義理の兄が好きな人に振られたらしいので、マレーバク恋愛シミュレーションゲームで乙女心を勉強させようと思います
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義理の兄が好きな人に振られたらしいので、マレーバク恋愛シミュレーションゲームで乙女心を勉強させようと思います
汐海有真(白木犀)
義理の兄が好きな人に振られたらしいので、マレーバク恋愛シミュレーションゲームで乙女心を勉強させようと思います
部活終わりに家に帰ると、義理の兄が玄関の前に倒れていた。
「おにいちゃん、どうしたの!?」
「…………好きだった人に、本日振られました」
「あらあ……」
「俺には、男としての魅力がないんでしょうか……」
「んー……というより、変わってるからじゃない?」
「ならどうしろと」
「女の子が喜ぶ正統派な言動を、ゲームで勉強してみる?」
「ゲーマーの君らしい提案ですね……でも、妙案かもしれません」
わたしはリビングのソファまでおにいちゃんを引きずっていき、携帯ゲーム機を起動する。
『マレーバク学園でとびきり甘い恋♡ あなたはどのマレーバクと恋をする?♡』のタイトル画面が表示された。
「すごいゲームですね……」
「今バズってるんだよ。おにいちゃんはどのバクちゃんと恋したい?」
「全部同じに見えますが……まあ、このバクちゃんでしょうか」
おにいちゃんは全身に華やかなリボンを付けたバクちゃん――「
「恵梨花かあ。恵梨花は最初に出会うバクちゃんで、攻略難易度も低めだよ!」
「初心者の俺にぴったりですね」
「うんうん。ゲームスタート! マレーバク学園に、主人公の男の子が唯一の人間として入学するところから始まるよ」
「よく入学許可下りましたね」
さっそく、恵梨花が現れた。
〈貴方、珍しい色ですわね。わたくしは恵梨花と申しますわ〉
①「よろしく、恵梨花さん!」
②「かわいい名前だね、恵梨花ちゃん」
③「恵梨花の色も、おにぎりみたいでキュートだよ」
「これは、圧倒的に③ですね」
「待っておにいちゃん! ③はどう考えても好感度ダウンの選択肢だよ!」
「何故ですか!?」
「バクちゃんたちは年頃の女の子なんだよ!? おにぎりに例えられたら傷付いちゃうよ!」
「俺、モノクロの服を着ているときおにぎりだって褒められたらめっちゃ嬉しいですが……」
「やっぱり変わってるね、おにいちゃん!」
わたしの言葉に、おにいちゃんは首を傾げてしまった。
わたしは溜め息をつきながら、おにいちゃんを今度そう褒めようとこっそり思案する。
おにいちゃんは変わった人だ。親の再婚で義理の妹になる前のわたしが、傘を忘れて駅で途方に暮れていたとき。一つしかない傘を見ず知らずのわたしに貸して、ずぶ濡れで走り去っていってしまった。
おにいちゃんは、もう覚えていないと思うけど。
「あ、恵梨花に殴られました……」
「ちょっと目を離した隙に!?」
「どうしてもおにぎりみたいでキュートだって言いたくて」
「わたしの意見を聞きなよ!」
しゅんとしてしまったおにいちゃんに、わたしは思わずふふっと笑う。
そのままでいいよ、おにいちゃんは。
義理の兄が好きな人に振られたらしいので、マレーバク恋愛シミュレーションゲームで乙女心を勉強させようと思います 汐海有真(白木犀) @tea_olive
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