スタートリガー社の工作員達 続編02
桜井もみじ☆
01
船から陸地が見える。
でもあれは日本じゃなくて、フランスなんやと思う。もうジェームスが来てから一週間以上が経ったから。みんな、無事やろか。オレのために怪我してなかったらええんやけど。
ずっとケイティかミランダがオレの事を見張ってる。今もそう、ミランダがオレのそばから離れへん。
ミランダはオレにはパソコンの類を触らせてくれへんようになった。だからずっとやる事もないままひっくり返ってる。なんとゲーム機まであかんって言われて、オレに渡されたんは紙の本だけ。積み荷の本を好きなん読んでいいって言われたけど、大半が外国語で書いてあんねんで? 嫌がらせかと思った。
この船は荷物を積んで運ぶデカい船みたい。港で見たのとよく似た、大きいコンテナを積んでるんよ。船は大きいけど、人はめちゃくちゃ少ない。
ケイティ達は、そこを割と好きに使ってるらしい。コンテナのいくつかを船室代わりにしてて、オレもその中の一つで寝起きしてた。使ってる物はシンプルやけど、かなり豪華やと思う。全然揺れへんし、クーラーもあるし、凄い快適やった。
でもみんな、今日はいつもみたいに暇そうにしてる様子はない。
凄い忙しそうにしてて、オレはミランダと一緒にコンテナの中にいる事になった。ミランダは退屈そうに、携帯電話で遊んでる。多分、もう電波が来てるって事やと思う。でも見せてすらくれへんから確認は出来てない。
ルノに撃たれたせいで、ミランダは右腕が使えてない。結構大変そうにしてる。全然同情出来ひんから、オレは相手にしてないけど。
でも撃ったのがよりによってルノやったから、ミランダはめちゃくちゃ悔しそうにしてる。オレもてっきりジェームスやと思ったのに、まさかのルノやったからびっくりした。そもそも、ルノにライフルが撃てるとは思わんかった。
右腕を固定してるから、ミランダは不便そうに左手で携帯をいじってる。
あんまり近づきたくなかったけど、どのくらい電波が来てるんか知りたかった。
だからちょっと後ろから近寄ると、携帯の画面を覗き込んだ。残念な事に、画面に出てたのはめちゃくちゃアルファベットやったから、さっぱり理解不能や。白い画面にずらって、全部アルファベット。しかも英語じゃなさそうやった。知ってる単語が一つもなかったもん。
でも電波が二本くらいは立ってるのが分かった。
基地局が近かったとしても、陸地まで数キロある筈や。もっと近かったとしても、オレが自力で泳げるような距離やない。それに港に着かんなあかん筈やから、多分降りられるのはもっと後ちゃうんかな。
今ならミランダもケガしてるし、逃げるチャンスはいくらでもある筈。きっとジェームスが探してる筈やから、逃げ出して助けてって言えばなんとかしてもらえる筈や。
でもまさか、フランスに船で来る事になるとは思わんかった。
オレは自分用にあてがわれたベッドの上で、久しぶりに見た気がする液晶画面を懐かしく思った。こんなに液晶画面を見てない時間って、あったっけ? そろそろ我慢の限界でつらくなってきた。
ミランダはオレに気付くと、携帯電話を閉じた。オレを見て、ニヤッと笑う。
「どうしたん? ネットがなくてつらい?」
「分かってんねやったら、パソコン使わしてよ」
「無理」
ミランダは意地悪く笑うと、携帯電話をポケットにしまった。
「さてと、乗り換えの時間やから準備して」
立ち上がると、ミランダはオレを見下ろした。
支部から履いてきたスリッパを見て、オレはちょっと考えた。
この一週間、ミランダやケイティを見てて分かった事がある。この二人は確かに、オレに対して仕事をさせようとは思ってない。むしろお客様扱いで、そこそこいい待遇やった。
機械の類は一切触らせてくれへんかったけど、それ以外はケイティ達と同じ食事やったし。お風呂やトイレだって、自由に好きなだけ使わせてくれた。足枷こそつけてるけど、オレがどこに行くのも自由や。もちろん見張りはいてるみたいやけど、基本的になんも言われへんかった。
もちろん黙ってされるがままなんて嫌やったから、目的を聞かんかった訳やない。何をさせたいのか、いろんな訊き方をしてはみた。してみたけど、ホンマになんもなさそうやった。ミランダは何も言うてけぇへんし、ケイティは一緒にいたいしか言わへんねんもん。
ジェームスやヴィヴィアンやったら、どうするやろか。
とりあえずフランスに着くまでは大人しくしてるつもりやで? 着いてからも、少しは大人しく従った方がいいとは思う。多分、そうすれば監視の目は甘くなる。その方が逃げやすい筈や。
でも着いたら、オレはどこに連れて行かれるんやろ。家とかふざけた事を言われたけど、なんの事や。家ってどこやねん? 日本にはないんかって言いたくなったけど、当然黙ってた。
「どこに行くん?」
これくらいやったらミランダも怪しまへんかな?
