Sing a song for anyone

白星雨華

最終話 誰かに届け

外の空気は冷たく、月が薄らと見える頃、私はとある場所へと電車で向かっていた。最寄駅についた後は、目的の場所まで歩いて向かった。朝早いからか人がいなく、朝焼けの空を見ながら歩いていた。目的地は海の近くにあるため、風が心地良かった。朝早くの海を誰もいない時に間近で見れる機会は中々ない、と思う。

「…少しだけ、寄り道していくか。」


日の出の時間を過ぎたからか、海に朝日が照らされていて、天の羽衣のように綺麗だった。良い歌詞が思い浮かびそうなくらい、居心地が良かった。

「もうそろそろ移動しよう。約束の時間を過ぎてしまう。」

私は砂浜を思いきり駆け抜けた。久しぶりに走ったからか、すぐに息が切れた。冷たい空気が肺にまとわりついているような感覚だった。




「…ついた。」

目的地—それは、海と街が綺麗に見える丘だ。ここで、もうこの世には存在しない友人と、とある約束をした。それは—


【夢が叶って有名になったら、朝焼けが綺麗な時間にここに来て、空に向かって伝える事】


「君は今、元気にしているかな。約束、ちゃんと果たしに来たよ。歌い手になって、海外公演も決まったんだ。君は今、天国で楽しく、辛い事なく生きているかな。…歌い手の夢、君の分まで叶えてくるね。それじゃあ、次は海外公演成功させてから来るね。…元気でな。」


—君は今、天国で願いを叶えていますか。そちらの世界は、戦争などの辛い事が無いですか。君が、ずっと幸せでありますように。君の分まで絶対生き抜くから。


海の波の音と太陽の輝きが、想いに応えるように共鳴した。

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Sing a song for anyone 白星雨華 @amakashiroboshi-

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