まずタイトルとキャッチコピーがバチバチにシビれる。掴みは最高。
中身はというと、これも期待をはるかに上回る素晴らしさ。読み始めたとたん、令和に生きている読者はたちまちのうちに、世界がまだ今ほどつまびらかでなかったころ、路地裏や真夜中に怪物がいることを心から信じることができたあのころに立ち戻る。
そして彼らのそんな青春は、どこまでもみずみずしい。この作品が過ぎ去った過去に浸るためのものではなく、未来に継承するために書かれた何よりの証左だ。
優れた無駄のない伏線回収も、ゼロ年代ライトノベルがミステリの影響を多大に受けていたことを思い起こすと、いっそう趣深い。
志波氏がカクヨムに発表した作品は多数の大傑作があるが、その中でも一二を争う傑作だと言っていいだろう。