これも誰にも読まれていない作品だと思われますが、とても丁寧に描かれている作品です。
心理描写の丁寧さや、登場人物の感情の揺れを細かく追える点、またタイムリープや現実の出来事を絡めながらテーマ(孤独、成長、セクシュアリティ、他者とのつながり)を自然に描けているところは、かなり完成度が高いように思います。
高校生がここまで書けるのは驚きですし、文章のテンポや会話の自然さも優れています。
欲を言えば、長さや描写の密度が多いため、読む人によっては少し情報量が多く感じるかもしれません。
でも、それも作者の世界観や主人公の内面を豊かに表現している証拠であると私は思います。
しつこくなってしまうのですが、高校生の作品として、非常に完成度が高く、読後感も強く残ります。
取り扱うのが難しく、ややもすると、興味本位なってしまいかねない性別やセクシュアリティのテーマを自然に物語に組み込み、登場人物たちの内面の葛藤や救いを描いている点も優れているように思います。
難しいテーマに取り組んだ高校生作品としては卓越した心理描写力と構成力を感じます。
これどうして誰も読んでないんだろう。