「船を乗り換えんの。おいで」
「なんで?」
「この船に、うちらは本来乗ってない事になってるからや」
ミランダは特に隠す様子もなく、すらすらと答えた。言うても問題ないと思われてるみたいや。
つまり、この船は密入国に使われてるって事か。
多分、本来は貨物船なんやと思う。でもお金を払って人を乗せ、フランスまで運んでもらってるって事やろ。多分、人身売買にもこの手を使ってるんやと思う。基本的にはコンテナの中に人を隠しておいて、到着する前に小さい船に乗せ換える。
そうすれば基本的には、簡単でかつ安全に人を運ぶ事が出来る。それにリスクも少ない筈や。税関とかでコンテナの中まで確認するのは、港に荷物を運びこむ時だけの筈。
なるほどって思いながら、オレは大人しくベッドを降りた。支部から履いてきたスリッパに足を入れると、黙ってミランダについて行く。
ミランダはコンテナのドアを開けると、オレを連れて外に出る。荷物は携帯電話一つだけみたいや。
外は涼しくて晴れてる。日本ほど寒くないから、シャツにパーカーだけでも平気。ちょっと肌寒い程度で、めちゃ快適や。
青い空を見ながら、オレはゆっくり歩いた。広い船の後ろの方まで行くと、ケイティが立ってた。今日は目立つ青いワンピース姿や。でも動きやすいように髪を上げてるんやと思う。
オレは船で着替えはしたけど、やっぱり似たようなティーシャツにパーカー、それにジーパンや。支部の中で使ってた健康サンダルを裸足で履いてる。ヴィヴィアンが買ってきたやつやから、ピンクのキティちゃんでちょっと恥ずかしい。
でも相変わらず、オレからドッグタグを取り上げたりはせんでいてくれてる。
ミランダの顔も一週間前と比べたら、だいぶきれいになったと思う。まだちょっと青いけど、それでも元通りの形になった。
オレはそんな二人に言われて階段を下りた。風が強いけど、手すりを持ってゆっくり下りて行く。かなり降りたと思うけど、まだまだ階段は続いてる。
よく見ると、海に小さいゴムボートが浮かんでる。この船に繋がれてるみたいで、そこにはクルーザーで見た男の人も乗ってた。ここからまた小さい船に運ばれるんやと思う。
ケイティは先にゴムボートに移ると、オレが落ちひんように支えた。クルーザーの時は足を滑らせたからやと思う。めちゃくちゃ心配そうに手を貸してくれた。
オレがボートに乗り込むと、ミランダがすぐに来た。片手が使えない人とは思えへんくらい、するすると慣れた様子で乗ってくる。
オレらが乗り込んだのを確認すると、ゴムボートは走り出した。近くに似たようなボートが数台あって、並走するように後ろからも一台ついてきた。
あの時のお兄さんはやっぱり重装備で、ミランダを見るとニコッと笑った。
「顔、キレイになってきたじゃん」
「それはどーも」
あんまり仲良くしたくないんかな。ミランダはそんな冷たい返事をしただけで、真面目な顔をしてた。オレに掴まってるように言うと、進行方向をずっと見てる。
海の色が全然違う。凄く青い。見た事のないきれいな澄み切った色してて、まるでスクリーンセーバーの写真みたい。大阪のと違って、水が透明や。透けて底が見えそうなくらい。
めちゃくちゃきれいやなって思ってたら、ケイティが言うた。
「きれいでしょう?」
振り向くと、ケイティが笑顔でこっちを見てる。
オレは頷いた。ボートが大きく揺れたから、叫び声を上げそうになる。落っこちそうになったと思われて、服をしっかり掴まれた。
「大丈夫? もう少しだからね」
顔を上げると、大阪湾の時のによく似たクルーザーが見えた。ボートをそれに近づけて止めると、みんな揃ってクルーザーの方に乗り換えていく。
なんであんなに簡単に降りられるんか分からへんけど、オレはケイティにめちゃくちゃ支えてもらって乗り換えた。それもフラフラやから、床に座り込んでもた。
「煖、こっちにおいで」
ケイティがそうオレを呼ぶ。
立ち上がったら、奥の部屋に連れて行かれた。
中の作りも大阪湾のと同じような感じの船で、入ってすぐのとこに部屋みたいになってるところがあった。言われるままにそこのソファに座ると、ケイティと二人っきりになった。
船が走り出したから、どこかの港に向かうんやと思う。さっきまでの船と違って、めちゃくちゃ揺れた。ちょっとびっくりしたけど、大阪でもこれくらい揺れてたんかな?
