商社勤めの岡部は、知人の陶芸家・根岸慎一から突然送りつけられた壺を処分するため、古びた骨董店「骨董品のあんどう」を訪れる。店主の安東志乃は若く穏やかな女性で、一見すると頼りなくも見えるが、壺を丁寧に見ながら岡部の何気ない言葉を拾い、「この壺はただの売り物ではないのでは」と見抜く。謎解きの対象が犯罪でもトリックでもなく、“なぜこの人はこんな不器用な贈り方をしたのか”になっている点です。壺の値段を当てる話から始まり、実際には壺に込められた感情の値打ちを読み解く話へ移っていく構成がきれいでした。