星の下の奇跡

@tamorita1521

1話目

 僕には好きな人がいる。その人は今、隣で一緒に歩いている工藤さんだ。今、僕たちは二人で遊びに、いわゆるデートというものをしている。なぜデートに行けたのかはあまり覚えていない・・・・。そうそれは3ヶ月前のこと───



 僕は考査週間ということもあり、学校に残って勉強をしていた。いつも他の生徒は午後のホームルームが終わると同時に足早と帰っていく。そんなのが日常となり、学校の中でひとりで勉強するということに慣れていった時のことだ。ガラガラッとドアが開き、誰かが入ってきた。こんな時間に来るのはかなり珍しい、忘れ物か?と思いその僕の勉強を邪魔した侵入者を睨み見ると、なんと工藤さんだった。睨みを聞かせてしまった申し訳なさと驚きで工藤さんを見たままコンマ数秒固まってしまい、かなり不自然になってしまった。その不自然な行動を直そうとゆっくり机に向き、テキストを解こうとしたが、工藤さんは僕を呼び止めた。

「あのさ、ここに座るね」

そして僕の斜め前に座った。僕は緊張と何を返していいか分からず黙ってしまったが工藤さんはこの無言を肯定と捉えたのかそのまま座り、数学のワークをカバンから取り出した。え、勉強するの!?と言いたかったが今の時間に教室に行って座るのは勉強をする以外にないだろうし、これを言うことで座って欲しくないと思われたら嫌なので心の中に留めた。そこからお互い黙々と勉強をして20分が経った時、工藤さんが後ろを振り向いて言った。

「勉強中にごめんね、ここの問題教えくれない?数学得意だよね?」

「え?うん、どこの問題が分からないの?」

言ってなかったが僕は数学が得意だ。経済学部に行きたいから文系にしたいと言ったら先生含め、友人にも真剣に止められるほどに。今工藤さんが聞いている問題も解くために少し知っておかないといけないものがあるが、それさえ知っていれば誰でも解ける問題だ。

「これをこうしたらあとは有理化して終わり。ここの公式を覚えてないといけないから、これはできなくてもしょうがないよ。」

「ありがと、また分からない問題があったら聞くね。その代わりに国語と英語だったらなんでも聞いてね。わかると思うから」

そう、工藤さんは超が付くほどの文系なのだ。もちろん頭はいいので数学が低いわけではないが、文系科目になると平均10位くらいで低くても20位より下なのを見たことがない、それほどの文系女子なのだ。工藤さんは黒髪のロングであまり自身を飾らず、それでいて綺麗で知的の様子はまさに大和撫子のようで、そんな工藤さんに見惚れ、好きになってしまった。そんな工藤さんとまた話す機会があるかもという知らせに体が躍るような感覚を抑えながら

「ありがとう、その時は聞くね。」

とさぞかし何も無い感じで返答した。だが、せっかく2人きりで話しているのにこれだけで終わってもいいのか?せっかくなら勉強以外のことも話して仲良くなりたい。国語が得意なら本の事なら聞いても違和感はないだろう。僕もある程度は読んでいるから有名どころはわかる。と思い工藤さんに問いかけた。

「そういえば工藤さんって本好きなの?国語が得意なら日頃から本読んでるのかなって」

「うん、好きだよ。最近は湊かなえさんとか読んでるよ」

よしきた。湊かなえなら僕もある程度は読んでる。

「僕も知ってるよ。告白とか読んだけど後味が悪すぎてゾッとした。」

その返答に工藤さんはあまり見せない食い気味の様子で

「え、ほんと!?あれは怖いというよりもゾッとするよね!」

など話が盛り上がり、勉強をする目的も忘れ、30分程、本のことについて語っていた。その話の中で互いのお気に入りの本を読み合う約束をし、2人の距離が近づいたように感じ、これが最初の関わりだったな。