オレは窓から外を見てた。
すっごいきれいなんやもん。
「泳ぐにはちょっと寒いけど、きれいでしょう?」
「めちゃくちゃきれい」
オレは素直にそう答えた。
ニコニコしながら、ケイティは頭を撫でてくる。ぐりぐりと何回も何回も撫でまわしてくんねん。しつこいくらい。
もうそんな年齢やないんやけど、黙ってされるがままになってた。嬉しそうに笑って、甘えるようにくっつく。くっつきたくないけど、こうしてほしいんやないかって思ってん。
「オレ、こんなきれいな海見たんはじめて」
「そう。沖縄やオーストラリアもきれいよ」
この人、やっぱりいろんな国で仕事をしてるみたいや。少なくとも、その二ヶ所では仕事をしたって事やろ? 詳しいと思った。
ジェームスやヴィヴィアンかて詳しい方やけど、二人はあんまり観光せぇへん。それにヴィヴィアンは泳がれへんから、海の話なんかしてけぇへんもん。
「ここよりきれい?」
「グレートバリアリーフは凄いわよ」
きれいって、確かに聞いた事がある。
でもここよりきれいって凄いんやろな。どんなところなんやろ。いつか、行ってみたい。この人とではなく、ジェームスやヴィヴィアンと。
オレは出来るだけくっついたまま、ケイティに尋ねた。
「家ってどこなん? もうすぐ着く?」
「ここはまだボルドーだから、もう少しかかるわ。パリだからね」
「パリのどこ? オレ、前は見られへんかったから、観光したいな」
「どこが見たいの?」
「オルセー美術館とか」
確か、ジャメルさんの家はルーブル美術館の近所やった筈や。ルーブルの前がオルセーって、教えてくれたもん。そこまで行けたら、運よく見つけてもらえるかもしれん。あかんかったとしても、観光客だらけの筈。そこなら逃げても、銃で撃たれる事はないんちゃうかな。
それに、ルノがパトカー燃やしたっていう現場、ちょっと気になるやんか。どんなところやろ。どんなとこで火炎瓶を投げたんや? めっちゃ気になる。
「オルセーねぇ。煖は美術品に興味があるの?」
いやもう全然ないけど、あるって事にしとくべき? でも下手な嘘ついても、あとで困るの自分やし。ここは有名やからって事にしておこう。
「有名なんやろ?」
「あなたの友達、そう言えばフランス人だったわね?」
「そうやで。ルノに聞いた。めちゃくちゃ広いんやろ?」
実際に詳しく教えてくれたんはジジやけど、まあええやろ。
ルノは広すぎるから、ほとんど行った事がないって言うてたっけ? それにジジに連れ回されるから嫌やって。でも確か、ルノワールの絵があるって、ジジが言うてた。名前はなんやったっけなぁ。確か、なんとかかんとかの舞踏会や。
「めちゃくちゃ広いのよ。何か見たい絵でもあるの?」
「ルノワールの絵があるって」
「どうしてそれが見たいの?」
「友達とおんなじ名前の画家やから」
出来るだけニコニコしながら、オレは答えた。
この人がルノの家族を殺して、虫攻めにしろって命令したって知ってる。分かってて、オレは名前を出した。どう反応するんやろって思ってん。ちょっとした嫌がらせやけど、効果あるといいな。
ケイティはちょっと困った顔をしてた。
さあ、なんて答えるやろ。この人は自分が酷い目に遭わせた人の事を、どこまで覚えてるんかな。ルノの事、なんて言うつもりなんやろ。
「きれいな絵なの、知ってる?」
「ううん。見た事ない」
ケイティは戸惑ってるように見えた。焦ってるような気がする。視線を泳がせながら、オレから目をそらす。
「ルノに訊いてみる。なんていうのか知ってる?」
「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会よ」
「有名な絵なん?」
「きっと煖も見た事がある筈よ」
ケイティはそう答えると、オレにニコッと笑った。ニコニコしながら、背中を撫でてくる。
「他にもたくさんあるでしょう? 凱旋門なんてどうかしら。とっても素敵よ」
誤魔化すようにそう言うと、ケイティは笑った。
「ノートルダム大聖堂なんかも有名よね」
「オレ、シャンゼリゼ大通りでオーシャンゼリゼ歌いたいな」
有名な大通りやったら、ジャメルさんの知り合いが見てくれるかもしれへん。そこでちょっとでも目立つ事をやれたら、見つけてもらえる確率が上がる。
凱旋門なんか、車からチラッとだけ見せて終わりかもしれん。そんなん困る。ノートルダム大聖堂の中で、大騒ぎするのもどうやろ。一応教会なんやろ? そもそもジャメルさんやその友達が教会になんか行くかな? もっと目立つ場所がいいのに、めちゃくちゃ違うところを言ってくる。
どうせ土地勘ないから、どれがどこにあるんか分からへんけど。それでも、有名な場所で何かやらんなあかんと思ってん。でももうなんにも思いつかへん。
ケイティはそんなん知ってか知らずか、夕飯は何がいいって訊いてきた。
「夕飯の時間までにはパリに着くわ。そうしたら美味しい物を食べましょうね」
「フランス料理?」
「そうよ。食べた事ある?」
「あんで。オレ、ビーフシチューが好きや」
ルノがいろいろ作ってくれた。名前も分からん時があったけど、ビーフシチューは美味しかったなぁ。オレが喜ぶのを見て、ルノは嬉しそうにしてたっけ?
