映画館

 つぶつぶを連れて、オレは映画鑑賞へと向かった。

 

 

 映画館まで行くのに、電車に乗らないとならない。

 

 

 切符を購入して、電車に乗るんだけど…

 

 今日めっちゃ混んでるー‼︎

 

 

 乗り込みは、なんとかできたけど…

 

 実来がおじさんにグイグイ押されていた。

 

「実来、こっち」

 

 グイッと、実来を安全な壁のところへ連れていくことに成功した。

 

 おじさんに押されないように、壁どどんからの両サイド守りに成功した。

 

「え……」

 実来が固まった。

 

「夢みたいにキスしてやろうか?」

 実来をドキドキさせるためにわざと言ってやった。

 

 目をみてまっすぐに。

 

 実来は、そんなオレをまっすぐみて

「ん?夢?てか、これって特急列車じゃないよね?」

 と、辺りを見回した。

 

「ちげーよ。」

 てか、夢忘れたの?

 って、昨日の出来事なのに電車でのイケメンの夢忘れるなんて、たいした夢じゃなかったんじゃんって、夢の中のイケメンを哀れんでいたら、

「あ、夢‼︎昨日のイケメンのやつか⁉︎相手が違うからさ、理玖夜なに言ってんだろって思ったわ。あー、あれねー」

 と、いかにもお前がイケメンじゃなかったから、思い出せなかった的な言い方…

 

 

 ひどっ…

 

 実来め…

 

 オレは鬼になるぞ?

 あとで、マジでコーヒーぶっかけんぞ?

 

 まぁ、そんなことしないけどさ…

 

 危うく特急列車で、鬼になりかけたぜ。

 

 

「え、これって…城に向かってないよね?」

「どこの城だよ…オレたちは、映画館行くんだよ。」

「あぁ」

 

 

 …

 

 

 

 やっと着いたー‼︎

 

 満員電車から解放されて、背伸びをした。

 

「あーつっかれた〜…」

「えっ?つっつかれたの?」

「は?疲れたって言ったんだよ」

「あー、よかった」

 

 …

 

 なんなん?

 マジで実来の耳は、どうかしてんな。

 

 てか、実来自体がどうかしてんな。

 

「実来ってアホだな」

「はぁ?あたりまえじゃん」

 

 …

 

 知ってた。

 

 本人も承知のアホだった。

 

 

 映画館に着くと、実来は目を輝かせていた。

 

「うわぁ、どれ食べよう」

 と、まだ数メートルも先のフードコーナーに、目を奪われていた。

 

「食いしん坊め」

「ムゥ、そんなこと言うなら理玖夜のポップコーン、全部奪うからね?」

「いや、なんでオレがポップコーン買う前提なんだよ?」

「えっ⁉︎買わないの?塩味買うよね?わたしキャラメル買うんだよ?どうするの⁉︎」

 目を丸くして訴えてくる実来。

 

 …どうするのって。

 

「わかったよ、塩味買うよ。」

「わーい」

 口角を上げて喜ぶ実来をみれるなら、何個でも塩味買うよねって、思わず塩味大量発注するところでした。

 

 

 ポップコーンと飲み物を持ち、席につくなりポップコーンをいっきに何個も頬張る実来。

 

 …

 

 こいつ、絶対オレのことおとことしてみてないよな。

 

 なんなら、人間すら捨ててるんじゃね?

 

 野生の動物か?

 

 てか、このままのスピードで食べ続けたら、映画始まる前に食べ終わるな。

 

 

 …

 

「あの、野生の動物のつぶつぶ先輩…塩味のポップコーンどうぞ」

 キャラメルポップコーンを頬張る動物に、塩味のポップコーンを差し出した。

 

 つぶつぶは、オレをじっとみて

「え?名前、増えてるだろうに。」

 と言いながらも、少しペコリとして塩味を抱え込んだ。

 

 めっちゃ食うな。

 

 そんな豪快なところもオレにはまた、魅力的なんだよなぁ。

 

 

 

「美味い?」

「うんっ」

 

 …

 

 塩味買っといてよかったわ。

 

「ポップコーン好き?」

「うん、好きー」

「じゃあ、オレは?」

 

 一瞬固まる実来。

 

 そして…

 

「好きじゃないんでしょ、ほんとは。無理させてごめんだござる」

「だれだよ…」

「ごめんねでございますって言おうとしたら、言葉がつまづいて、ごめんだござるになっちゃったの。ごめんだも変だけど…ま、いいじゃん。ポップコーンで乾杯しよ」

 

 

 …

 

 仕方なく乾杯してやった。

 

 

 てかさ、オレがポップコーン好きか嫌いかを実来に聞いたんじゃないよ?

 

 そんなの、オレが一番わかってるわ‼︎

 

 実来に、オレのこと好きか聞きたかったのに…

 

 

 実来は、おバカなのか…それとも…

 

 

 …

 

 まぁ…たぶん、おバカなんだろうなぁ。

 

 オレに恋愛感情、まったくないって感じだもんなぁ。

 

 

 実来は、ポップコーンを半分たいらげたところで、我にかえったっぽい。

 

「あ、これ映画始まる前に無くなる…」

 とほざいた。

「だね、まいいんじゃない?」

「そうだよね、途中でおかわり買いに行けばいいよね」

 

 …

 

「あのさぁ、途中で追加のお買い物してたら映画見逃すよ?」

「たしかに。どうしよう」

 

 …

 

 なんの心配だよ…

 

 あんたは、ポップコーンたいらげてもガス欠しないだろうに。

 

 

「どうもしないよ」

「なるほど」

 一気に解決した。

 

 

 おかげで、映画を安心して堪能することができましたね。

 

 

 映画をみおわり、なんだか心がクールミントに包まれながら滑り台をしている感が半端ない。

 

 

 心の滑り台…どなたかわかる方いらっしゃいますかー?

 

 この中に、共感者サマいらっしゃいますかー?お医者サマでなく共感者サマー‼︎

 

 と、くだらないことをほざくオレ。

 

「面白かったな」

「うん、ソウダナ」

「なんで、片言なんだよ?」

「カタコト?ガタゴトですカ?ソレはユレマスカ?」

 

 …

 

「揺れねーよ」

「あはは、揺れないんかい」

 映画が終わってもくだらないオレたちの会話。

 

 終わっても、終わらなくてもくだらないオレたち。

 

 

 

 無限…に続く…幼馴染…

 

 このままオレたちって…

 

 永遠にくだらないんだろうなあ…

 

 

 

 

 続く。

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