 そこまでの記憶を鮮明にしたとこで

「ここかな?博物館」

と聞かれ僕の意識は引き戻された。せっかく横で歩いているなら話くらいしろよと思う人も多いだろうが、ただただ緊張してしまい、話を振ることがなに1つできなかったのだ。

幸い、この時は2人とも話さなくても気まづい雰囲気ではなかったが、この質問に対して何も言わないのは失礼なので僕は答えた。

「ここだね、写真で見ても大きいけど実物はとんでもなく大きいね。」

そう、今日行く科学館は五階と大きく、各階にそれぞれ異なるテーマのエリアがある。それに加えプラネタリウムも常設されている日本でも屈指の科学館だ。工藤さんに学があるのは言うまでもないが僕もない訳では無い。それに僕自身が元から行きたいと思っていたのでここに行くことにした。そこから数10秒も経たずに科学館に到着し、入場受付を済ませたらプラネタリウムの予約を取るために最上階へと向かった。早く行ったため難なく席を取ることができた。

「どこのエリアに行きたい?」

「うーん、じゃあ二階から上がっていこうよ」

対して断る理由はないため、二階に行った。

「目の錯覚・・・か」

「トリックアートとかそういうのだよね」

そこは視覚や聴覚がテーマで平面の絵が立体に見えるなどの展示品が数多いのだが、一つだけ驚かせるものがあることを知っている。それを思い出すと悪戯心が湧いた。

「工藤さん、これおもろそうだから見ない?」「うん、いいよ。どれ?」

工藤さんを誘導し何も無いことを装いながら

「これ見てみてよ」

「うん」

それは急に飛び出して来るように見えるものだ。工藤さんが覗いた数秒後、

「うわぁ!なにこれ!」

僕は抑えられなくなり笑ってしまった。その反応を見て恥ずかしくなりながらも工藤さんは聞いてきた。

「ねぇその反応もしかして、知ってたの!?」「うん。いい反応するねー」

 とからかってみたら工藤さんは顔を赤く染めた。

「次のエリア行くよ!」

そう言って逃げながらエリアに向かっていた。

そんな工藤さんがとてつもなく可愛く見え、もっと見たいと思った。そんな工藤さんを僕は追って3階に上がった。三階は物質のエリアで、密度や性質の他に結合の仕方などが模型図で表されているのだが、ちょうど少し前に科学の授業で物質を習ったばかりだったので2人はテンションが上がり、僕は興奮気味で問いかけた。

「うわっ、これとか授業でやったよね!?」「ね、模型で表されてると分かりやすいね!」

そこからは問いては共感の嵐だった。その勢いがある程度収まった時、小学3、4年生くらいの男の子が体験型の展示物で遊んでいるのを視界にいれた。それは一辺10センチの立方体が複数個あるのだがそれぞれの密度が異なり重さを体験できるものた。男の子が一番重そうな物を上げられなく諦めてしまい、去ってくのを見てから僕は工藤さんに声をかけた。

「これやってみない?」

「いいけど・・・先やってよ」

ここは少しでもいいところを見せるチャンス!と浅はかなことを思いながら持ち上げるが、想像以上に軽く一番重いのも対して苦戦せず成功してしまった。こんなのじゃあ工藤さんも持ち上げられるな、と少し気持ちが落ち込んだ。

「はい。じゃあどうぞ」

工藤さんにバトンタッチし見る方に回った。工藤さんも軽々と持ち上げはしたが最後の方になると苦戦をしだし、最後のは持ち上げられなかった。その結果に驚愕しながらもまた、悪戯心が湧きからかうように言った。