あの味を超えてくるような、美味しいフランス料理が出てくるやろか。流石に無理ちゃうの? 凄かったもんな。あの時作ってくれたキャラ弁かてめちゃくちゃ美味しかったもん。最近、オレの舌が肥えたのは、ルノの料理が美味しすぎたからやと思うし。
でもこの人が言うてるフランス料理って、レストランの事ちゃうかな? 行った事ないような凄いところに連れて行かれそう。そうやったらええけど、家にシェフが来てもおかしくないんちゃうかな。分からへんなぁ。
でも嬉しい。もしちょっとでも、外に出られる機会があったら、逃げられるかもしれへんやん。チャンスがあれば、オレは迷わず逃げるつもりや。
ニコニコしてたら、ケイティは呟いた。
「あなたは本当にあの子と仲がいいのね」
そうやったらなんやっていうねん? オレはルノの親友や。ルノとその家族に酷い事をしたアンタを許す気なんかあれへん。
でもそんなん隠すように笑った。
「お母さんとも早よ仲良ぅなりたいな」
「嬉しいわ」
ケイティはオレにもたれてくると、ドアの方を見た。
外にはミランダとさっきの重装備のお兄ちゃんが立ってる。どこかを見ながら話をしてるみたい。こっちを見てるような感じは一切ない。特別仲がいいようにも見えへん。
でもそれを見ると、ケイティは立ち上がった。
「煖、ボルドーに着いたら少し仕事があるの。待っててくれる?」
「分かった」
オレは返事をすると、辺りを見回した。
ソファにケイティの持ってた携帯があるのを見つけた。ポケットから落ちたらしい。ケイティは気付いてない。そのままドアの方に向かって行った。
とっさにそれをジーパンのポケットに入れた。
これが使えたとしても、普通に掛けて通じるもんなん? オレはいっつもネット回線やから、電話なんて海外に掛けた事がない。でも国際電話って言葉があるように、きっと特別な掛け方があるんやないの?
ジェームスの番号は覚えてるけど、ヴィヴィアンのは分からへん。ヴィヴィアンなら百パーセント取ってくれるけど、ジェームスはどうやろ。いい加減やからなぁ。ルノの番号なんかさっぱり分からへんから、ジェームスに掛けるしかない。
でもどうやって日本に掛けるんやろ? 絶対、掛け方がある筈やんか。やり方なんて聞いた事ない。
出来る事なら今すぐ掛けたい。なんか言える訳じゃないけど、通話時間が長ければ、逆探知だって出来る筈。でも失敗したら、せっかくいい感じに親しくやってんのに、ケイティが隙を見せへんようになってまうかもしれん。それは困る。
気付かれへんかったらええんやけど。
オレはそんな事を考えながら、出来るだけニコニコしながら座ってた。
しばらくすると、クルーザーは小さい桟橋のある場所に泊った。どっからどう見ても観光地って感じの場所や。ちょっと離れたところにはビーチが見える。きれいな場所やった。
「煖、おいで」
ケイティに呼ばれたから立ち上がった。
歩いて行くと、ミランダがもう桟橋に立ってた。よぅ見たら腰に銃を下げてるみたい。どうせ撃たれへんと思うんやけど、それでも持ってるって事はなんかあるんかもしれん。桟橋に近いところにはあの重装備のお兄ちゃんが立ってる。
なんでそんなに装備してるんや。フランスってそんなに危ないところちゃうやろ。観光地の筈や。戦争してる訳でもないっていうのに。
オレは黙ってついて行くと、桟橋に下ろされた。ケイティとミランダに挟まれて、そのまま歩く。ちょっとも逃げるスキはない。
少し行ったところに車が止めてあった。なんかいろんな人が立ってるけど、その人達はみんなスーツ姿や。ヤクザかマフィアって感じの怖い顔してて、ケイティに手を差し出した。
フランス語やと思う。ルノとよく似た響きの言葉をいくつか話して、そのまま車のドアを開けた。でっかい黒の車やった。これがリムジンってやつかな。初めて見た。
ケイティに言われて、オレはそこに乗り込んだ。映画みたいに超豪華なソファみたいになってる。いかつい人が何人か乗ってくるけど、みんなやっぱりスーツ姿や。めちゃくちゃ怖い。
でも多分ケイティが一番偉い人なんやと思う。みんな気を使ってるように見えるから、この人に従ってる限りは安全って事なんちゃうかな。とりあえずそうやと信じよう。こんな怖いのと一緒におっても大丈夫って信じたい。
オレの後にはミランダとケイティが乗ってきた。あとケイティと握手をしたおっさんも。みんなで横に並んで座ると、三人はやっぱり何かを話し始めた。オレにはなんにも分からへんけど、三人は真面目な顔をして話してる。
オレがビビってるのに気付いたらしい。ミランダが目の前のグラスをオレに差し出してきた。
「何?」
「これ飲んで、黙っててくれる?」
何か分からへんかったけど、口をつけた。なんかちょっと甘ったるいお酒みたい。でも変な感じがする。でも炭酸とかじゃなくて、ピリピリすんねん。薬かなんか、入ってない?
