第7話 鳥居、再びの狭間の世界
私は、中国にあるという「東池袋寺院」へと向かった。
その寺院がなぜ、東京の地名を冠しているのか。そして、なぜ唐揚げの神が祀られているのか。この非科学的な謎を解明することが、弟にたどり着くための新たな道だと直感した。
私は、中国の山奥にある、人里離れた寺院に到着した。そこには、やはり巨大な唐揚げの像が鎮座していた。
私は、神社の鳥居をくぐった時と同じように、この寺院の入り口にある朱色の鳥居をくぐった。
その瞬間、再び空間が歪み、私の意識は白く塗りつぶされた。
視界がクリアになった時、私は、以前に辿り着いた次元の狭間、あの光の筋で構成された無時間空間に立っていた。
しかし、前回とは明らかに違う点があった。周囲の光の筋が、以前よりもはるかに複雑で、規則的なパターンを描いている。
私のタブレット端末が、周囲のデータを解析した。
「時間軸:未定義」
「次元密度:0.0001%」
データは前回と同じだった。
しかし、私の直感が、この場所が前回とは異なることを告げていた。その時、私の視界の先に、再びユウの姿が現れた。
彼は、豪華な衣装を身につけ、巨大な城の玉座に座っていた前回とは違う。今は、銀色に輝く鎧を身につけ、巨大な剣を振るっていた。
彼の前には、見るからに邪悪なオーラを放つ魔物の群れが立ちはだかっている。ユウは、まるでゲームの主人公のように、軽々と魔物を斬り伏せていく。
「レベルアップ!」
「経験値ボーナス獲得!」
ユウの頭上に、見慣れたゲームのインターフェースが表示されていた。映像は、わずか数秒で消滅した。
私は、この映像から得られた情報を冷静に分析した。
ユウは、単に異世界に転移しただけではない。まるでゲームのようなシステムが適用された、特殊な異世界にいる可能性が高い。そして、彼が持つ鎧と剣は、その世界の法則に則った、強力なアイテムなのだろう。
映像が消えると、周囲の光の筋が、新たなパターンを描き始めた。それは、まるで新たな転移先を示しているかのようだった。私は、そのパターンを辿る。
やがて、私の目の前に、一つの巨大な扉が現れた。その扉の向こうからは、甘く、香ばしい匂いが漂ってくる。私は、再び唐揚げの匂いかと警戒したが、その匂いは、チョコレートだった。
私は、恐る恐る扉を開けた。そこには、巨大なチョコレートの滝があった。
そして、その滝の周りには、カカオ豆のような形をした生き物たちが、楽しそうに泳いでいる。ここは、チョコレートでできた工場だった。
私は、新たな非科学的な世界にたどり着いたことを理解した。そして、この世界もまた、弟にたどり着くための道の一部なのだろう。
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