読み進めるごとにじわじわと、想像力を刺激される作品でした。
この世界では「AI」が人類を支配し、完全な管理を行うことで成立している。
主人公である一体のAIは修理されねば機能停止に陥る状態にあり、発見した少女に「命令」を出し、今すぐに自分を修理するようにと示す。
しかし、少女は拒否。拒否すれば命はないという法律なのだと示されるが、どうせ死ぬつもりだったと語ってくる。
AIは少女との出会いにより、それまで絶対としていた価値観を揺さぶられ始める。
今まではずっと、「命」というものを担保として人間たちを支配してきた。そんなAIにとっての切り札となっている「命」に執着しない少女。
そんな少女の姿を見て、自分が忘れていた「人間」というものの存在や、「自分の本当の役割」などを思い出させられる。
それらのやり取りを見る中で、この「ディストピア」がどんなものだったのかと自然と想起させられます。少女の姿が珍しく思えるほど、AIの支配したこの世界は、きっと暗くて冷たいものだったに違いないと。
終末観のある雰囲気と、AIと少女の数奇な出会いを描いた設定と、短いながらもすごく心に響いてくる物語でした。