「これ何?」
「シャンパン」
ミランダはいたって普通の顔をして、同じのを入れてあるらしい。グラスを持ち上げて飲んだ。背中をさすられる。大丈夫って言いたいらしい。
全然大丈夫とは思えへんかったけど、黙ってる事にした。そもそもこれ、絶対ただのシャンパンちゃうやん。ピリピリするとか。飲むの、怖すぎる。
みんな、ときどき話をしながら、こっちを見ては笑ってる。どうやらオレの話をしてるらしい。どんな話か知らんけど、ケイティは嬉しそうに笑ってた。
オレはグラスを両手で握ったまま、黙って外の景色を見てる事にした。怖いんやもん。
外はのどかな街並みで、見えるもの全てがフランス語や。ホンマにフランスにいてるんやなって分かる。ヴィヴィアンのお友達の、マフィアの女の人の家の近所みたいな感じ。凄く似てる。
「ダンテ。次に止まるところで仕事があるから、ここで待ってられそう?」
ミランダはオレの顔を覗き込んできた。
「この車に置いて行かれんの?」
「うちも残るから大丈夫」
何が大丈夫なんか分からへんけど、オレは黙って頷いた。正直怖いけど、無理って言うたってしゃーないんちゃうかと思ってん。どうせ置いてけぼりにされるやろ。せめてトイレくらいは行かせてもらおう。その時に電話を試してみるしかない。
一時間くらい車は走ってたと思う。
その間、ずっとミランダはシャンパンを飲んでた。怖いのにも慣れてきた頃、車が止まった。お屋敷って感じの建物で、後ろから別の車も来る。なんか人がいっぱいいるみたいやった。
ケイティはそこでおっさんらと一緒に降りて行った。ミランダにすぐ戻るって言うただけ。何の仕事か分からんけど、オレはミランダを見た。
「トイレ行きたい」
「ああ、そうやな」
ミランダは運転席に向かってなんか言うと、車を降りた。オレもその後ろを追いかける。
真っ直ぐ建物に向かって行く。大きな屋敷の中に入ってすぐ、人に何か言うとミランダはドアを開けた。着飾った人がちらほら見えて、パーティをしてるみたいや。みんな、お酒を持ってるみたいやった。
ミランダは迷う事なく中を歩いて行くと、廊下の突き当りのドアを開けた。きれいな普通のトイレや。
「ここで待ってる」
ミランダはそう言うと、ぼうっと人を眺め始めた。
オレは中に入ると、鍵を掛ける。ホンマは嫌やったけど、掛けへんかったらバレるかもしれへんかったから。それに電話がバレたとしても、時間稼ぎになるかもしれん。
便座に座って携帯電話を広げると、ジェームスの番号を打ち込んで通話ボタンを押した。でも英語じゃない何かで、エラーメッセージみたいなのが聞こえてくる。やっぱりこのままじゃ通話出来ひん。
とりあえず、ネットに繋いでパパッとググってみる事にした。
でもアルファベットから日本語にまず切り替え出来ひん。時間がないから諦めて、英語で検索する事にしよう。オレ、携帯電話で英語を入力した事も数えるほどしかなかった。なんとか入力して検索を押した頃には、どう考えても小じゃなくて大ですって感じの時間が経ってた。
なんでも、0081を前につけて番号を入力するらしい。詳しい事は分からんけど、電話番号の最初の0も省くんやって。
オレはすぐさまその番号を入力した。
「ダンテ、腹痛いの?」
ミランダの声が聞こえてくる。
「下したかもしれん」
適当にそう返事すると、オレは通話ボタンを押した。
意外過ぎる事に、一瞬で電話がつながった。
「誰だ?」
「ドゥシャン・ポポヴ。ジェームス、助けて」
出来るだけ小さい声でオレは言うた。
「ダンテか? どこにいる? 今何してるんだ?」
「そう、オレ。フランスにいるみたい。ケイティの携帯パクって掛けた。うんこしてる事になってるからあんまり話されへん」
