見落とした狂気
身体が温まると眠気が襲って来る、さて上がって寝るか、あの娘には俺の常識も良識も伝わらない。
俺の何かが音を立てて崩れ始めて居た。
其の時皆さんご想像通りの事が起きる。
「あたしも入る!」
生まれた儘の姿で然も何処も隠す事無く堂々と入って来る。
「嬢ちゃんは後で入ると言っただろう!」
「だから後で入って来たよ!」
嗚呼、ホントに日本語は難しい・・。
「解った!、俺は上がるからゆっくり入ればいい」
「待って、一緒に入ってよ!」
縋る様な目をしてる、
「駄目だ一人で入れ!、俺は寝る!」
「胸が小さいのは駄目?、抱きたくないの?」
予想を超えた答えが返って来る。
「嬢ちゃんに言っても判らんだろうがそう言う事は好きな相手が出来たらするもんだ!」
言い残して浴室から撤退した。
この時崩れ始めたのは俺の常識、良識、其れとも大事な記憶だったのか、関わった瞬間から引っかき回されっぱなし…。
『あ〜あ行くんじゃなかった…』
<後悔先に立たず>ホント先人は上手い事言いやがるもう是で何度目?、だがこう思うのは俺が何時迄経っても学習して無いって事なんだろうな…。
続きの間の万年床、布団は有るが一人寡夫の部屋だ勿論一組しか無い、押し入れを漁り冬用の毛布を探す。
「有った!」
南国の故郷と違い関東の冬の夜は寒さが辛くて目が覚める、此の毛布の御蔭で此の冬は風邪も引かず越せた、僅かな時間では在ったが人の温もりが有りがたかった。
毛布を手にし是に包まれば炬燵でも寝れるだろう、冬じゃ無いからな…。
風呂を出た音がして現れた姿はバスタオルでは無くパジャマを着ている、着替えた物が入ってるのかレジ袋を下げてる…。
コイツ
「さあ寝るぞ寝坊したら洒落に為らないからな」
其の眼は布団と炬燵に敷かれた毛布を見比べてる。
「ほら、大人しく布団に入れ!」
「やだっ!一緒に寝てよ?」
首を激しく振って抵抗する、聞き分けが無いな此奴・・。
「だから俺らは飯食ってコーヒー飲んだだけの仲だろ、お互い名乗っても無いだろうが!」
「一人はやだっ!、何をしても良いから一人にしないでよ!」
時間も遅く眠気も襲う、是以上問答したく無く降参した。
「腕枕して!」
口を尖らせ拗ねていた、ハイハイ判りました。腕に久し振りの重みを感じる、この重みもう一年振りに為るんだな…。
「お兄さん何時に家を出るの?」
じっと此方を見て居る。
「明日は出社が10時だから9時前には出るかな?」
そう言うと腕に掛かる重みが手前に動き、小さな手を回して俺の上着を握り締めて居た。
「随分ゆっくりだね?、よしっ決めた!」
何を企んでんだ此奴と思ったのだが流石に疲れが溜まって居たのか考え終えぬ内に俺は眠りに落ちていた。
違和感を感じ目が覚める。
「全く朝っぱらから何やってんだ悠美!」
勿論寝惚けてる、其の動きは名を呼んだ時に止まるが暫くすると再開した、此処に居ない筈の名を呼び一瞬で覚醒した。
「おはよう、其の人じゃ無くてゴメンね.、時間は充分時間あるから大丈夫だよ任せてね💗」
「何をしてるんだ?お前?」
(@_@;)⁉
直ぐに返事が返って来る。
「子作りだよ!気持ち良くない?」
そう言う問題じゃ無いだろ!
「お前そんなにしたかったのか?」
「いつもするの嫌だった!、でも一人でいる方が恐くてもっと嫌だった!」
首を振り泣きだした。
「なら直ぐに止めろ!、俺はそんな事要求して無いだろ!」
「お願い私の事を性欲の解消道具じゃなくてちゃんと人として見て呉れた人と繋がってるの!、最後迄止めない!」
不味いもう持たない此の感触は間違い無く何も着けて無い、この娘中で出てしまう、肩を掴み止めさせようと試みるがこの小さな体の何処からこんな力が出て来るのか、腕を掴まれ引き剥がされる。
「馬鹿直ぐに止めろ!、中で出ちまうだろ!」
激しく首を振る。
「やだっ!着けないでするのも初めてなの!」
「エッ?」
「気持ち良いのも嬉しいのも初めてなの、そのまま全部受け止めるから!」
嘘だろ?、否其れ処じゃ無い!
「やばッ!」
間に合わなかった…、未だ学生の子の中で…、これ如何するんだ…?、自分から始めた訳じゃないとは言え醜悪な罪悪感だけが残っていた、だが当の本人は…。
「本当はこんなに気持ちいいんだね、ありがとうお兄さん💗」
満面の笑みで嬉しそうに笑ってる、対する俺の気も知らずに…、この時は気付か無かったんだこの娘の眼が笑って無い事に…。
「お腹の中が温かくて嬉しい、今日だけじゃムリだから次は赤ちゃん作ろうね♥」
何を言ってんだ此奴は?、壊れたのか・・?
「一人になるのはもう嫌、本気で叱ってくれて優しくして呉れたお兄さん、その赤ちゃんの
言っている事が支離滅裂で繋がらない…、唯その顔は本当に嬉しそうに笑って居た。
何なんだよ此奴は一体何を考えてるんだ?、一昨日会ったばかりで素性も判らん男に何でそんなに嬉しそうに笑えるんだ?
ふと視線の中に入った時計。
「ヤバイ9時前だ!、時間ギリギリ間に合うか?」
「もう終わり♥?」
「俺は仕事に行く!、今日は大人しく家に帰れ!、カギを掛けて郵便受けに落として置け!」
手早く着替え装備を身に纏い鍵を握らせる、そしてVTに飛び乗り本社に向かう。
その娘はVTを見て何か叫んでいたが其れを気にする余裕は一切無くスロットルを開けた。
「珍しいなギリギリなんて?」
市川ICから首都高に乗りギリギリで到着、滑り込み竹村先輩に言われる。
「どうせ御姉ちゃんとでもねんごろだったんだろ!」
村上先輩が確信を突いて来る、図星だった。
「この顔で彼女出来ると思います?」
『確かに!』
と皆が言って呉れて何とか凌ぎ切れた。
「森田君上がって」
到着間も無くインターホンが鳴る。
切り替えろ此処からは一プロのライダーの時間!、悩むのは乗務が終えてからだ!
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