第26話
「……ん?」
目が覚めた時、俺は何故かベットに頭だけを乗せた状態だった。
そしてすぐ、その状況を理解した。
「看病しながら寝ちゃったんだな」
柊にお粥を食べさせながら。
泊まって行きたいと言う彼女に不謹慎ながらドキドキさせられて。
血が上っていたのか、急に眠気が来て。
ベッドにはもう、柊はいない。
でも、彼女の長い髪や枕の跡が、そこに確かに柊がいたことを感じさせる。
彼女の抜け殻を見ながら体を起こすと、どこか部屋中に甘い香りが漂っていて。
昨日、ここに彼女がいたことがまだ夢みたいだ。
「……いてて。さてと、下に降りるか」
着替えて店へ。
すると、
「あ、おはよう森崎君」
店の掃除をしている柊がいた。
「お、おはよう。もう体調はいいの?」
「うん、すっかりよくなったよ。あの、昨日は色々ありがとね」
「いや、何もできずに寝ちゃったし」
「ううん、お粥食べさせてくれたし。その、あの、あっ、ちょっと裏の掃除してくるね」
何故か顔を赤くしてから、柊は奥へ走っていった。
「なんだったんだろ」
「新、おはよう」
「おはよう母さん。柊さん、大丈夫なの?」
「うん、熱もないみたいだしさっき朝ごはんも食べてたから。あっ、そういえば今日、雪愛ちゃんのお母さんが来るらしいわ」
「え? な、なんで?」
「そんなに焦らなくていいじゃない。昨日のお礼と、娘の職場を見たいって」
「そ、そうなんだ。ええと、俺たちも今日は仕事?」
「もちろんよ。雪愛ちゃんも働く気まんまんだし」
「そ、そっか」
「それに今日は……まっ、それはいっか」
「なんだよ気になるな」
「いいのいいの。それより、雪愛ちゃんの手伝いしてきなさい」
母は何かを濁したように外へ出ていった。
「……なんかひっかかるな」
そんな俺の予想を遥かに超える出来事が起こるとは知らずに俺は柊の元へ行き。
片付けを終えてから一緒に学校へ向かった。
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