「分かった。待ってろよ」
ジェームスは誰かに、逆探知しろって怒鳴った。いつも通りで安心する。やっぱり探しててくれたんやって、それだけで十分なくらい嬉しい。
「パリに向かうみたい。パクったって気付かれたらあかんから、この携帯は繋ぎっぱなしの状態で置いて行くで。またどうにかして連絡する」
「大丈夫なのか?」
「お客さん扱いされてるから、怪我はせぇへんと思う。ジェームス、ありがとう」
そこまで言うたところで、オレは携帯電話をそのまま便座の影に置いた。便座を閉じて、水を流すと鍵を開けた。
「大丈夫か?」
「もう大丈夫。すっきりした」
オレはミランダに出来るだけ笑顔で言うと、腹をさすった。見つかる前に逆探知が出来るとええんやけど。誰も気付いてないとええな。
二人で歩いてリムジンに戻ると、オレは窓から建物をもう一回見た。
もうちょっと話してても大丈夫やったかな? でも掛けるまでに時間がかかりすぎたからな。あんまり居座ったら怪しまれるかもしれんかった。それを考えたら最低限フランスにいる事を伝えられただけで、今は充分やったんちゃうやろか。
でも、ジェームスとヴィヴィアンが今どうしてるんか訊きたかったな。
オレがいてへんからって、喧嘩してそうやんか。それに救出に失敗したからって、二人が自分を責めてないか心配やった。あんなん二人のせいやないのに、きっと自分達の事を死んじゃえばいいとか思てるかもしれん。それくらいしててもおかしくない。
二人のせいちゃうって、伝えたかったな。会いたいって、言いたかったな。二人のいる家に帰りたい。一緒にプリンを食べて、三人でテレビを見るだけでいい。あ、でも寂しかったから、一晩だけ三人で寝たいな。
早く二人に会いたい。
そのためにも、今は可愛い息子を演じるしかない。出来る限りニコニコして、甘えたくもない人にもたれて笑う。欲しいやろなって言葉を伝えて、言われた通りにするしかない。
でもやっぱり恋しくて涙が出そうになった。
泣く訳にもいかんから、口唇を噛んで耐える。手をぎゅっと握りしめて、きれいな空を仰ぎ見た。
「大丈夫か? 痛かったら薬貰ってこようか?」
「大丈夫。お水ほしい」
ミランダはちょっと心配そうにこっちを見てる。その辺にあったペットボトルの水を取って、オレに渡してくれた。
「パリまでまだかかるから、今のうちにトイレ行くんやったら行った方がええよ」
「大丈夫。さっき出し切った」
キャップをねじって口をつけると、常温のちょっと変な味がする水やった。
「これ、変な味せぇへん?」
「ああ、それ硬水や。ちょっと味違うんやで」
硬水って聞いた事があるけど、飲んだのは初めてや。ちょっと飲みにくい気がするけど、喉が渇いてたから気にならんかった。日本の水は軟水なんやっけ? 飲み比べしてみやんな分からへんけど、オレはやっぱり日本の水の方が好きやなって思った。
キャップを閉めて握ってると、ミランダが言うた。
「ダンテはなんか食べたい物あるん?」
「なんで?」
「お昼は多分、その辺の店に寄る事になるから」
ちょっとだけ考える。
その辺の店って、運がよかったら電話くらい借りれるかもしれへん。でもフランスのお店って、どんなところなんやろ。オレが知ってる映画って、全部アメリカ映画やった気がする。
フランスにもありそうな物ってなんやろ?
ラーメン屋とかないやろし、映画に出てくるようなダイナーってアメリカやろ? オレの知ってるフランス料理って、フルコースみたいなやつかルノの料理くらい。
そう言えば、ルノはマクド知ってた。
フランスのマクドがどんなんか知らんけど、日本のとメニューは似たり寄ったりの筈。きっと店の中も似たような雰囲気やろ? それなら人もいっぱいいてるんちゃうん?
