吊り橋効果?
「ねぇどうして解ったの、教えてよ~、何にも言って無いのに~」
一寸しつこいな、幼子が駄々捏ねて質問攻めして居るみたいだ、そんなに難しい事じゃ無いんだが、妹と扱いが違いすぎてこの性格作ったんだと思う。
要は甘えたい、構ってほしい。小さい子供が当たり前に持って居るものを知らず、受け取れず、感じる事が出来ずに此処迄来たんだ、根底に在る物が幼少期から成長してない。
それを経て今の此奴を形作って居る筈。それを満たしたくて馬鹿な事をしてるのだと思う。
「どうして?、どうしてなの?」
未だ言ってやがる、小さな駄々っ子と何も変わらない。理解した其れを満たしてやれば変われる筈、10年間分かよ解決策が全く浮かばない…、どうすりゃ良い?、そんな事を考えてた。
「どうして?」
此奴の手間は長く掛かりそうだな…、あ〜脇で言い続けて余りにしつこい!。
「俺簡単な事なら人の心が読めるんだ!」
勿論嘘っぱちだ!
「凄い、凄い!」
と騒いで居るので暫く放って置く事にする、その内飽きるだろうと踏んだんだ、其の通りで子供と同じで直ぐ興味が切り替わった。
「そうだ!、お兄さんに聞きたい事が有ったんだ‼」
そう言うと荷物を漁り中から何やら分厚い本を取り出し背中に隠す。
「ねぇ、お兄さんお仕事何してるの?」
本当にしつこいなコイツ、新聞配達だって言っただろうに。
「昨日言っただろ?、新聞配達だって!」
不気味な笑みを浮かべてる、強いて言うなら猫が悪巧みした時の顔、何か嫌な予感がするんだが…。
「朝は<VT>に乗ってたよね?、昨日は<Γ>だったし、一昨日は<XT>!」
あれ何でコイツ車名まで知ってるんだ?、意外とバイクに詳しいのか?
「お兄さんのお仕事はこれじゃないのかな?」
ホントに不気味な笑みを浮かべ背に隠してた本を膝の上に乗せる、俺の記憶に在る雑誌、然も表紙の特集の見出しを指差してる。
「何で嬢ちゃんがこの本を持っているんだ…」
今度は俺の眼が丸くなる、あのオタクの友人が故郷で見せて呉れたプレスの特集が載ったバイク誌、其の本で間違い無い。
「これあたしの本だよ!、此のバイク雑誌ずっと買ってるの!」
其れホントかよ?、さっきも車名言ってたし、然も眼の前に実物が在るし…。
「お兄さんのお仕事これでしょ!」
付箋が貼られたページを開く、其のページは俺が見たあの特集のコーナーで間違い無い…。
(@_@;)…
「コレって伝説じゃ無かったんだね!、今あたしの前に居るんだから!」
「否、新聞配達だ!」
此奴何で解ったんだよ?、俺何も伝えて無い筈だぞ?
「お兄さん何で隠すのかな?、VTの前に付いてたのは確か社旗棒だったよね?、この写真と同じ様に社旗を巻いてクリップで留めて有ったでしょ!」
あんな僅かな時間で其処迄気付いたのか?、あの一瞬でコイツそんな処迄見てたのかよ?
「この人達凄く速いんだよね?、あたし後に乗せて貰ったもんね!。初めてだったよ怖い位に速かったのも、でも其の後は怖がらせない様に優しく走って呉れても速かった、やっぱり普通の人じゃ無かったんだねお兄さん♥」
「バレてんじゃしょうがない、嗚呼確かにそうだ、でも何で其の本を嬢ちゃんが持ってんだ?」
「私が本当に好きになった人もバイク乗りだったんだよ、毎月この本買ってたの知ってたからプレゼントしたんだ…、その人と同じ物をあたしも持って居たくてプレゼントした物と同じ本なの…」
やっと自分の事話してくれるのか此はチャンスだ聴いて置こう!
「あたしの大好きだったのは従妹のお兄ちゃん、いつもバイクの話をしてた、其れであたしもバイク好きになっちゃた。でも別れさせられたの…、お母さんに付き合ってるのがばれてね…、従妹だから親戚の眼が在るから駄目だって言われて…、最後の日にあたしの初めてをプレゼントしたの…」
娘の気持ちより世間体かよ!、こいつの気持ちを考えて無いのか?、兄妹じゃ流石に問題在るが従妹なんだろ?、でも其れだけでこんな事を繰り返す様には為らないよな?
「あたしお母さんの連れ子で本当のお父さんの顔も名前も知らないの、今のお父さんは妹が産まれてからは腫れ物に触るように何も言わない、でも妹の事は悪い事は悪いって叱ってる…。でもお兄ちゃんはあたしが悪い事すると悪いって叱ってくれた、いつも本当に優しかった、あの日以来逢う事も電話も出来無くて本当に辛かった…」
そうか其の従兄に父親を重ねて見てたんだな、解決方はその辺りに有るのか……、んッ?一寸待て!、俺…此奴に同じ事してないか?
<叱られる=お灸据えようと往の東金の道程、優しい=復路の東金~学校に送って行った時もと確かに本人が言ってた…、そして怖い思いしている間中俺の背にしがみ付いていたんだ=吊り橋効果迄重ねてたのか?>
ヤっちまってたよ俺!、だから懐かれたのか?、如何するんだ此の先?、全く気付いて無かった。誰か解決方法教えて呉れ!、知らない内に俺が自分で地雷をしっかり踏んでいたんだ・・。
「ねッ、従兄でも親戚でも無いもんね、付き合っても誰にも何も言われる理由も無いもん♥、此れからずっと此処に居て良いよね?お兄ちゃん♥」
「・・・・・・・」
あははははッ…、俺は知らずに地雷を踏んでいたんだ!、コレ如何すりゃ良いんだよ…?。
此処から此奴は何を起こして呉れるのか…、日々目眩との闘いに為ってしまう、此奴を乗せた
カッペが遂に大都市東京を走る? JOY POP @da71v
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