クヴィトール記 〜白と彩の詩〜 強大な魔法で全てを白く塗り潰された異質な王国。主人公は禁忌の赤を宿し追放される。彩の森で仲間と試練を越え神話の真実を暴き、黒の力に挑む成長譚!ラカの運命は滅びか希望か?
穂向 俊亮
まえがき
ようこそ--漆黒の森マヴロスへ。
ここは、生きとし生けるものがありのままに息づく場所。
治めるはラーガ王国。自由を重んずる国にございます。
されど隣国は、白き王国クヴィトール。
彼の地は強大なる魔法により、すべてを白へと塗りつぶし、
民の心より彩をも奪い去った国。
白を守る厳しき掟により、永き泰安の世を築いてはおりますが--
無慈悲なる掟、彩りを許すこと能わず。
彩を宿す者、眠りのままにこの森へと流される定めなり。
そう--先日もひとり。
前髪に真紅の“赤”を宿した少年が、この森へ流れ着いたのです。
かの子は、この地にて目覚め、
幾多の者と出会い、幾多の試練が待ち受けるのか…
その歩みが導くは滅びか--希望か。
赤き子の定めは、いかなる詩を紡ぐのでしょう?
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