いきなり部下に死刑宣告された男。

非 非国民

はい。人生オワッタわ。  上

俺の名はウォルフガング。


ナチスドイツの軍人である。


そして俺は今猛烈に怒っている。


どのくらいかというと、トイレ中にノックされた時ぐらいだ。


なぜ怒ってるかって?


それは30分前に遡る。



30分前


「敵襲ーーーー!!!」


敵がとうとうやってきたようだ。


俺は飛行場に向かう。


俺は部隊の超エース様であり、上層部からも厚い信頼を得ていた。


よって、今回の出撃では新型機の初実戦を任されたのだ。


その機体の名は『コメート』


ロケット推進で動く為、めっちゃ速いけど、航続時間は僅か3分。


極端すぎる性能の機体だった。


敵に一撃与えて、その後は優雅に滑空して帰ってくる。


ただそれだけの作戦だが、素人には難しい。


超エース様の俺にしかできない最高の任務じゃないか!!


と、言うわけで飛行場に来てみたわけなんだが…。


「なんで真っ赤に染められてんねん!!!」


そう、俺の機体は真っ赤に染め上げられていたのだ。


俺の顔も同じくらい真っ赤に染まる。


そこへ整備兵がやってきた。


「どうです?かっこいいでしょう。徹夜で仕上げたんですよ!」


は?何言ってんだコイツは。


燃料使い切ったら後は滑空して帰ってくるんだぞ?


その間は無防備なんだぞ?


敵に狙われたら終わりなんだぞ?


戦場で赤はめっちゃ目立つんだぞ?


「今すぐ塗り直せ。」


しかし整備兵はこう答えた。


「え?無理ですよ。だってもう敵来てますし。塗り直してたら時間ないんで、このまま出撃して下さい。少佐ならいけますよ!」


そう言い放って、整備兵は逃げていった。


仕方なく俺はコメートに乗り込む。


これが俺の棺桶か。


せっま!


せっっっっっっっっま!


せめて足は伸ばせる棺桶が良かったわ。


せめて死ぬなら連合軍に処刑されたかったわ。


なんで部下に死刑宣告されなあかんねん!


そう思うと怒りが込み上げてきた。


そして俺は心に決めた。


よし!絶対生きて帰ってきてやる!!




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