はるかぜ
戸守 紬
第1話
「こんばんは。あなたに温かい春を届けるVtuber、春野はるかぜです。今日は、みんなからいただいたマシュマロに返信していきたいと思います。」
毎週木曜日の午後八時。今日も私の大好きなはるちゃんの配信は始まる。はるちゃんはトルテリボンという大手事務所に所属しているVtuber。桃色のくるくるとした長い髪がチャームポイントの春の妖精さん(そういう設定)である。
「配信見るためにご飯とかお風呂をはやく済ませた甲斐があるわ。超かわいい。」
そんなことを考えながらiPadの画面を
眺めていたら急にスマホの通知がなる。
「なんだろう。」
そう思って手に取ると、Xの相互のももかぜさんからだった。
〈桜吹雪さん、誕生日おめでとうございます。お祝いにイラストを描いたのでよかったら……〉
そういう文言とともに送られてきたのは、大好きなはるちゃんが私のXのアイコンのくまを抱きしめてにっこりと笑っているイラストだった。あまりのかわいさに思わずスマホを落としてしまったが、すぐ我にかえりポチポチと返信をうう。
〈ありがとうございます、ももかぜさん。とってもかわいいです! こんなすごいものをいただいて、何もしないわけにはいかないので、今度、何かお礼をさせてください。〉
〈でしたら、今度一緒にトルテリボンのコラボカフェに行きませんか? 一度直接会ってお話したいと思っていたんです。〉
突然の誘いにどうしようか悩んでしまう。私はネットで出会った人と一回も会ったことはない。怖い人だったらどうしよう、変な人だったらどうしよう。1時間くらい悩んだ末に決めた。会ってみたい、そう思ったから。
(来週、渋谷で十一時に待ち合わせはどうですか? )
はるかぜ 戸守 紬 @tumugi_128
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