ハミルトン伯爵家の四姉妹

宝月 蓮

プロローグ

LJUS(リュース)――光の四姉妹

 セドウェン王国のハミルトン伯爵家には四人の娘がいる。

 四人全員、母グンネル譲りの緩くウェーブがかったブロンドの髪に、父シグルド譲りのアクアマリンのような青い目の令嬢である。

 長女ロヴィーサの顔立ちはシグルドに似て凛々しく華やかだ。しかしほんのりと母グンネルの儚げな面影も感じる。

 次女ヨンナの顔立ちは母グンネルに似て儚げで華やか。おまけに精巧な人形のように整っている。

 三女ウリカは父譲りの凛々しさと華やかさを持つ。そしてどこか気が強そうな顔立ちだ。

 四女スティーナは母譲りの儚さと華やかさを持つ。柔らかな顔立ちで触れたら壊れそうな儚さだ。


『ロヴィーサ、ヨンナ、ウリカ、スティーナ。貴女達四人の名前の頭文字を合わせると、LJUSリュース。この国の言葉で、光という意味になるのよ。だから貴女達は光の四姉妹。わたくしとシグルド様の宝物よ』

 亡くなったハミルトン伯爵夫人、四姉妹の母グンネルはよくそう言っていた。






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 そして現在。

 セドウェン王国の王宮にて。

 ヘッセン王家主催の夜会には、国内のほとんどの貴族が出席している。

 そんな中、ハミルトン伯爵家の姉妹達が会場入りした。


「おい、見てみろよ。ハミルトン伯爵家のご令嬢達だ」

「まあ、ロヴィーサ様、今日も凛としていて素敵だわ。何でも、剣術や乗馬が趣味らしいわよ。凛々しくて惚れ惚れしてしまうわ」

「ヨンナ嬢……いつ見ても見目麗しい。ダンスにお誘いしたいけれど、ライバルが多いんだよなあ……。あ、でもヨンナ嬢の趣味は機械工学だと聞いたから、俺もそれを学んで彼女との交流を図ってみようか」

「あら、ウリカ嬢よ。確かあの方は今年十五歳。成人デビュタントしたばかりよね。成人デビュタントの儀でのダンスはまるで蝶のように可憐でしなやかかつ、剣士のような力強さがあったとお聞きしたわ」

「確かハミルトン伯爵家にはもう一人令嬢がいるよな。確かスティーナ嬢と言ったか。まだ十三歳で成人デビュタントしていないけれど、亡くなったハミルトン伯爵夫人やヨンナ嬢と似ていると噂だ。スティーナ嬢が社交界に出てくるのも楽しみだ」

 貴族令息や貴族令嬢達が、ハミルトン伯爵家の四姉妹のことをそう噂していた。


「ん? ロヴィーサ嬢、ヨンナ嬢、ウリカ嬢、それからスティーナ嬢……。彼女達の頭文字って……」

LJUSリュース。光という意味になりますわ」

「おお! では光の四姉妹だ!」


 こうして、ハミルトン家の四姉妹は社交会でも光の四姉妹と呼ばれることになったのだ。

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