインを担当しているみたいだ。


 チュートリアルをクリアしたわたしたちは、さっそくノーマルマッチに参加した。もちろんランクをしたかったんだけど、アカウントが15レベルになるまでランクは開放されていなかった。



「ロールなににする?」

「わたしはミッドライナーでしょ。真ん中だし。軽部は?」

「うーん。ADCかな」



 ADCはアタックダメージキャリーの略称で、要するに、相手をキルするために、すごくいっぱいダメージを出す役割だ。有希はFPSゲームが得意だから、ADCが似合っていると思う。


 ミッドを選択して待っていると、10秒くらいですぐにマッチングする。流石は大人気ゲームだ。わたしは最近マッチングに20分かかる過疎っているゲームをしていたから、マッチングが速いのはストレスがなくて新鮮だね。


 マッチングするとメテオラのバンピック画面になる。わたしたちは青宇宙チームになった。まずは青宇宙チームと、赤宇宙チームで交互にバンするメテオラを選択していく。バンが終了したので、今度はピックするメテオラを交互に決める。



「わたしは【ロマンチックウォリアー】にしようかな」

「じゃー、この【ウィンクス】ってやつで」



 ロマンチックウォリアーは、ロングソードを使って戦う勇者のような見た目のメテオラだ。わたしにピッタリのメテオラだと思うので、ロマンチックウォリアーを選択してゲームを開始する。


 ゲームが始まると、自陣の戦艦ハルケーに五体のメテオラが出現した。もちろん、その五体は青宇宙チームの五体のメテオラだ。


 ネオユニバース・コアというのが両陣営にあって、それを壊したチームの勝ち。



「なんでネオユニバース・コアを破壊したら勝ちなの?」

「それはね」



 わたしが質問すると、軽部が答えてくれる。軽部はメテオラ・オンユニバースの配信をよく見ているから、基本的なことがいくつか分かるみたい。プレイ自体は初めてみたいだけどね。


 ネオユニバース・コアからは、ボールと呼ばれる、将棋でいうところの歩のようなやつらが、ぶわーっと出撃をしている。今も、前衛後衛合わせて六体のボールが新たに生まれていた。


 ネオユニバース・コアから生み出されたボールは、上と真ん中と下、三つのラインをとことこと進んで、相手のボールとラインの真ん中でぶつかり、ボコボコと殴り合いをしている。


 実はこのゲーム、わたしたちプレイヤーが何もしなくても、ボール同士が勝手に相手のネオユニバース・コアの破壊を目指して戦っているのだ。プレイヤーはそれぞれのラインに赴いて、ボールの戦いの手伝いをするというのが、このゲームの基本らしい。


 というわけで、ロマンチックウォリアーを操作してミットラインを進んでいくと相手のミッドライナーが姿を現す。とりあえず、お互いに牽制し合いながら、ボールを攻撃してお金と、経験値を集めていく。ボールからお金を得るには、キルのラストヒットが必要なので、集中してタイミングよく左クリックをしていく。


 相手のミッドライナーに攻撃できるときは、チクチクと削っていくと、明らかにキルラインに到達している体力の相手が、ロマンチックウォリアーのスキルの射程内に入ってくる。



「なめすぎ!」



 スキルを発動して、相手ミッドラインのソロキルに成功する。そのまま敵のボールを倒して、味方のボールと一緒にスターの下まで進軍。スターをぺちぺちと殴りながら、相手が復活してくる前に、再出撃をする。戻った先に戦艦ハルケーで、オススメに表示されるジャンクを購入。強くなって、またラインに向かう。



「ふふチョロいね。これの繰り返しでいいの?」

「基本的には完璧だよ。あとはドラゴン前の動きとかあるんだけど、それはおいおい」



 ラインに戻ると、相手のミッドライナーも復活してきていた。でも、一キル入ってスターも殴り、大量のお金を獲得したことで、このユニバースのなかで最強になったわたしのロマンチックウォリアーに勝てるはずがない。



「透水よりもわたしの方が先にプロゲーマーになったりして!」

「気を付けないと負けちゃうよ」

「大丈夫大丈夫。わたしのロマンチックウォリアーは最強だよ。それこそ2対1でもない限りは、負けることはないわ」

「……あ」

「え?」


 軽部の呟きが聞こえたころには、もうわたしの画面は真っ青になってビリビリと震えていた。敵のデブリプレイヤーが、わたしのラインに奇襲をしかけてきたのだ。油断していたわたしは、綺麗にスタンを決められてしまった。


 動けないロマンチックウォリアーのことを、それこそ2対1でタコ殴りにしてくる。何もできないまま体力が削られていき、ようやく動けるようになったころには瀕死で、最後の抵抗としてスキルを発動するが、それも虚しく、大破させられてしまう。



「……味方のデブリは何をしていたの」

「トップに顔出してるね」

「わたしがレーンで有利を取ったんだから、ミッドラインを活かしてゲームを組み立てたらいいじゃん。何やってるんだよ。あれなのかな? トップラインの人と仲良かったのかな? わたしたちみたいに、さ!」



 一キルとられただけなのに、沸騰するような気持ちになる。

 なんて恐ろしいゲームなのだろう。



「美咲、落ち着いて。体力がもたないよ」

「……このゲーム、完全に理解した」



 ここまでの攻防だけで、メテオラ・オンユニバースを完全に理解する。

 そして、このゲームには必勝法があった。



「これ、わたしが五人いたら勝てるゲームだ」


 



 


 


 

 


 


 


 

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