花里小夜

あたしは花里はなざと小夜さと



今まで女の子しかいない環境で育ってきた。それは当たり前のことで、あたし以外の女の子も皆そうだと思う。



男の人の存在は知っていた。



女性区域と男性区域に分かれて住んでいることも男の人があたしたちのことを好きじゃないのも知っていた。




区域が別れていても、女の人が男性区域に侵入して強姦をしたという話や捕まった話などは別に珍しいわけではない。警備はそれなりに厳重なはずなのになぜ侵入できるのか、それとなぜ侵入しようとするのかがあたしには分からなかった。



そんなに男の人っていいものなの?




会ったことはない男の人に希望を抱いてたりするようなタイプではない。


周りにはそんな子もいたし、適当に同意はいていた。それでも本心では男の人に対する執着もないし、どうでもよかった。









その考えは初めて男の人に会って変わった。


あたしは今まで知らなかっただけなんだと。


葉山優という男の子を知った。普通に話してくれた。あたしに対して笑顔を向けてくれた。



端から見たらただそれだけだった。



でも、あたしにとってただそれだけがとっても嬉しくて、忘れられないもの。


寝る前に目を瞑るといつも思い浮かぶのは葉山くんの笑顔。





男の子ってこんなにすごいんだ。確かにこんなにすごいんだったら、危険を冒して男性区域の中に入ろうとする人の考えが理解できた。葉山くんが大学に来るのは多くて一週間に一度、少なければ二週間に一度ぐらいの頻度。




それに比べてあたしはほぼ毎日、葉山くんのことを考えている。会えない時間の方が長くて、その間なにをしているのかなって妄想するのは当たり前。



会いたい。


会いたい。


会いたい。


会いたいという気持ちだけが募っていく。



そしてその気持ちが募っていき、もう無理なタイミングがきたら…行動に移したとしてもおかしくない。




だから早めに行動に移した。


告白という行動に。


正直、人生初めての告白の成功率はほぼ0%だったと思う。


葉山くんがあたしのことを覚えてくれているかも怪しいし、葉山くんの好感度を上げるようなことをしたわけでもない。





告白に対して肯定的な返事が来る可能性も低い。それでも行動に移さないという選択肢はなかった。



どちらの結果になったとしてもいいので……葉山くんの口から言って欲しかった。そうじゃないと今のあたしはどんな行動に出てしまうか、分からなかったからこそ。








そしてその告白であたしはフラれた。



分かっていたことだとはいえ、やっぱり悲しかった。生まれて初めての告白はフラれて……自然と雫が頬を伝って地面に落ちていく。



こんな気持ちになったのも生まれて初めて。




葉山くんと出会ってから生まれて初めての感情ばっかりだ。葉山くんに出会わせなければ……こんな風になっていなかった。




そう考えるとやっぱり出会ってよかった。

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