霊感少年と幽霊少女のご近所怪奇伝
かんぽうやく
1
「ご、ごじゅーしょく、あの、おりんの中に、女の子が寝てます」
玲央と同い年くらいに見えるその子供は、何故か半透明だった。彼女は相当驚いたのか、目を何度も見開きして叫ぶ。その叫び声に玲央がまた驚いて、慌てて大人を呼びにかかった。お坊さん、を何と呼んでいいかわからず、親の呼び方をたどたどしく真似て。
話をしていた大人たちは、互いに一度目を見合わせて、順番に玲央へ話しかけた。
「玲央、また何か見えたの…?」
「そういう話はお外でしないって、お父さんとお話ししただろ…?」
母の
ひたすらに戸惑う一家を前に、住職、
「…玲央くん、ご両親も。…少しだけでも、話していただけませんか」
‐
「そうですか、玲央くんには、見えているのですね…」
玲央と両親は本堂に通され、お茶を供された。夫婦は横並びに座り、玲央は母の膝の上に抱えられている。早乙女夫妻は改めて、息子の霊視能力のことを住職に話す。
すると道永は神妙な顔で、何度もうなずいた。
「見えている…?」
「ご住職、心当たりがあるんですか?」
両親は口々に住職に尋ねた。
道永は物悲しい目で、玲央が目撃した幽霊の根拠を語った。
「…昔、私には娘がおりました。……おなかの子と共に亡くなったのが、ちょうど三年前です」
夫婦は息をのんだ。玲央には難しい話は解らなかった。しかし、母親の腕がぎゅっと自分を抱きしめた強さで、何かつらい事が起きたというやるせなさは感じ取った。
「孫には会えませんでしたが、それでも、居るような感覚だけはあったのです。そうですか、やはりずっとここに…」
住職は寂しいような、それでもどこか希望を見出したように微笑んだ。
‐
一家は寺での役目を終えて帰宅した。その夜、三人で慎重に話し合った。
今まで誰にも相談できず、確かめようもなかったが、玲央の霊視は本物なのだ。血の繋がった家族とはいえ、何もかもを理解することはできなくとも、互いに寄り添って生きていけるなら。
父親と母親は、二人でそっと玲央の小さな体を抱きしめた。
そうして両親の愛情と優しい理解を一身に受けた玲央は順調に育ち、十一年経った現在は。
「玲央?忘れ物は無…」
「うるさい!!」
立派な反抗期に突入していた。
早朝の玄関ドアが、けたたましい音と共に閉じられる。
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