一章六話 南門の戦い

ホルス【ついたぜ皆!】

三人は馬車を飛び降り市庁所の南門を前にする

南門の前には騎士は一人もいないように見えた

暴徒【騎士がいねーぞ今がチャンスだ】

次々と馬車から飛び降りた暴徒たちが市庁所に突撃していく

一番前を走っていた暴徒が門に触れようとした瞬間そいつは真上から落ちてきた

黒い鉄の塊に潰され血の付いた赤い砂埃が舞った

さらに2番目に前を走っていた暴徒は勢いよく切り飛ばされ後ろを走る暴徒ごと

門から引き離された

暴徒たちが動きを止め少しずつ砂埃が去ると謎の塊が正体を現した

謎の塊の正体は漆黒の鎧を装備し圧倒的な威圧感を誇る大剣を担いだ騎士だった

ロブ【う…嘘だろまさか屋上から飛び降りてきたのか】

アーサー【すぐに死ぬお前らに必要あるかは分からんが一応名乗っておいてやろう

     俺は上級騎士アーサー・ペンタルゴン…俺が相手とは不運だったな】

暴徒【じょ…上級騎士だからって一人で勝てるとでも思ったかー!】

一気に襲い掛かる暴徒には目もくれずアーサーは天上の星々に向かって詠唱を始めた

アーサー【天地を守護する四大天使よ…今俺に目の前の悪を打ち倒せる

     断罪の加護を与えてくれー!】と詠唱を唱えた

頭上に掲げた漆黒の大剣が黄金に光輝いていく

そして剣先を地面につけ腰を低くした

リリスとザマエルは次に繰り出される攻撃を予測して左右に飛び逃げた

ロブ【何だ何かやばい攻撃でも来るのか?俺は取り合えず後ろに引けばいいか?】

アーサーは後ろに剣を引き全力を大剣に込めて大きく薙ぎ払った

空を裂くような音が聞こえた瞬間黄金の斬撃が暴徒たちを襲った

暴徒たちは風に飛ばされる砂のように高く吹き飛び血の雨が舞った

ロブは吹き飛ばされた暴徒に跳ね飛ばされアーサーから大きく距離を離された

アーサー【……クロス斬り!】

アーサーは薙ぎ払った剣を今度は地から天へと振り上げた

次の斬撃は扇状ではなく縦一直線に舞い上がった暴徒を切り裂いていく

切られ吹き飛んだ肉片がザマエルの顔面に直撃してザマエルは尻もちをついた

ザマエル【ッ……あ…な何人死んだんだ20いや30か?……】

暴徒【勝てるわけねー勝てるわけねーよこんなの!】

暴徒たちは水を流され逃げ惑う蟻のように市庁所から逃げだした

騎士【今だ撃て!】

まるでこの時を待っていたかのように屋上から姿を現した無数の騎士が

手に持ったクロスボウで矢を放ち南門に矢の雨を降らせた

希望に溢れていた暴徒たちは今や地獄のように恐怖と痛みの嘆きがこだましている

さらに騎士たちは逃げ惑い市庁所から離れていく暴徒も打ち抜いていく

一度革命に参加しようとした暴徒を逃がす気はないようだ

後ろに逃げれば打ち抜かれ前に出れば斬撃の餌食になるそんな中前にでる者がいた

リリス【アーサーの斬撃は星媒魔法で連続して放つことはできない

    今のうちに矢の雨に晒されない市庁所内に逃げ込め!】

アーサーは驚いたそれは星媒魔法を知られていたからではなくこの状況で

注目を浴びるような発言をしたからである

この発言で暴徒は市庁所に突撃を始めたがその代わり注目を浴びたリリスは

無数のクロスボウの的になった

リリスは的にされることを既に予測しており盾を得るためアーサーの懐に潜り込む

アーサー(俺を盾にするかだが俺からの攻撃はどう避ける!)

リリスは剣が振られる直前隣にいた暴徒の胸倉を掴み剣に向かってぶん投げた

アーサー(何だとこいつ仲間を盾にしやがった…最低だ!)

投げられた暴徒を切った剣は勢いを落としリリスにはかすり傷しか与えれなかった

リリスに向かって放たれた矢は無事アーサーの鎧が盾になりリリスには当らなかったが矢は跳弾して運悪く近くを走っていたロブの脇腹にクリーンヒットした

ロブ【グ……ゥ…ッ】

ロブの脇腹には死を考えてしまうくらいの痛みが走っている

だがロブのような重症を負ったもの含め皆思惑は別々ながらも市庁所に逃げ込んでいった












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