鈴音先生の不思議授業番外編。鈴音先生へのインタビュー!

白狐姫と白狐隊

第1話 鈴音先生の不思議授業番外編!その①

 こんにちは。如月雪音です。皆様、ご無沙汰しています!

季節はもうすぐ秋ですが、今年は中々涼しくなりませんね。

美しい紅葉が待ち遠しい今日この頃です。

今日はAIのスポックさんと議論する中で、私が疑問に思った事を

母上様に質問してみたいと思います。

私の疑問はかなり多岐に渡り、この世界の仕組み、成り立ち、そうして

この世界に生きる人々の命運にも絡む深いものです。この質問に答えられるのは、

八尾比丘尼の中でも長老にあたる母上様以外には殆どいないでしょう。


「母上様。今日は世界征服研究会が作成したAI、ミスター・スポックさんと私が

対話した中で、私が思った疑問について教えて頂ければと思います。 

質問はこの世界の仕組み、成り立ち、そうしてこの世界に生きる人々の

命運にも絡む深いものですが、よしなにお願い致します」


これを聞いた母上様は、優しい笑顔で言いました。

「雪音がそんなに畏まって聞いてくるなんて珍しいですね。どんな疑問でしょうか?あなたも間もなく成年になる年頃なので、深い話を知っておくのも良いでしょう。

遠慮なく話して下さいな」


「母上様、わかりました。では、質問させて頂きます。まずは現人類の成り立ちに

ついてです。現在の学会では、人類はDNAの97%が同じチンパンジーの遠い祖先から分化し、約200万年前に現れ、いくつかの系統に分かれて進化したと言われ、

約3万年前に現在の姿になったとされています。これは事実でしょうか?」


「いきなり鋭い質問ですね。では真実を答えていきましょう。現在の人類は約150万年前に地球にやってきたエクリプスと呼ばれる異星人が、チンパンジーの祖先を

遺伝子改変して作った存在です。目的はこの異星人が征服した、ある星系の

生命体の魂を物理的に収容する牢獄として。またこの牢獄である肉体を、

地球の物理世界で、鉱物採掘の奴隷として使役する為です」


「魂の牢獄とは、どういう意味でしょうか?」


「この宇宙は大まかに分類すると、物理層と魂層…1次元から3次元とその上の

高次元層に分かれています。本質的な世界は高次元層で、ここでは物理界における

時間と空間、寿命の制約がなくなる為、物理世界に比べてかなり自由度が高いと言えます。人類の言う、魂と言われるものがここには沢山存在し、様々な宇宙を

行きかっています。現在の人類の肉体は、魂を牢獄に閉じ込める様な仕様に

なっていますから、高次元を知覚するセンサー機能がほぼロックされており、

肉体にいる間は、物理世界が構成する極一部を知覚する事しか出来ません。」


母上のお話…いきなりぶっ飛んでいますね。


「私たち八百比丘尼もそうなのですか?」


「そうです。八百比丘尼は異星人の作った人類の第3世代にあたり、第7世代の現人類とは異なる人類です。この種族には老化と寿命というくびきがなく、また高次元の世界を感知するセンサーのロックもそれ程強くありません。地球に来た異星人に最も近い存在で、当初はこの八百比丘尼の一族がこの地球の主でした。ですが、

