第2話《バーチャルな幻の森》

ふわり:びっくりした?


りとす:びっくりした!ふわりは海月じゃないの?



ふふふっと笑ってふわりは一本桜の湖から抜け出してりとすの前へとくるっとターンしてみせる。海月みたいなワンピースが風を含んで揺れる。



ふわり:海月になりたい女の子なんだよ


りとす:???


ふわり:まだよくわかんないよね。ここはね?なりたいものになれる場所なの。



そう言いながらふわりは一本桜の湖のほとりを歩き始める。慌ててそれに駆け寄り着いていくりとす。



りとす:幻の森じゃないの?


ふわり:幻の森だよ?でも創られた幻の森。りとすが知ってる幻の森じゃないんだよ。



ふわりが言うにはこの幻の森は創られた幻の森。でも一本桜は本物となんらなわりなく桜を風に乗せて花びらを届けている。



りとす:ふむ。不思議な話。


ふわり:そうだね。ねぇ?りとすは何になりたい??


りとす:なりたいもの…ないなあ。だってりとすはりとすで幻の森を統べるものだもん。


ふわり:1番力のある妖精だからこそ、なりたいものになれるんじゃないの?探してみたらいいのに!!


りとす:うーん…みつかるかな??


ふわり:大丈夫だよ!!りとすならできるよ!まずはいつもと違う幻の森を歩いてみたら?



ふわりは微笑んで一本桜を背に幻の森の方へと指をさす。ふわりにはヒラヒラと桜が降り注いで後ろ姿が一瞬だけ海の女神アマランテに見えた気がした。

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