トンガリとまぁるく

白美希結

トンガリとまぁるく


ホシくんは いつもおもっていました。

「ツキちゃんとなかよしになりたい。

 でも、ぼくとおはなしすると、

 ツキちゃんは なぜか ないてしまうんだ」


ホシくんのカラダには とがったところがありました。

そのトンガリは、コトバにも ついてしまいます。

だからホシくんは じぶんのカラダが きらいでした。


「どうしたら ツキちゃんを えがおにできるのだろう」



あるひ、ホシくんは つかれて

よぞらで すやすや ねむってしまいました。

あたたかいひかりに つつまれて めをさますと、

そこには タイヨウさんがいました。


「ホシくん、だいじょうぶかい?」

「かんけいないだろ。ぼくはひとりでいいんだ」


でも、そういうと、タイヨウさんのひかりが

すこしだけ かなしそうにゆらぎました。



ホシくんは しばらくかんがえて、

おそるおそる たずねました。


「ツキちゃんを えがおにするには どうしたらいいんだ」


タイヨウさんは にっこりと ほほえみました。

「ホシくんのカラダは とてもすてきですよ。

 トンガリがあるから とどくひかりもあるのです」


そういって あたたかいいきをふきかけました。


「まぁるく、まぁるく」

 でもトンガリも ホシくんの だいじなひかりなんだよ」

 「まぁるく、まぁるく」

 

ホシくんのこころが ほんのりあたたかくなりました。

 カラダのトンガリも すこし まるくなりました。

「タイヨウさん ありがとう。ぼく、じぶんのカラダを すきになれそうだよ」



つぎのひ。

 

ホシくんは ツキちゃんに あいました。


「ホシくんのことば、ぽかぽかするわ。

 これからも たくさん おはなししましょう」


 ふしぎです。

ホシくんのことばは まえよりも やわらかく、

あたたかく ひかっていました。

 

そして──

 

 ツキちゃんのなみだは えがおにかわり、

 ホシくんのトンガリは、

 ツキちゃんのひかりといっしょに

 きらきらと よぞらをかざりました。

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