「工藤さん、あの小学生といい勝負じゃん」

「女子は別に力がなくてもいーの!」

「ごめんごめん、冗談だよ」

工藤さんが少し拗ねた感じがしたが、またそこも可愛く見えた。やっぱり好きな人はどんな表情でも可愛く見えてしまう。そんな事を思っていると工藤さんが尋ねてきた。

「もうすぐプラネタリウムの時間じゃない?時間大丈夫?」

「え、ほんとじゃん。教えてくれてありがと!」スマートフォンを見るとプラネタリウムの開始時間まで10分をきっていた。どうやら楽しくて時間が過ぎる感覚が麻痺していたようだ。軽くお手洗いを済ませ、プラネタリウムの席に座った。「プラネタリウム楽しみだね。私久しぶりに来たよ。そっちは行ったことある?」

「ううん。僕も小学三年生ぶりとか───」

「皆さま、お待たせいたしました。ただ今からプラネタリウムを開始いたします。お手持ちの携帯電話・スマートフォンは、マナーモードに設定いただくか、電源をお切りください」

そのようなアナウンスが聞こえた。工藤さんの方を確認すると、人差し指を唇にあててシーとしているのが見えたので、それに頷きスクリーンを眺めた。僕はプラネタリウムを見るのを半分意識を使い、もう半分はあの日以降の記憶を掘り返していた───



 あれから1ヶ月半、時々本を貸したり借りたりしていたが大きな進展はなかった。今日は工藤さんに本を貸す予定があったので少し早めに学校に着いた。あまり周りから関わりがないと思われているからみんなの前で渡すと色々面倒くさそうなので本を貸し借りはみんながいない時、という話をしたのだ。教室に着いたがまだ工藤さんはいなかったので先にリュックの中の教科書を出し、授業の準備をした。3分後、工藤さんが現れたことにより作業は一旦中止された。

「工藤さんおはよ」

「おはよー」

お互い軽く挨拶し、僕は貸す本を探すためにリュックをガサガサした・・・がどれだけ探しても見つからない。なので教科書を1つずつリュックから出していった。

「適当に入れすぎてて本見つからないの?笑」

そこで初めて工藤さんにからかわれた。

「違うよ!どれだけ本探しても入ってないん⋯あっ、ごめん。多分机の上に置きっぱなしだわ⋯」

そう言い終えて、工藤さんの方を見ると何か考えていた。そう思っていたら、

「明日の土曜日予定空いてる?」

と思いもしないことを言ってきた。僕は困惑しながらも

「何も予定は入ってないよ」

と言うと少し工藤さんが安堵したように見えた。「じゃあ、本借りたいし明日会わない?」

「え??うんいいよ、どこでも会う?」

休日でも工藤さんを見ることが出来るという喜びを感じ、ほぼ即答に近い形で返した。だが、ただ本を返して解散ではもったいない。せっかく会うならもっと長く居たいけど、デートに誘うのは絶対に違うと思った。そこで導き出した言葉は・・・「あのさ、本貸すついでに一緒に図書館で勉強しない?」

勉強だ。これなら怪しまれないだろうと思った。しかし工藤さんは渋い顔をして言った。

「勉強かー・・・休日はちょっと休みたいな」

断られてしまった。じゃあ次はどこに誘えばいい?いや、何回も誘うとキモがられるか・・・と落胆していると工藤さんが言った。

「勉強はちょっと嫌だけど、どこかで話そうよ、近くの喫茶店とかで」

まさかの提案であった。その言葉でさっきまで沈んでいた心が舞い戻った。

「うん。そうしよ!」

この時はもう僕が工藤さんのことを好きだということがバレてもかまわないと思った。それくらい嬉しかったのだ。その時、教室の扉がガラガラッと開きクラスメイトが入ってきた。その人は工藤さんの友達の綾瀬さんで工藤さんと挨拶をするために工藤さんの元に行った。そのため、その日の話はこれっきりになったがあの時の余韻に浸かっていたため、普通はそのタイミングで入ってくるなよとなるが、その時はまったく思わなかった(今になっては思うが)。その翌日、2時に喫茶店に待ち合わせしてしまったが、早く会いたすぎてしまい20分前には着いてしまった。外で待っているのも何か違うな重い入った。チリンチリンと入口に設置する鈴の音が鳴り、店員が一人出てきた。

