魔法少女サイコ
なすび
第1話 妖精と無能と連行と
エレクトロニカス王国の国王秘書、妖精パパリンは国王と話していた。
「魔法少女がいねーんだよ!!」
「何の話だよ!!」
突然、乱暴に話し出す可愛らしい妖精に驚く国王。しかも急に魔法少女とは一体何なのか。
「だーかーらー!!魔法少女がいなくて国が崩壊しかけてるって話だよ!!」
「え、知らないんだけど」
「なんでだよ」
そう、実はこのエレクトロニカス王国はだいぶ危機に陥っている。農民たちの反乱、飢餓、内戦、度重なる災害、さらには国王の散財により城以外は荒れ果てた焼け野原になりうる一歩手前まで来ているのだ。この国王冒頭で凶暴なパパリンにツッコむ常識人かと思いきや、実は国の歴史史上最低最悪の国王だったのである。
「でもなんで魔法少女?」
「え、」
何も知らない国王(無能)に一から説明するパパリン。エレクトロニカス王国は100年に一度先程述べたような大厄災が起こる。そんな危機的状況を毎回救ってきたのが魔法少女の存在である。朽ちた大地を蘇らせ、災害により崩壊した街を復興させ、さらには民たちの生活面・健康面までサポートしてくれる超有能キャラなのだ。
「だからオレっちは地球っていう惑星にある日本っていう場所に可愛い女の子探しに行ってくってばよ」(国を救うために私が奇跡の存在魔法少女を探しに行ってまいります。)
「言ってることと心の内逆だから」
「あれ」
国王とくだらない茶番をしてパパリンは異世界転送機港へワープする。
異世界転送機とはその名の通り対象を異世界へ転生させる機械である。魔法ではなく高度な科学技術によってできた産物の一つだ。略して異送機だ。
パパリンは受付に話を通して、港にある特別最上級クラス⋯ではなく一般普通クラスの異送機へと荒々しく乗り込む。
後ろで受付の人が「お待ち下さいお客様!!チケット無しではご搭乗出来ません!」という焦った声は聞かなかったふりをして。
しばらくして、パパリンは警備員に連行された。
魔法少女サイコ なすび @tg1987
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