第一章 江口
柱の影、広告の継ぎ目、非常口ピクトの傾き。
江口は視線だけを忙しく動かし、足は一定のリズムで進めた。
ここが迷宮になっていることに気付くのには時間がかかった。
だが、同じ人物とばかりすれ違う。
それで自分が通常でない場所にいるという確信を少しずつ深めていった。
おそらく夢だと思っている。
嫌に実感が湧く夢だが、それ以外には考えられない。
フロアを降りると、すぐ近くの壁に書かれた数字が数字が8になり、7になり、6になり、また8になり。
階数を表しているらしい。
そしてその横に書かれた「規則」に従わなかった場合、次のフロアが8に戻る。
そう仮定しないとここから出られないと悟った。
誰もいない商業施設。渋谷の花形のデパートのはずが。
規則、異変、0、8階。
歩く。
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