「いらっしゃいませ。何人様でしょうか」

「2人です。今は1人ですが、後からもう1人来ます。」

「承知いたしました。こちらの席へどうぞ。」

そう言われ、席に座り、何を話すかを考えた。何も思いつかないまま10分後、チリンチリンと鳴り反射的に見ると私服姿の工藤さんがお店に入っていき、店員と何が話をしていた。すぐに話が終わり、左右を見て僕が見えたのかこっちに来た。「ごめんね、待った?」

「ううん、ちょっと前に来たところ」

社交辞令的な会話を挟み、工藤さんは僕の前に座った。そうして、教師への愚痴や本の事、日常で起こった何気ない話をした。別に何を話すかとか何も考えなくていいんだな、と少し前の自分を説教するかのように思っていると

「ん、どうしたの?何かおかしなことあった?」

そう言いながら工藤さんは下を向いていた僕の顔を見るように覗いてきた。そんな行動に恥ずかしさを感じ目を逸らした。

「別になんもないよ!ちょっと考えてただけ」

「ん?どんな?」

そう聞かれたが、

工藤さんと話す内容を考えていたよー!なんて言えるわけないじゃないか!!とツッコミを入れずはいられなかったが、ひとつ突拍子のない思ってしまった。ここで工藤さんをデートに誘えば行けるのではないだろうかと。そんな事を考えていると少し間が空いてしまい、妙な空気になった。逆にこの空気感で言った方が真剣な事が伝わって良いのではないかなど考え、もう僕はいつの間にかバレないよう誘う、ではなく、バレてでもいいから行きたいと思った。

「ねぇ、工藤さん」

「ん、どうしたの?そんな改まって?」

少し不安そうな表情をしていたが、僕は止めなかった。

「あのさ・・・今度一緒に遊ばない?二人で」

この時の工藤さんの表情はどうしてたか分からない。緊張のあまりしっかり見ることができなかったからだ。だか、返事の言葉はしっかりと聞こえた。

「いいよ、どこにするとか決めてるの?」

それはOKの言葉だった。僕は今すぐにでも飛び跳ねたい気持ちを必死に抑えた。

「決めてるよ。科学館はどう?」

デートに誘う予定はなかったが、ずっと初めてのデートは科学館でプラネタリウムを見たいと思っていた。

「いいね!行こ行こ!」

そこから軽く遊ぶ日や集合時間や場所を決め、その日解散した。その日の夜、喜びはもちろんあったが葛藤に苛まれていた。それは工藤さんに告白をするかどうかだ。このままの流れだと付き合える気もするのだが、付き合うことについは、そうはいかないとも思った。

「どうすればいいんだ?まだ告白は早いか?」

など誰にも聞こえない、むしろ聞かれてはならないことを呟き、悩んだが答えは見つからず、睡魔に負け───



 そこまで鮮明に思い出してふと思った。そうか、僕は工藤さんに思いを伝えるかどうかを迷っていたのか。ここまで工藤さんとデートをして、そのことを思い出してもまだ決めることが出来ない。葛藤していると

「ここまでご視聴していただき、ありがとうございました。最後に地球から今観測できている地球の果てまでを投影いたしますのでご覧下さい。」

ガイドがそう口にした後、プラネタリウムは地球を写した。そこからどんどん離れ、火星や土星など、知っている星まで行ったのち、太陽系、銀河、その銀河が沢山集まった銀河団などを写していった。その星達はたとえ映像の中だけだとしても僕に一生忘れられない感動を与えた。それから天井にある暖色の照明が光り上映が終了した。

