登場人物・弐 ~翻弄される者達の章~

麒麟きりん

 帝釈天の「魂の核」を持つ神獣であり、幽世の番人。

 麒麟が倒れたら帝釈天も倒れ、絶命する運命にある。

 麒麟自身は帝釈天によって戦う事が出来ないようにされているが、代わりに守護の力が非常に長けている。

 八咫烏を筆頭に四体の式神を操り、自分の代わりに戦いの場に送り出す。

自身が帝釈天と対なる魂を持ち、更に要でもある「核」を持っている事を麒麟自身も知らない。




雪那せつな

 現世で徳を積んだ人の魂としては珍しく格別な存在だったため、麒麟によって妖狐の力と体を与えられた女性。

 大人しく控えめで日本人らしい芯を持った強く優しい女性であり、麒麟は彼女を自分の傍に置いていずれは妻として召し上げるつもりで心から大切にしていた。だが、ある日彼女は幽世から地獄へ堕ち、偶然近くにいた毘天に拾われた挙句彼のお手付きとなってしまう。毘天は彼女を利用して麒麟の命を狙うつもりで雪那に短刀を授け幽世へ戻るように手引きをした。

 無事に雪那が戻って来た事に大層喜んだ麒麟に対し、抱いていた彼への恋心と罪悪感、そして後ろめたさに耐え切れず、短刀を手にしたまま再び麒麟の前から姿を消した。

 腹の中に毘天との子供を宿していた雪那は、自分の魂が消滅する事を覚悟で現世へ逃れ、女児を産んですぐ持っていた短刀で自らを刺し消滅した。




八咫烏やたがらす

 麒麟の近衛。麒麟の身長も頭一つ分抜きんでる大柄な体躯に、三白眼のため周りに与える無自覚な圧力が強い。戦えない麒麟に代わり汚れ仕事を一手に担っている。

 帝釈天の「魂の核」が麒麟にある事を知っている幽世で唯一の存在。八咫烏もまた武に長けた人物だからこそ麒麟の近衛にと帝釈天が命じた。

 初めこそ強くもなく優しいだけの麒麟の事を良く思っていなかったものの、彼の本質的な強さを見てからは強い忠義を抱くようになった。

 麒麟が使う四体の式神たちの筆頭。二本の脇差を所持。




・マオ

 麒麟の元で仕事の補助をしている秘書で化け猫。人間だった頃は人並みに生きて、人並みに業も積んできた魂だった。比較的控えめであまり自分の気持ちを表に出すような性格ではなかったが、「マオ」と言う化け猫の身体を麒麟から授けて貰い、一人でいる事が多かった事を麒麟が気にかけてくれた事が切っ掛けで、意見を言えるようになった。だが、これまで周りと関わってこなかった為にキツイ物言いをしてしまいがち。無意識に敵を作ってしまう。

 麒麟の事を密かに想っており、その気持ちは日を重ねるごとに膨らみ続けている。

 雪那がいた時は非常に心乱され、選ばれなかったと言う仄暗い思いを抱えていた。




 ~式神~


巴蛇はだ

 麒麟の式神。無口無表情で何を考えているのか読めない。

 長い銀髪は頭の上で三つ編みにし、痩身ながら巧みに棒術を使いこなす。

 口調が古めかしくぶっきらぼう。麒麟以外の相手には「貴様」を使う。ツンデレ。

 八咫烏を兄のように慕っている。


狒猿ひえん

 麒麟の式神。日焼けしたがっしり筋肉を持った体躯で、豪快で陽気な性格。

 緋色の短い髪をしている。腕っぷしには自信があり自らの拳が武器。

 戦闘好き。武の一族の出身。肌が茶褐色なのは単なる日焼け。


糾卯きゅう

 麒麟の式神。他の式神たちよりも小さく、顔も子供っぽい事を良く揶揄われ、非常に不愉快だと思っている。桃色の髪に、小さな体を駆使して扱えるクナイが武器。


獅那しな

 麒麟の式神。おっとりとした大人の女性そのもので、世話を焼くのが好き。焦げ茶の髪をお団子でまとめている。手甲鉤しゅっこうかぎで追い詰める。

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