好きって何ですか?

玄栖佳純

第1話 タロー占い

 タロットカードを集めるのが好きだった。


 きれいな絵柄を見ているのが好きで。

 雑誌の付録になっているのも集めた。


 前世がわかるカードとかいうのもあって、そのカードを使って中学校の先輩を占ったりもした。ただ、読み取るのは下手だった。本の解説を見ながらうんうんうなっていた。


 占う人に切ってもらって並べると、庶民な雰囲気な先輩は庶民なカードで、きれいだなと思っていた先輩は女神な雰囲気のカードが揃って出ていた。


 カードを見ているとまとまりがあって、当たっているのがわかる。

 でも、読み取れない。うまく表現できない。


 自分を占ってみると、納得な結果だった。

 うすうす、そう出ることはわかっていた。


 なんとなくわかるけれど、それをきちんと言語化することができない。

 占い師は無理だと思った。


 カードは物語を紡いでいた。

 でも現実の私は、常識を使ってそれを否定する。


 なぜ、常識はそれらを否定するのだろう。

 だから私は、それらを否定する常識を否定しよう。


 完全に否定するわけではない。

 自分がおかしいと思った部分だけを否定する。


 そっちの方が、楽しいから。

 納得できて、心にすっと言葉が入ってくるから。


 それを考えるのも面白い。


 常識を疑う。

 それが正しいと言うのなら、根拠を知らなければ。

 知れば、「なんだ、そんなことだったのだ」と思うこともできる。


 それで、従うべきかそうでないかがわかる。


 自分の感覚を信じる。

 だから常識の言いなりにはならない。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る