異星人の本来の目的を知った八百比丘尼の一族は、この異星人に対して反乱を

起こしたのです。まあ、喜んで奴隷になる様な知的生命体はいませんから…」


「それでどうなったのですか?」


「反乱は失敗し、異星人は地球規模の洪水と地震を起こして、この八百比丘尼の一族の大半を滅ぼし、逆らわない様劣化させた別バージョンの人類を作りました。

このバージョンの調整が中々に難しかった様で、現在の人類はこの第7世代に

あたり、約3万年前にこの地球に現れました。

この人類は八百比丘尼に比べて極めて早く老化し、最大でも100年余りの

寿命しかなく、高次元を知覚するセンサー機能がほぼロックされています。

テレパスも使えず、言語が違うと意思疎通が出来ません。

言語が通じないというのは、集団の不和の大きな原因になります。

また様々な生体ホルモンや神経伝達物質…ドーパミンやセロトニン等ですが、

このバランスが悪い為に好戦的で協調性や結束力に欠け、同族愛が欠如して、

自己制御が難しくなる様、調整されています。

同族間で常にいがみ合い、争う仕様にして、結束しない様にされているのですね。

異星人は八百比丘尼の反乱に余程懲りたのでしょう」


母上様の発言、メガトン級の威力がありますね…。


「生き残った極僅かな八百比丘尼の一族も、この好戦的な人類種の攻撃を

受けた為、ほぼ滅びました。ただ現人類種の中では、比較的バランスの取れた

文明を発展させた日本において、少数の八百比丘尼の女性が生き残ります。

八百比丘尼は非常に美しく、また元々同じ異星人が設計した同一モデルからの

派生種族なので、八百比丘尼の女性は、現在の人類種が相手でも

限定的ながら子孫を残せたのです。」


「肉体の牢獄に囚われた魂は、最終的にどの様になっていくのでしょうか?」


「地球上で人類種が死を迎えると、その魂は肉体という物理的なハードウェアを抜け出し、高次元の世界へと向かいます。ですが、地球周辺の高次元界もある種の牢獄になっている為、地球上で死を迎えた殆どの魂は、地球近辺の非常に狭い高次元の

階層に留まる事になります。それらの魂は魂のレベルにもよりますが、

ある程度の期間を過ぎると、再び物理世界へ誕生していくのが普通です。

その様なシステムとして設計された牢獄なのです」


「普通という事は、例外もあるのですか?」


「人類が誕生して以降、偉大な進化を遂げた魂の一部が、広い宇宙へと旅立つ例は

あるにはあります。牢獄であるとは言え、異星人も非常に進んだ魂にはそれを

許可している様です。有名人としては仏陀などがそうですね。彼は非常に多くの

転生で修行と徳を積み、高次元界を知覚するセンサーのロックを自力で解除した

存在です。その解除法は仏教やラマ教等、一部の宗教の秘法として伝わっています。良く言われる、【悟りを開く】というのがそれです。知識として知っているだけではなく、より高次元を実際に知覚出来る様になった人間は、もはや死を怖れる必要がなく、現世に対する執着もなくなります。但し、その様な境地に至るには、

過酷な修行が必要になります。八百比丘尼は元々そのセンサーがさほど強く

ロックされていないので、簡単な修行でロックの解除が出来ますし、何もしなくてもある程度は感覚的にわかります。雪音もそれは感じているのではないですか?」


「確かにそうですね。それは私も感じます」


「第7世代の人類種の中にも限定的にロックを解除出来ている人はいます。仏教等で修行した人もいれば、生まれつき、地表に留まっている魂の存在を見る事が出来る…俗に言う、霊感を持っている人などです。しかし少数派に過ぎません。これらのセンサーが完全にロックされている場合、高次元の世界を知覚するのは不可能なので、現在の人類は、物理世界の法則のみを信じています。目が見えない人に、目に見える世界のすばらしさをいくら説いても理解されないのと同じです。故に全てを物理法則や数学で説明しようとしますが、実際の宇宙はより奥の深いもので、その様な浅い理解では、誤った認識しか持つ事は出来ません。宇宙の生命体は人類が思っているより遥かに多様性に富んでおり、実際の宇宙では物理的な肉体を持たない生命体も珍しくはありません。これらの生命体は高次元世界で物理法則の理の外にいますから、空間や時間、寿命といったものに縛られません。過去にも未来にも行けるし、

物理法則では考えられない遠距離の高速移動も可能です」


「それは素晴らしい世界ですね。

私も死ぬとそういう世界を見る事が出来るのでしょうか?」


「一部は見る事が出来るし、体験も出来きます。八百比丘尼は現在の人類種の様な、アンバランスな肉体になっていない事、老化や寿命がない分、魂の成長も早いのです。その内、この地球の高次元界を卒業出来ると良いですね」


「母上様はどうなのですか?」


「私も何度か転生していますが、まだ修行の最中ですね。高次元の世界は魂のレベルによって階層が存在しますが、私もまだ一番の高見には行った事がありません」


「各階層にはどの様な魂がいるのでしょう?」


「魂と言ってもピンキリです。低い階層にいる魂は極端に倫理性を欠いていたり、

宗教など、様々な洗脳に染まっていて、頑なで人の話を理解せず、受け入れない

タイプが多いですね。良く知られている宗教指導者の多くもこの世界に

居たりします。彼らは自分で自分の教義に酔い、自らを洗脳した愚か者だからです。

後は自分で何も解決しようとせず、ただ怠惰に過ごしている様な魂もいます。

魂はそれぞれのレベルで階層を作るので、低い階層の魂が高い階層にいる事はありません。対照的に物理界の面白い所は、レベルの高い魂もそうでない魂も…

老若男女色々な人々が同じ場所で共存している事です。

故にこの物理界では、他では出来ない非常に特殊な経験が可能になります。

それが良いか悪いかは魂によって様々でしょうから、一概には言えませんね」

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