2_「絶対に目を背けちゃダメですよ? ホラー映画で特訓しましょうねぇ〜♪」


SE//ピンポーン

SE//玄関の扉が開く


「センパイ、来るの遅くないですかぁ」


「時間ピッタリ? まぁ、そうですけど……。とっくにこっちは特訓の準備できてますから。あまり女の子を待たせちゃダメですよ?」


SE//玄関の扉が閉まる


「んふ〜、センパイ。おかえりなさい♪ ごはんにします? お風呂にします? それとも、ア・タ・シ?」


「センパイ、ノリわる〜い。夫婦ごっこじゃないですかぁ♪」


「アタシのお母さんもたまーにふざけて、こうお父さんを出迎えてるんですよ」


「まぁ、お父さんもセンパイと同じような反応でしたけど」


SE//靴を脱いで家に上がる


「じゃあさっそくリビングに来てください。驚かないでくださいね〜?」


SE//廊下を歩く二人の足音

SE//リビングの扉を開ける


「じゃーん、ホラー映画鑑賞セット〜。映画館っぽく部屋も暗くして、ポップコーンとかも用意したんですよ。スーパーで買っただけですけど」


「部屋もキンキンに冷やしてますし、寒くなったら毛布もありますからね」


SE//麗宮がソファに座る


「じゃあ隣、来てください」


SE//ボフボフッと麗宮がソファを叩く

SE//自身もソファに座る


「んふ〜、夜通し特訓ですからね。今夜は寝かせませんよぉ〜?」//真隣で


「まぁ、ウソですけど。眠くなったらおねんねしましょうね? センパイ怖がっちゃって、寝れなくなるかもですけど」


SE//TVでサブスクを起動する


「センパイってホラー映画はよく見ます?」


「えー、見ないんですか〜? やっぱり怖いから、とかぁ?」


「はいはい勉強してるからなんですねー。でもSF研究部の部員として幽霊や宇宙人の勉強も必要じゃないですか?」


「アタシですか? もちろん今日観るのが初めてですよ」


「……なんですか? アタシはもう特訓終わってますから、わざわざ観る必要がないんです」


「じゃあ、サブスクで適当なホラー映画流しますね。よし、この海外のにしましょ」//即決


「アタシはこの映画のネタバレ知ってるんでビビらないですけど。もし怖かったら遠慮なく、年下の女の子に惨めに泣きついちゃって、ギュッと抱きついちゃってもいいですからねぇ〜」


「では……電気も消しますね」


SE//リモコンで照明を消す


「……んっ」//息を呑む


「ふぅー……ちょっと寒いなぁ〜?」//わざとらしく


「アタシは毛布使いますけどセンパイは入ります? といっても一枚しかないですけど〜」


「え、いらない? いやぁ、風邪引かれてもアタシが困りますし……」


「冷房の温度上げる……? そ、それは暑いんじゃないですか〜?」//ごまかす


「怖いからって、よそ見ダメですよ? これはセンパイの特訓ですからね」//念押しで


「アタシはちゃんと観なくても、ネタバレ知ってるからいいんですっ……!」


SE//毛布をかける音


「もうちょっとこっち寄ってください」


SE//ソファの上でゴソゴソ動く


「んー……しょっと」//目の前の机にあるポップコーンの袋を取ろうと手を伸ばす


SE//ポップコーンの袋を開ける音

SE//ポップコーンを一粒手に取り、耳元でわざとらしく食べる音


「こーら♡ 映画に集中してください。次こっち見たらビビリ〜って呼んでやりますからね」


SE//ポップコーンを食べる


「センパイもいります? じゃあ、お口をパカァって開けてくださぁ〜い」


「はい、あ〜、ん♡」


SE//ポップコーンを食べる


「後輩にあーんしてもらうなんて、情けないセンパイですね〜。もう一回してあげましょうか?」


「えー、いらないですかー?」


「もうお腹いっぱい? お家で晩ご飯は食べてきましたもんね。でも、お腹すいたって後から言っても知りませんよ」


「んふ〜、食べてくれますか?」


「はい、あーー、んっとっ♪」


SE//ポップコーンを食べる


「いっぱい食べれてえらいですねー。特訓するならいっぱい食べて体力付けないとですからね。アタシもたーべよっ」


SE//ポップコーンを食べる


「んっ……」//口の中のものを飲み込む


「おいしっ」



「……よいしょっと」


SE//麗宮がさらに近付く


「……なんですか? そろそろ怖いシーンっぽかったので、ビビりでざこざこなセンパイが怖がらないように側に寄ってあげたんです」


「あまり、怖くない? 後輩の前だからって、そ、そんな強がらなくてもいいんですよ……!」


「だからアタシは観なくても、大丈夫なんで──ひゃぁっ……!」


SE//麗宮が自身に抱き付く


「……何か言いたげですね」//先輩に顔を埋めて喋る


「いいですか。勉強ばっかで頭がカチカチになっちゃったセンパイに教えてあげますね」


「好きでも苦手なことはあるんですよ。猫ちゃん好きだけどアレルギーで触れないみたいな」


「つまり、その、実はビビりなんです……はぅっ!?」//悲鳴


「うぅ……ああいうブラクラなんて誰でもビックリするに決まってるじゃないですか。あんまりホラーって認めたくないんですよね」


「ふぅ、でもネタバレ記事通りなら一旦はピークは過ぎたはず」


「さっきからセンパイビビんないですけど、よわよわのくせに本当にホラー平気なんですか?」


「ふーん、そですか……」


「センパイと一緒なら平気かも。何だか頼りになるというか、実はギュッとしてたら安心するんですよね……」


「んー……なんですか。だからあまりこっちばっかり見ないでくださいよ。ガッツリスケベって言いますからね。ほら、映画の方を観てください」



「あの、センパイ……その、やっぱりまだ怖いんで、センパイの上に行っていいですか?」


SE//ソファに座ったまま、麗宮が自身の上に乗る


「うん、センパイに全方位守ってもらってる感じがします。これなら初めてホラー全部観れるかも……」


「ふぅ……」//覚悟を決める


「んー……あっあれっ、脱いだ……ゎゎ……」//照れる


「な、なんで海外のホラーって、こう、えっち……な、シーン挟むんですかね〜。あるあるみたいですけど……」//強がる


「……ちょ、センパイ、そこは集中して観ないでください。ここはアタシが代わりに観てあげますから。目を閉じててください」


「うわぁ、激しい……えっ、あ、座ったまましちゃうんだ……こんなのネタバレに書いてなかったのに」


「……んっ」//息を呑む


SE//麗宮が緊張して、ソファが上下に揺れ軋む


「はぁ、んんっ……」


「あっ、なんか来そう……!」


「はうっ……! また幽霊出てきた……うぅセンパイ、もう目を開けていいですよ……! 次は、アタシが目を閉じてますからっ……!」


「そ、そのままギュッとしててください……!」

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