届かぬ星
七慰燈矢
夜空を眺めて
夜空が遠ざかっていく。
幾億万もの星々の輝きが宝石のように散りばめられた夜空が、遥か向こうへと遠ざかっていく。
僕は、その遠ざかる夜空に向かって手を伸ばす。でも、どんなに手を伸ばしても僕の手が夜空に届く事は無くて、握られた手の中には『虚しさ』という感触だけがあった。
あの遍く星々に憧れたのはいつだっただろうか?
幼い頃から、夜空を眺めない日は無かった。星の瞬きが、まるで笑っているように見えて、それを見た僕も自然と笑みが零れて夜空を眺めていた。
あの遍く星々が嫌いになったのはいつだっただろうか?
人生で初めて夜空を眺めない日があった。その日を境に、僕は夜空を眺める事は無くなった。星の瞬きが、まるで僕をあざ笑っているかのように見えて、それが嫌で夜は布団にくるまっていた。
「ああ……やっぱり、星はきれいだな……」
遠のく空を眺める僕の口から自然とそんな言葉が漏れた。
そうか、僕は星が嫌いになんてなっていなかったのか……良かった……それが最後に知れただけでも……ひとりぼっちじゃないって事に気付けて……良かった……
「あーあ。こんな事、しなければよかったな……」
僕の意識はそこで、プツンと途切れた―――――
―――
――――――
――――――――――
どうか後悔の無いように。
どうか好きなものを好きでい続けて下さい。
好きなものを好きでい続ける限り、あなたが真の孤独になる事は無いのです。
どうか、僕のようにはならないで下さい。
届かぬ星 七慰燈矢 @touya718
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