マイナスフタリ

拍手専門学校

−2人

交番の前に「市内における昨日の交通事故の死傷者」が掲示されている。

毎日、登下校中に見ているが、ほとんど「0人」と掲示されている。

たまに「1人」と掲示されていると死が現実味を帯びる実体の恐怖心が湧いてくる。

ある日、「-2人」と掲示されていて違和感を感じた。


家に帰って母親にそのことを話すと『ニ人、生き返ったんじゃない?』と冗談混じりに返答された。

何かの間違いだと気にも留めなかったが、次の日、交番の前に立っていた警察官に昨日の掲示について尋ねると違和感は得体の知れない恐怖心へと変貌した。


『すいません!昨日、ここの掲示が「-2人」になっていたんですけど、何かの間違いですか?』


『ん?よく見ていたね。間違いではなくて、一昨日、交通事故で2人生き返ったんだよ。』


思わぬ返答と笑顔で淡々と語る警察官の表情に不気味な恐怖を覚え、その場を走り出した。


『ブー!!!!』


よく前を見ずに横断歩道へ飛び出したところにパトカーが追突してきた。


明日は「1人」と掲示されるだろう。

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