講義の前にお話

あおいさん、岬さん、カエデさん、ひなたさんたちとのやり取りは今でも続いている。


最初のやり取りでは少し不安を覚えたけど、皆さんやり取りを続けてくれている。




僕としては失礼なことを言わないようにと毎回気を使っている。だって僕は女性ではないし、女性と接する機会も多くなかった。なので女性が言われたくない事と言うのがいまいちわからないというのが正直なところなのだ。


だからこそ、やり取りは慎重に相手に敬意を払いながらしなければいけない。





あれから大学には2週間に1度ぐらいの頻度で通うことにしている。


双葉さんが僕の周りにいるので、あんまり落ち着いて講義を受けたりはできないものの、同級生の女性は本当に優しく接してくれている。


双葉さんだって僕の護衛なんて仕事がなければもっと自分のことに時間を使えるのにと思って、僕は大丈夫ですと伝えたところ「自分のことは気にしないでください。葉山様のことを護るのが自分の役目ですから」と言われてしまった。



この数週間で出会い系アプリや大学の同級生たちの影響で女性に対してのイメージが前よりも明らかに良くなってきている。







そして次の講義までの間、静かに教室で待っていると後ろから名前を呼ばれた。


「あの葉山くんだよね」



「はい、葉山です」



「隣の席って空いてるかな?」



「空いてますよ」



すると、その金髪の女性は僕の隣の席に腰を下ろした。翌々考えれば僕が講義をしっかりと大学で受けるようになって隣の席に座ってくれたのは初めてだ。たぶん、男である僕が異質で隣に座りたがらないのか、遠慮されているのか。




このまま誰も座ってくれないんじゃないかと思っていたので、この金髪の子が座ってくれて良かった。



「葉山くんって可愛いよね」



「そうですかね。僕からすればあなたの方が可愛いと思いますよ」


さっきまでこっちを向いてくれていたのに顔を背けられた。もしかして嫌われたのかな。少し馴れ馴れし過ぎたのか。



もう話してくれないと思っていたけど、しばらくするとまたこっちを向き直ってくれた。




「葉山くんは女が怖くないの?」



「怖くないわけではないです。でも、拒絶するのは違うと思うので」


僕は他の男と少し違う。たぶん、それは前世の記憶の有無は関係なく。だって前世の記憶が戻るよりも前に一度だけ女性と自発的に関わろうとしているんだから。そんな男は世界が広いと言ってもほとんどいないと思いますし。



「じゃあ、あたしと話すのも嫌じゃないの?」



「嫌じゃないですよ。むしろ大学に来てくれいるのは皆さんとお話するためなので」



「…そんな男の人っているんだ」



「はい、ここにいます」


多く女性のイメージで男性は進んで自分たちと関わろうとしないと思われているのかな。まぁ…でも、現実的な目線で言うと確かに男性は女性と関わりたがらないから、僕みたいなタイプはかなり珍しい。



「じ、じゃあ…また声を掛けてもいいの?」



「全然いいですよ。僕もあなたのことをこれからたくさん知って行きたいので」


こんな風に隣に座ってくれた縁を無駄にはしたくはない。



「そ、そっか…じゃあこれからも話し掛けるね」



「うん、よろしくお願いします」


それから授業が始まるまでの間に好きな食べ物や趣味などをお互いに話した。少しでもお互いの理解を深めるために。



彼女の名前は花里はなざと小夜さとと言って、僕と同じ大学1年生。趣味は動画サイトで動物の動画を見ること。好きな食べ物はオムライスで週に一度は必ず食べるぐらいらしい。


今回、話せたのはこれぐらいだったけど、今までの自分からすればこんな風に女性と話せたことが嬉しい。しっかりと自分も一歩を踏み込んでいるという感覚が味わえている。



これからも少しずつ面と向かって女性と話す機会が増えていって、慣れていくといいな。





――――――――――

しばらく主要な女性キャラクターは増えないと思います。

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