妖と蜜月華

rie

出会い


「ねぇ、優奈!」


「わっ、びっくりしたぁ…、どうしたの?はる」


「Luminousっていうグループ知ってる!?」


「ルミナス?…あぁー、まあ…、知ってるけど…」



仕事の休憩中にキラキラの笑顔で声をかけてきたのは、高校時代からの親友で今も同じ仕事をしている春花



「ライブとか興味ない?」


「ライブ?」


「そう!一緒に行く予定だった友達が急に行けなくなっちゃって…


今週末なんだけど、付き合ってくれない…?」


「ん〜、まあ、いいけど…」


「さっすが優奈!ありがとっ!」ギュッ


「っ、苦しいって(笑)」



Luminousって、あの時の人達だよね、

何であんなに " 綺麗 " だったのか気になってたし…

ちょうどいい機会かも












幼い頃から私にしか見えていない " もの " がある


それは白くてふわふわと浮いているだけの、

生物なのか無機物なのかもわからない、音も匂いもしない


物心ついた時から見えているのもあって、

すでに日常化してしまって気にも留めなくなっていた







そんな私の日常に変化があったのは20歳の誕生日当日


目を覚ますと、絶対に手の届かないところをふわふわと浮いていた " あれ " が、目の前を飛んでいる


そして驚いてる暇もなく、トンッとぶつかってきた


『あ、触れるんだ…』


ぼんやりとそう思ったのが始まり







だんだんと形や色を変えた " それ " がぶつかってくるようになり、

ドンッと前に押し出されるほど強く押されることも少なくなかった


呪われてるのかも…と思いお祓いに行ってみても効果なし


誰にも見えていないものを相談することもできず、ただただ耐えるしかない日々







 




ある時、私は不思議な光景を目の当たりにした


何かの撮影をしているところに遭遇して、

その中心で楽しそうに笑い合っている7人の男性


その光景に違和感を覚えた

何かがいつもと違う…






「えっ…、いない……」







いつも見えている " あれ " が、7人の周りだけを避けるようにして一つも飛んでいない


あんなに " 綺麗 " な空間は生まれて初めて見た







それが最初の私と彼らの出会い


出会いとは言っても、私が一方的に知っただけだけど












『……っ、今の香り…』



『どうした?』



『…桃みたいな香りしなかった?』



『えー?したかなぁ』



『今はアレでしょ?匂いに敏感なのかも』



『そ、うなのかな…』







そんな会話が繰り広げられているとも知らずに…



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

妖と蜜月華 rie @rie-ree

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画