君に貴方に憧れて

@haruki-3838

1章 はじめまして。

美樹視点

1話  はじめまして。早瀬美樹です。

えっと...みなさん、はじめまして。

私の名前は早瀬美樹(はやせ みき)です。

作者さんに自分の自己紹介をして欲しいと頼まれたのですが...

何を言えばいいのでしょう。

全然分からないので、とりあえず思いついたことを話そうと思います。

私は、読書と美術館巡りが大好きな大学1年生です。

みんなでわいわいするのも好きですが、1人で過ごす時間も大切にしていて...


「美樹、おーい。どした?...って何書いてるの?」                             


私が、お昼ご飯を食べている途中に黙ってノートにペンを走らしていると、ヒマちゃんに声を掛けられました。

ヒマちゃんは私の幼馴染で8歳からの付き合いです。       


「ヒマちゃんダメだよ。今、読者の皆さんに自己紹介をしようと...」


「自己紹介って?あーあの作者が頼んできたやつ?」


「うん。なんて書けばいいか分からなくて...ヒマちゃんは何て書いたの?」


書き終わっているであろうヒマちゃんにアドバイスを貰えたらいいなという期待を込めて聞いてみました。


「私のは...そのいいんだって!適当に書いても怒られないから!」


なんでか分からないですが、恥ずかしそうな顔をしたヒマちゃんにそう言われます。

でも困りました。

何を書けば良いのでしょう。


「はぁ。分かったって。一緒に考えるよ。」


私が不安そうな顔をしていたからか、ヒマちゃんがそう言ってくれました。

やっぱりヒマちゃんは優しいです。


「ありがとう。ヒマちゃん大好き」


「大好きって...こっちの気持ちも知らないで...」


「うん?ヒマちゃん今、何か言った?」


今何か言ってたような...気がするのですが。


「何にも言ってないよ。ほら自己紹介の内容!考えよう。」


何か言っていた気がしますが、聞かれたくないことなのでしょうか。

ヒマちゃんの目がこれ以上聞くなと言っているので、深くは聞かないことにしておきましょう。


「ほら。憧れの人とかいないの?作者もそういうネタの方が喜ぶよ」


「ネタって...うーん。憧れの人…あっヒマちゃん?」


「私⁈」


私の言葉に余程驚いたのか、ヒマちゃんは口をあんぐりと開けて、固まってしまいました。

なんででしょう。


「いやいや//私じゃなくて良いんだって!ちなみになんで私なの?」


暫くすると今度は真っ赤な顔になってヒマちゃんにそう聞かれます。

理由ですか...

私にとってヒマちゃんは出会った時から憧れていた人です。


「出会った時から明るくて、人を元気にする力みたいなものがあって...それから、


「もう良い!大丈夫!ありがとう。」


ヒマちゃんに憧れる理由はもっとたくさんあるのですが、顔を真っ赤にしたヒマちゃんに止められてしまいました。


でもそっか...

ヒマちゃんの事ならたくさん書けます。


ヒマちゃんは、私が8歳の時に隣の家に引っ越してきました。

お母さん同士が親友だったんです。

私は初めてヒマちゃんに会った日のことを、良く覚えています。

ヒマちゃんのお母さんと手を繋いで挨拶に来てくれたヒマちゃんは、当時から引っ込み思案で、人見知りだった私に「日葵(ひまり)です!よろしくね」と太陽みたいな笑顔で私にそう言ってくれました。

その笑顔を見た時、とても眩しくて幼心に、「可愛い」と思いました。

出会ってから今まで、ずっとヒマちゃんは私にとって大事な人で親友です。

引っ込み思案な性格は今も継続してしまっていますが、不思議とヒマちゃんが近くに居てくれると安心して、素で話すことができます。

それから…


「ちょっとちょっと…何書いてるの?貸して!」


先程、顔を真っ赤にしていたヒマちゃんが、今度は私からノートを取り上げます。


まだ途中だったのですが…


ヒマちゃんはノートの内容を読むと、また顔を真っ赤にして


「私のことはもう良いから!他の人は?好きな人とかいないの?」と聞いてきます。


好きな人ですか...

うーん。今のところは居ないですが...

それどころではないというか...


「居ないよ!それどころの話じゃないって言うか…」


「それどころの話じゃないってどういう意味?」


うーん。

去年までなら、すぐ話していたのですが…

いつまでも、ヒマちゃんに頼ってばかりではいられません。

私はもう大学生なんです。


「なんでもないよ!」


ヒマちゃんに怪しげな、心配そうな顔で見つめられますが、今回は自分でどうにかすると決めたので言えません。


「分かった。けど、いつでも頼ってきていいからね!私たちの仲じゃん!」


ヒマちゃんはまた、出会った時と変わらない太陽の様な笑顔を私に向けてくれます。

この笑顔に私は何回も助けられてきました。

「ありがとう」と返すと、ヒマちゃんは「任せとけ」と言うように、私の髪を撫でてくれました。

やっぱり安心します。


「あっそういえばさ、成美(なるみ)くんって知ってる?」


気を遣ってくれたのでしょうか。

ヒマちゃんが話題をスッと変えてくれます。

こういう人の気持ちをよく考えてみてくれるところも私がヒマちゃんに憧れる理由です。


なるみくん...

誰のことでしょう?


「その様子だと知らない感じ?」


「うん。えっと、そのなるみくん?がどうかしたの?」


「私さ、アクロバットサークルに入ってるじゃん?サークルの友達なんだけど、その子が部室にスマホ忘れたみたいでさ、その子のバイト先がちょうど私たちの家の近くでさ、帰りに届けてって頼まれたんだけど、寄ってもいい?」


そういうことですか。

今日はというか、いつも私はヒマちゃんと帰っているので。


「全然大丈夫だよ!」


「良かった。ありがとう。そろそろ移動しよっか。」


「そうだね」


私達はお弁当箱を片付けて外に出ます。

出口で分れてそれぞれの講義室に向かいます。

ヒマちゃんは国際言語学部で、私は人間社会学部。

当然、受ける講義も全然違うのだけれど、友達を作るのが苦手な私を心配してか、

ヒマちゃんはいつも私とお昼を食べてくれます。


ヒマちゃんはこの前入ったばかりのサークルの子ともう仲良くなっているみたいです。

流石、生粋の陽キャというべきでしょうか。

私もこれ以上、ヒマちゃんに心配をかけないようにするためにも、友人作りを頑張らないといけないですね。


と、言っても、もう7月なんですが...



ピロン


講義室に着いて椅子に座った所でスマホの通知音が鳴りました。

送り主はヒマちゃんです。

内容を確認すると、

『さっき言った子が働いてるカフェ、男装カフェだから!一応報告!授業頑張れ!』という内容でした。


だんそうカフェ?ってなんでしょうか?












  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る