ただ傍にいるだけで。

九つの命を持つ猫がある日、屋上で一人の少女と出会います。
彼女は縁に立って、今まさに自らの命を終わらせようとしている。
猫はそんな彼女の行為を止めようとしますが……。


何度も何度も手を伸ばしても救えない命。
「命を無駄にするな」
「いつか良いことが待っている」
「あなたを大切に想っている人が悲しむ」
そんな言葉では心に届かないことがあります。
でもひょっとしたら、声をかけるべき相手は「死にたい」とも「救われたい」とも思っていないのかもしれません。
「命が大事」だなんてことは、分かりきったことだと……。

ただ静かに、傍に寄り添うこと。
そういう気持ちで接することが、何よりも一番心に届くのかもしれない……そんなことを考えさせていただきました。

その他のおすすめレビュー

ファラドゥンガさんの他のおすすめレビュー584