異世界の変態共で作る百合ハーレム

皇冃皐月

プロローグ

 その日、私はいつも通り、教室の窓際でぼんやり外を眺めていた。隣のクラスの男子はサッカーをしていて、女子は持久走をしている。ボールが持久走のコースに外れ、それを走っている女子が拾って、男子が近寄り受け取る。そこに流れる空気は甘酸っぱいものがある。あれが青い春。私には縁遠いものだ。

 あ、名前は青梅莉愛あおうめりあ。平凡な女子高生。

 特徴もなにもない、強いて言えばテストの順位が平均よりちょっと上くらい。

 そう、ほんとに平凡な——はずだったのに。


 「え、ちょっと待って、なんか足元が光ってるんだけど!?」


 次の瞬間、私の視界は真っ白に染まり——。三半規管がぶっ壊れた。


◆◇◆◇◆◇


 「おはよう、召喚者ちゃん♡」


 目を開けると、そこは教室じゃなかった。

 青空に金色の雲が浮かぶ、やたら神々しい空間。

 そして、目の前に座っているのは銀髪ツインテールの小柄な少女。


 「えーっと、なんでここに小学生が?」

 「失礼だなぁ。 女神 様 だよ。私は」


 女神様ァ? しかも胸張って言ってるけど、見た目は完全に小悪魔系ロリ。女神とは程遠い。

 あ、名前は——。


 「ルルでいいよ。ルルたん♡って呼んでもいいよ?」

 「呼ばないけど?」

 「でね、 莉愛ちゃん。君を呼んだのは、ちょっとしたお願いがあるからなの」

 「お願い、ですか……?」


 なんか、嫌な予感しかしないんだけど。


 「うん♡。単刀直入に言うね。この世界にいるヒロイン候補をぜーんぶ攻略して欲しいの♡」

 「……は?」

 「だから、女の子を口説き落とすゲームだよ〜」

 「待って待って待って、私、女ですけど!?」

 「だいじょーぶ、この世界、女の割合多いから♡」

 「いやそういう問題じゃなくない!?」

 「やるもやらないも莉愛ちゃんの自由だけど、召喚されるのはもう確定事項だし、やらなきゃ元の世界に戻れないよ♡」

 「む、無茶苦茶な……」

 「ふふっ」

 「ちなみにヒロイン候補って言うからには一人じゃないんでしょ」

 「お、ノリノリだね♡ 嫌いじゃないよ♡」

 「そりゃ元の世界には帰りたいし……!」

 「そうだね、そうだよね。ちなみにその考察はだいせいかーい! でも何人かは教えてあげない♡」

 「え!? なんで!?」

 「だって教えたら面白くなくなるじゃーん?」


 この女神、可愛い顔して無茶苦茶言ってる。

 でも、家族も友達もいるし、帰れないなんて絶対イヤだ。

 元の世界に帰りたいと思う以上、やるという選択肢しかない。


「で、攻略って、どうすれば……」

「まあ、キスとか告白とか。明確に相手から好意を抱いてもらえればオッケーだよ♡。大好き〜♡ ってなったらいいって話だね」


 私にビッチになれってこと?

 ていうか、なにこの世界観。

 なんで召喚した人間に百合ハーレムさせようとしてるんだこの女神は。


 「じゃ、まずはこの子からね」


 ルルが指先で空中に映し出したのは、一人の少女の姿。


 金色の長い髪、蒼い瞳、完璧な顔立ち。

 見るからに「高嶺の花」って感じ。


 「アリア・フォン・リューネ。名門学園のお嬢様ヒロインだよ」

 「待って、いきなり難易度高すぎない!? お嬢様とか無理だよ。絶対無理!」

 「がんばれ♡ 帰りたいんでしょ?」

 「む、無茶苦茶なあ〜」

 「アリアを攻略したら、次の子を紹介してあげるからね〜♡」


 こうして私は、女神に百合ハーレムを強制されるという、よくわからないゲームを始めることになった。

 精々女神様のコマとして、女神様を楽しませますか。

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