未だ其の呼び名が無かった頃の痛車!

 全く有難くない二つ名を入社早々に拝命してしまう。

 。・゜・(ノ∀`)・゜・。


 

 届け終え詰所に戻ったのだが、其処で全く有難く無い事が起きてしまう、入社早々にして全く有難く無い二つ名を拝命してしまう。

 『キチ〇イ森田』

 命名は藤村さん。

 別件で週刊誌用に作家さんの原稿回収で横羽を先輩が走っていたらしい、俺は全く気付かなかった。

 (。ŏ﹏ŏ)ウーン…


「此奴馬鹿だろ!トラックの隙間に突っ込んで行ったから事故ちまったと思ったぞ!」

 そうあの時を目撃されていた、先輩の話が止まらない…。

「隙間に入って行ったからやっちまったと思ったんだ、だがこの馬鹿もう次のコーナー回ってやがったんだぞ!」

 そう言い終わると先輩に羽交い締めに遭ってしまった。

「何をやりやがったんだ、吐きやがれ!」

 まるで取り調べだ、其の遣り取りを聞いていた社員さんが立ち上がって声を掛けて来られる。


「お前、コンテナの下に潜ったんだろう?」

 藤村さんが話に入って来られる。

「俺もやれそうだとは思った事は有る、が、本当にやる奴が居るとは思わなかったな、良し今日からお前はキ〇ガイ森田だ!」

 入社早々に二つ名が決まってしまう、全く持って有り難くない二つ名だった…。

「勘弁して下さい!…」

 ( ノД`)シクシク…


 数日後、全く急ぐ事の無い当番仕事が回って来る。


 目的地は上野駅、場所は貨物受け取り窓口、地方に在る支局から列車で記事と原稿やフィルムが送られ其れを駅でピックアップする、今回は本紙の地方記事が送られて来るので其れの受け取り、平たく言う処のお使いだ。

 列車は定刻通りに到着するし受け取りも定時、しかも到着は遅い便でも17時前、地方版の締めの時間は19時と時間はタップリ有る、受け取りも時間も回収して本社への帰社も時間は余るほど有る。他にも千葉方面からの受け取りで両国貨物駅の受け取りも有るが、今回は前橋支局分の回収乗務。


 時間に余裕が有り、一旦上野駅を通過し遠回りして昭和通りを北から下る、初めて見る上野バイク街を通過しながら確認する。<ここがバイク街なのか、パーツ等も此処に来れば手に入るのかな?>思いながら通過して駅に入った。

 何時も部品は船橋に在る〇海部品で購入してる、在庫が無い部品は注文して到着待ち、当時は現在の様に到着の日時等は不明、凡その到着日が判れば良い方で受け取れるまで時間が掛かる、でも此処なら潤沢に在庫在りそうで直ぐに手に入りそうだ、休みの日にゆっくり眺めに来よう。


 其れでも早く着きすぎたので時間潰していると小排気量の2stの音が高架に反射して此処まで届く。此の音懐かしいな水冷の<RZ>と違い少しカン高い音、空冷<GR>の音に近かった。


 この音も良い<GR>懐かしいよな、一生懸命走っているのが伝わる此の音、バイク街の近くだから珍しくも無いのだろうが、そんな事を思って居た。


 でもその音は昭和通りを北にへ向かわず、シフトダウンしながら此方に近付いて来る。

 お仲間かな?上に乗る必要なければ、都心の王者はハーフクォーター、2st125ccが多分一番速い、巡航速度も加速力も充分、何より軽く小回りが利く、軽くて十分な加速力是に勝る物は無い。


 俺がVTで躊躇する隙間も入って行ける、バーエンドを二センチ位ずつカットして、ラジカルミラー<正式名称は合って居るか不明です>セットすれば、ミラーを内側に倒してガンガン行けるだろう、貸与車両じゃ無理だが、何時か契約社員に成れば車両は持ち込みなので其の時は俺の<RZ>で走れる、エンジンは小さいがアイツは回せるし、俺と違って細身だから都心なら十分走って呉れる筈、何時に為るかは判らないが…、其の時其処に現れたのはやはり同業者だった。


 <AR80>そうか此れの音だったんだ、如何にもPRESSという風貌で此方に近付いて来る。

 然しVTの横に停めたARに愕然とする。

 <あの時城下へ一緒に走った奴と同じ匂いがした…>


 ワンポイントとでも言えば良いのか?、サイドカバーに手作り?のカッティングシートでキャラが貼って在る<痛車>だった。

 <勿論、此の頃にこの呼び名まだ無いですよ!>


 描かれていたのは〇子さん、独特のひよこと〇iyo!Pi〇o!の文字と共に然もショッキングピンク!、俺もう〇星から読み続けているが、流石に此の考えは全く無かった。


 降りて来られたライダーに声を掛けられる。

「お疲れさん!」

 とメットとバンダナを外したお顔は全く想像出来ない位の好青年イケメンで在った。

 やはりこの趣味を持って居るのは残念な方が多いのかだろうか?、勿論俺を含めてだ…。

 (´-`).。oO



 コンビニとカッペシリーズを最初からお読みの方は、あれ?と思われたかと思います。

 そうです此の車両もPRESSに成ると決めた時に見たもう一台!、此のARであの日見た三台全てに出会う事が出来ました。

  <残念!>

 只この趣味を出さなければ、きっとモテる筈それ位の好青年。

 中々会って話をする機会は無かったのですが、すれ違ったり並んだ時には手を上げて挨拶する位は良く在りました。

 供に同じ先生の作品のファンで有ったので、お話しする機会がもっと有れば話は盛り上がったのかもしれません、意外と多かったんですよ此の趣味の方…。

 (ΦωΦ)フフフ…

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