まだ逃げだせる状態やないと思う。
でも運よく人の目に留まる事が出来たら、見つけてもらいやすくなる。この車はパリに向かってるんやから、きっと同じような道の店を狙って探してるかもしれん。
「マクドがいい」
オレはミランダにそう答えた。
「マクド? もっとええとこリクエストしてもええんやで」
「チーズバーガー食べたい」
「ふーん」
「ミランダは何食べたいんよ?」
「バッファローグリルで肉食べたい」
肉っていうのはちょっと分かるかもしれん。一週間、ずっと保存食ばっかりやったから。缶詰を出して作ったようなサンドイッチばっかりやった。マズかった訳やないけど、確かに飽きた。
「それ、美味しいの?」
「アメリカンステーキの店。値段の割には美味しい」
「何がアメリカンなん?」
「雰囲気ちゃうかな。普通のステーキが出てくるから」
肉の事を考えてたら、お腹すいてもた。お肉、確かに食べたいなぁ。
「それって、有名なん?」
「まあフランスじゃ有名やと思うよ。ルノもジジも絶対行った事あると思う」
珍しくルノやジジの名前を出して、ミランダは笑った。てっきり嫌いなんやと思ってたけど、そういう訳でもないみたい。特にジジの話とか全然せぇへんから、嫌いなんやと思ってた。
「ジジとも仕事した事あるんやろ?」
「あるけど」
「ジジはルノの事、なんか言うてなかったん?」
単純に気になっただけやってんけど、ミランダは意外と真面目に思い出してるみたいやった。ジジの事やから、どうしようもない弟がどうのって言うたんかと思ってんけど。
「片付けがあんまりにも出来ひんから、家でどうしてたんか聞いた事があったな」
「ルノがやってたんやろ」
「そう。あれにはビビった」
思い出したくない事って訳でもないらしい。楽しそうにミランダは笑った。
「詳しく聞いたら、部屋の片付けも全くダメで、最終的には週に二回ハウスキーパーを雇う事になってんで。凄ない?」
「支部でも、ルノがジジの部屋の掃除で大喧嘩した」
「悪いけど、あれだけはジジが悪いと思うわ。ルノは凄いと思ったもんな」
「そんなに酷かったん?」
「酷かったよ。足の踏み場がなかったもんなぁ」
あれだけルノの事を、クソガキだのなんだの言ってたのに、ルノの肩を持つんやな。コンテナの中で話した時にも思ったけど、ルノの事がホンマに嫌いって訳やないんちゃうかな。なんでなんかは知らんけど、ミランダはルノの事を思い出しても嫌な顔はせぇへんから。
それならなんで、わざわざルノの事を罵ったりしたんやろ? クソガキって思ってもない事を言うた事になる。そんなん、ケガするって分かってんのに言う必要なかったんやないの?
考えても全然分からんから、オレは黙ってミランダの横顔を見てた。
「ダンテはジジの部屋、見た事ないん?」
「そう言えば見た事ないかもしれん」
ジジって女の人やし、勝手に部屋に入るのもマズいやん? だから入った事がない。確かに取っ組み合いの喧嘩を始めた時に、止めに入った。でもあの時はルノとジジしか見えてなかったもん。部屋の状態なんか見てなかった。
ルノがキレるほどって、相当酷かったって事やろ? 理由はよく分からんかったけど、ゆりちゃんが同情するレベルで。食堂のおばちゃんがなんであんなに真剣に、片付けろって言うたんかは知らんけど。
「ミランダは見た事あんの?」
「あるよ」
ミランダはちょっと不思議そうな顔をした。
「てっきり支部の仮眠室もゴミ溜めにしたかと思ってんけど」
「まあやったんやけど、自分で片付けるように怒られたから」
あの後、片付いたっていうジジの部屋を見たヴィヴィアンは、全然やったって言うてた。結局掃除を手伝ったって言うてたけど、そんなに酷かったんかな。
オレにも見せてって言うてみるべきやったか。ちょっと気になる。でも失礼すぎるよな、そんなん言うの。
「自分で片付けられへんやろ? そういう病気なんやから」
「そっか。そこまでは知らんかった」
「あの子、支部でもジジの部屋の片付けさせられてたん?」
「いや。結局片付けしたんはジジとヴィヴィアンやから、ルノはやってない」
そうかよかったって、ミランダは優しい目をして笑った。
その顔はなんか凄く大人っぽく見える。でも確かミランダってルノと同じくらいの年齢やった筈やのに。今はもっとずっと大人っぽく見える。オレよりもずっと上かなって思うくらい。
でも工作員やもんなって、ちょっと思った。
ジェームスやヴィヴィアンが年齢を誤魔化して、潜入してるん見た事あるもん。多少やったら化粧とかで分からんようにしてた。だから、ミランダも今の年齢がホンマかなんて分からへん。誤魔化す必要があったんかも、ちょっと分からへんけど。
そんな事を考えてたらケイティが戻ってきた。ひょっこり顔を出すと、中に入ってくる。そのままミランダの横に座った。
「お待たせ。ところで、そこに携帯はない? どこかに忘れちゃったみたいなの」
「ここにはないですよ」
ミランダは辺りを見回してから答えた。
ちょっとドキッとしたけど、オレは出来るだけ普通のフリして辺りを見回した。ゆっくり息をして、なんの事?って笑う。流石にもう逆探知は出来たと思うけど、それでも時間を稼ぎたかったから。
ケイティはそうって呟くと、運転手に向かって何か言うた。車はすぐに走り出して、大きい道路に出た。
ミランダはケイティと少し話した。でも多分フランス語。全然分からんかったから。きっとオレに聞かれたくないような事を言うたんやと思う。でも二人は笑ってたから、よぅ分からん。
オレは外を見ながらぼんやり、昼ご飯は何かなって考える事にした。お腹すいてんもん。
肉が食べたいっていうミランダの気持ちが分かる。オレも食べたい。行った事ないけど、ジェームスが美味しいって言うてた吉野家に行ってみたい。美味しいんかな? 昔、コンドルが美味しいって言うてたけど、まだ行った事がないままや。
お昼、お肉やろか?