周りの人達が席を立ち出口へと向かっていったが、横にいる工藤さんに静止を促し人の流れが少し収まってから二人は立った。お互い無言となったが工藤さんがそれを破った。

「凄かったね。特に最後のが」

「うん⋯ほんとに凄かった。感動したよ」

素っ気のない返事に工藤さんは少し戸惑っていた。

「ねぇ次はどこに行く?」

「⋯⋯5階から降りてこ」

なんとか返したが、プラネタリウムが終わってしまったことで、頭の中は告白をするかしないかのことでいっぱいになっていた。そこから、5階、4階と行ったが何も集中出来ず、工藤さんにも気を使わせてしまった。そのまま科学館を出た。出ると12月下旬のこともあり空はすっかり暗くなっていたので、スマートフォンを見て時間を見ると6時半となっていた。

「もうそろそろ帰ろっか⋯⋯」

僕はそう言い、自分にこの葛藤に終止符を打つ時間の制限を設けた。二人が解散するまでには決めよう⋯と。

「いいよ⋯けど帰りにここ寄らない?」

そこは帰り道の途中にある少し大きめの公園だった。

「いいよ、じゃあそこいこっか。」

帰り道から対して外れていないため、その公園へ向かった。その道中の空気は妙な空気になっており、2人とも喋らずただ歩いていたのだが僕はその空気を気まづいとは決して思わず、逆に少し安心感があった。公園に着き僕は疑問にさを問いかけた。

「なんでここに来たかったの?」

「ここでちっちゃなイルミネーションがやってるんだって、だから見に行きたいなと思って」

そう言い終え、角を曲がると光の点々が見え始め少し歩くと光が辺り一面に広がった。公園なので元々暗く、光がそれらしかなかったのでとても幻想的に見え、まるで先程まで見てたプラネタリウムの最後の映像に自分が入ったように感じた。「きれい⋯だね」

そう漏れると工藤さんは安堵して言った。

「やっとちゃんと言ってくれたね。プラネタリウム終わってからなんか変だったんだから心配したんだよ。」

そう言われ、ここに来たのは工藤さん自身が見たかったのもあるだろうが、僕を励ますために連れていってくれたのか⋯そう思った。

そうだと思うとさっきまで考えてた事が本当にどうでも良くなった。

「ごめん⋯プラネタリウムを見てからずっと悩んでいた事があるんだ。」

「ん?どんな?」

僕は決意を強く固め、まっすぐ工藤さんを見た。「それは言えない。けど、これだけは言わせてくれ。」

僕はスッと息を吸い、続けて言った。

「工藤さんの事が好きだ。だから僕と付き合って欲しい。」

そこまで言い終わると工藤さんは少し笑った。「もしかして、そのことでずっと悩んでくれてたの?」

僕は無言を貫いた。

「あ、それは教えてくれないんだ。うんいいよ。私も好きだから。」

僕が安堵でいっぱいになっていると工藤さんが続けて言った。

「けど、付き合うんだからせめてさん付けは止めてよね。別に名前呼びでもいいんだよ?笑」

まさかのからかわれた。科学館でやった時の仕返しか?そう思ったがこの空気を少しは楽にするために言ってくれたと感じた。

「よろしくね、工藤。」

そう言うと工藤は照れながらも頷いた。

「ありがとね、工藤がここに誘ってくれてなかったら告白してないと思う。」

工藤は頬を赤らめており、気まづい雰囲気から逃れたかったのか工藤は言った。

「そういえば、ここってプラネタリウムの最後に似てない?」

「うん。僕もそう思った。だからここで告白したんだよ。もし、今日せずに違う場所で告白したとしてもここよりいい場所がないと思ったから。」工藤さんはそれを聞き、更に顔を赤らめた。

「もうっ!その話から逃げたかったのに!帰るよ!」

と言い、足早と駅の方向へと歩いていった。僕はそれを駆け足で追いかけたが、工藤は元から逃げる気がなかったのか元の速さへと戻していった。そうして2人は並んで少し歩いたところで僕はは工藤にしか聞かれない声で言った。

「付き合ってくれてありがとね。これからもよろしく⋯」

「⋯⋯うん。よろしくね」

そこからは何も喋らず、しかし二人の思いは同じのまま駅へと歩いていった。

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