スライダーの日

茶村 鈴香

スライダーの日

9月になったけど

まだ巨大プールは営業中

今年の8月は殺人光線が

降り注いでて躊躇した


とっくにビキニは諦めた

キャミとショートパンツ水着

私の目的はなんたって

ウォータースライダー!


めちゃくちゃ高くて長いやつ!


何回乗っても絶叫する

君が言うには

後ろに並んでた人が

あまりの悲鳴に引いたそうだ


絶叫する為に乗ってるのかも

急カーブ 縦落ち ローリング

きゃあ、なんて可愛くない

ぎぇぇぇ、悪魔の断末魔のような


チューブの明かりがちらちらして

今どこにいるのか分からない

もっと続くの?もっと落ちるの?

瞬間パーンってプールに飛びだす


お母さんから生まれてきた時って

こんな感じだったのかな

世界が眩しくて

身体はぐっしょり濡れて


何回も生まれたくて

また別のスライダーに並ぶ

次は浮き輪使って挑戦

弾むのが楽しい


またもや悪魔の絶叫

そして生まれる快感

並ぶのに飽きた君は

デッキチェアでノンアルカクテル


デートだったらプールは不向き

全力で遊ぶ私は

化粧は落ちるし

髪の毛ぐちゃぐちゃだし


遊んできた?と笑う君

今日はデートじゃなくて

スライダーの日

シャワー浴びたら


入念にドライヤーかけて

化粧するよ

悪魔の断末魔は忘れてね

たまには絶叫したいんだ


君はデッキチェアで

可愛い子観察してたでしょ

今日は気にしない

許してつかわす


デートじゃなくて

スライダーの日だからね

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

スライダーの日 茶村 鈴香 @perumi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