ティルズ オブ ファンタジー

@mizunomi_hyakusho

第1話 プロローグ

人間の歴史は魔族との戦いの歴史であった。それはどの場所に住んでいても同じである。彼らは倒しても、倒してもどこからか現れ、人間を殺し、攫い、喰っていた。彼らにとって人間は肉であり、憎むべき相手であり、敵であった。敵である彼らに比べて人間たちはあまりにも非力であり、彼らに立ち向かうためにあらゆる知恵を絞った。ある人は武器を持ち、またある人は城壁で街を囲い、あるひとは遠く離れた島に逃げた。どの手段も正解なのだろう。手段は違ったが、生き残ることを皆考え行動した。努力の結果は本人に報いられる。環境を選ぶことは誰にもできない。各々厳しさが違うであろう。しかし、生まれた環境がその人にとっての正解であるとは、必ずしも限りではない。その土地にはその土地の、その国にはその国の暮らしがある。旅人は何を思い旅するのか。居場所を求めて彷徨うだろうか、あるいは当てのない旅をし続けるのが本望なのか。どちらも正解なのだろう。環境が緯度や経度、季節風に左右されるように、我々人間にも年齢があり、性別があり、感情がある。自然の美しさに目をみはることは、命の営みの美しさを紡いでいくことと同義なのである。今日も地球は自転をし、風が吹き、砂が舞う。我々も歌い、踊り、熱を帯びる。山脈に白雪が積もる。凍てついた心を温めるのは太陽か。それとも…。

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