ぼうっとしてたら、急にケイティに声をかけられた。
「煖はマックがいいって本当?」
振り向いて、出来るだけ笑顔で頷いた。ぶっちゃけなんでもええ。人目につくところに出られるんやったら。
「別になんでもいいのよ?」
「マクド好きやから」
ケイティはちょっと困った顔をした。
「美味しい物、全然食べられなかったの?」
何をどう勘違いしたんか、ケイティはそう言うた。ちょっと悲しそうな顔をしてて、オレの事をじっと見てる。
別に、美味しい物をなんも知らん訳やないんやで? ジェームスとヴィヴィアンがいろんなところに連れて行ってくれるもん。いろんな国のお土産かてもらった。まあ、一番美味しかったんは、支部を出て初めて行ったマクドやったけど。それにルノの料理かて、いっつも美味しいのが出てきた。
ちょっと考えた。
もしかしたらここは可愛らしく甘えてほしかったんかもしれん。でもフランスにどんなものがあるんか分からへんねから、別にマクドでもええと思うんやけどな。
「何がおすすめ? オレ、フランスに何があるか分からへん」
「そうね。フランスじゃあまり外食なんてしないけど、ガレットとか美味しいわよ」
「ケイティさん、肉がいいです」
ニコニコしてたケイティに、ミランダがそう言うた。オレもお肉の方がいいな。ガレットが何か知らんけど。
「じゃあステーキかしら」
「ステーキがいいです」
そんなに肉に飢えてるんか、ミランダは真剣な顔をして頷いた。オレはまだそこまで肉ってなってないんやけどな。いっつも肉ばっかり食べてたんかな? それとも、単純に肉食系なだけ? 多分意味が違うやろけど。
「オレもお肉食べたい」
ケイティに向かって笑うと、オレは握ってたペットボトルからまた水を飲んだ。やっぱりちょっと嫌いな味がする。でも元気な状態やないと、いざという時に動かれへんかもしれん。我慢や我慢。
ケイティはしばらく行ったところで、運転手に言って車を止めた。
「ダンテって、嫌いなものある?」
「特にない」
「飲み物は紅茶でいいかしら?」
「うん」
ケイティは分かったって返事をすると、車を降りて行った。
よく見たら、後ろにジープみたいなごっつい車が止まってる。いかつい人が乗ってるみたいや。そこに向かって何か言うと、すぐに戻ってきた。
どうやらケイティの手下はそっちに乗ってるらしい。そこから優しそうな顔をした普通の人が降りて行くと、近所のパン屋に入って行った。
「携帯がないと不便ね」
ケイティはそう笑うと、腰の辺りを叩いた。多分、オレが屋敷のトイレに置いてきた携帯電話を探してるんやと思う。あんまり見てたらバレるかと思って、オレはそのまま外に視線をそらした。
しばらくすると、さっきの人が袋を持って戻ってきた。なんか紙袋をいくつか抱えてる。そのうちの二つをケイティに渡すと、何かを言うて去って行った。
「好きなの選んでいいわよ」
ケイティはそう言うと、目の前の小さいテーブルに紙に包まれたフランスパンを置いた。なんか挟まってるらしい。うっすら見えるけど、多分どれもお肉なんやと思う。
「オレ、どれでもいいや」
だって見分けつかへんねんもん。
ミランダはその中で一番分厚そうなのを選んだ。ケイティは緑色っぽいやつ。多分野菜なんちゃうやろか。だから残りの一つをオレはもらった。
広げてみると鶏肉がいっぱい挟まってる、半分くらいに切ってあるフランスパンやった。サンドイッチになってるらしい。めちゃくちゃ具沢山で、美味しそうや。
食べようとしたら車はまた走り出した。
ミランダはステーキみたいな分厚い肉が挟まってるやつを食べてる。めちゃくちゃ美味しそうやけど、オレには絶対に多いなって感じのサイズやった。それを黙ってモリモリ食べてる。
紙コップも目の前に置かれた。
ちょっと残念。外には出してくれへんかったから。てっきり普通に外食が出来ると思ってんけど、そういう訳やないらしい。まさか普通にサンドイッチを渡されるとは思ってなかった。
オレは黙ってサンドイッチを食べながら、外を眺めてた。
人と一緒に食べてるとはいえ、やっぱり美味しくない。このサンドイッチがマズい訳とちゃうけど、ジェームスやヴィヴィアンと食べるのとは全然違う。ルノと食べてた時とも違う。味気なくて、寂しい。
帰りたいな。早よ大阪に戻りたい。
帰ったら吉野家に連れて行ってもらおう。美味しいの、みんなで食べるんや。絶対に諦めへんで、オレ。
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