月無き夜に
歪心
第1話
解体予定の小さな寂れたビルの屋上で
私は一人で空を見ていた
「死んじゃった人は星になるのなら私もあの無数の星の1つになるのかな?」
人の人生はいつだって一つの物語やゲームに例えられる
私の人生はきっとみんなから見向きもされない下らない三流劇だろう
「……舞台に終わりは必要、そして、再放送は許されない」
私はゆっくりと歩きだし屋上の端へと向かってく
「私の舞台なんだから終わりは私に決めさせて?」
屋上の端へと着いた私は観客のいない私にしか見えない客席に向き直り
私の人生の舞台の最後のワンシーンを飾る一言を静かに語る
「皆様一人一人にそれぞれの人生、それぞれの舞台があります。どうか皆様も自分の人生と言う名の舞台をお楽しみ下さい。」
ここで静かに目を閉じ、カーテシーをする
うん、これでよし
子供の頃になりたかった夢を叶えれたんだからもう満足だ
さぁ、フィナーレの言葉だ
演者が観客に別れを告げるのは許されない
演者は演者観客とは違うから
だから私は……演者として幕を下ろそう
「今まで私の人生をご覧いただき大変ありがとうございました。」
そう言って舞台から飛び降りた
ーーーーーーーーーーーーーーー
全身に襲いかかる鈍い痛みの後生暖かい液体が全身をゆっくりと包んでく
身体の熱が消えていくだけどまだ終われない
舞台を降りたのなら次は共演者に挨拶をしなくちゃ
「……皆様、……お疲れさまでした、それでは、お先に失礼します。」
そうして私は永遠の眠りにつきました
月無き夜に 歪心 @crownnotes
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