ダーククラブ活動記録2「売春組織を潰せ」

リラックス夢土

第1話 赤点のテスト


 俺は紫乃原真人。

 ダーククラブの部長だ。

 今俺は人生で最大のピンチに陥っている。


 今日テストの結果が返されたのだが数学と英語と社会が赤点だった。

 そして担任の先生から言われた一言。



「赤点の奴は後日再テストを行う。それでも赤点だったら夏休みは強制的に補習参加だ。分かったな」



 まるで俺にはその言葉が閻魔大王の「地獄行き」の言葉に聞こえる。

 学生時代で夏休みと言ったら海に山に祭りにとイベント盛りだくさんの時間じゃねえか。

 その夏休みを学校で補習しろだって。

 冗談じゃない。



「マサくん。どうしたの? 答案用紙とにらめっこして」



 俺に声をかけて来たのは「原野美由紀」だ。

 美由紀と俺は中等一年生同士だが一緒に暮らしている。

 美由紀は俺の女だ。

 だが時折うるさい女房のような発言もする。

 美由紀が突然俺の答案用紙をひったくった。



「おい! 何をする!?」


「何々。数学15点。社会20点。英語は……3点!?」



 美由紀は驚きの声を上げた。



「これじゃあ。夏休み遊べないじゃない」


「次の再テストで赤点取らなきゃいいんだろ! 楽勝だぜ」


「何が楽勝よ。赤点は30点以下のことを言うのよ。つまり再テストでこの3教科全部30点以上取らないとなのよ。分かってる?」


「分かってるよ。美由紀は赤点じゃなかったのか?」



 俺は美由紀から答案用紙を取り戻した。



「私は数学85点、社会96点、英語90点よ」


「嘘だろ!? 家でろくに勉強してないのに」


「授業をちゃんと聞いてたらこれぐらい取れるわよ。マサくんは授業中に寝てばかりなんだもん」


「なんだ、マサ。お前赤点だったのか。ご愁傷様」



 俺と美由紀の会話を聞いて拓也が口を挟んできた。

 こいつは図体だけは大人の男ぐらいあるダーククラブの部員の一人「吉田拓也」だ。



「拓也は大丈夫だったのか?」



 俺が聞くと拓也は涼し気な顔で答える。



「国語が45点だったが後は全て70点以上だ」


「そんな……嘘だろ……」



 俺はガックリと項垂れた。



「拓也は俺を裏切らないと思ったのに」



 俺は拓也を睨みつける。



「まあまあ、落ち着けって。再テストで赤点取らなきゃいいんだろ。俺たちがみっちり教えてやるからよ」



 拓也は真面目な顔で俺にそう言った。



 く~、やっぱり持つべきものは友達だぜ。



「助かる。今日からバッチリ勉強教えてくれ!」


「あ、ああ。かまわないぜ。マサの家には毎日行くしな」



 俺の家はダーククラブの部員の溜まり場だ。



「じゃあ、いつも通り吾郎と武と待ち合わせして帰ろうぜ」



 俺は隣の組にいる残りの二人の顔を思い出すが憂鬱になる。

 どう考えても吾郎も武も赤点を取るような人間には思えない。



 くそっ、俺が何したってんだ。神様の馬鹿野郎!



 俺は答案用紙をカバンに詰めて皆と下校した。


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