第35話 四人の冒険者②

村の防衛を引き受けたヤヒス達は、村人に指示を出したり武器の扱えそうなものを集めていた。


ヴィーシャが剣を研いでいるところにヤヒスがやってきた「調子はどう」とヤヒスが声をかける。




「人間なんて脆いものよ、魔物の方がよほど手強いわ、それも武器で脅してくるようなセコい盗賊なんてね」


彼女は自信満々の様だ。




パムは自分の持ち場に椅子を置いて座り込んでいる。


「緊張している?」とヤヒス。


「私は補助魔法を使うだけ、攻撃するのは村人だからね。


こちらも余裕があるようだ。




ミードリはまだ村人と何事か話しあっている。




ヤヒスも村の中を見て周っている。




しばらくすると板切れを叩くかん高い音が聞こえた。


「敵襲!」


ヤヒスは駆け出しまずはヴィーシャの所へ向かう。


彼は魔石を取り出して彼女の鎧に魔石を当てて叫んだ。




「結合!ワイルド・コッカー!」


ヴィーシャの身体が光り輝く


次に剣に魔石を当てて叫んだ


「結合!オオツメカワウソ!」


結合スキルを利用した、魔石の特性付与である。




次にパム。


「結合、ロックトータス!」


彼女の身体もまた光り輝く。




ミードリのロッドにはオオツメカワウソの特性を乗せて、自分の服にワイルドコッカーを、最後に自分のショートメイスにミドルスネークの特性を乗せた。




まず最初にヴィーシャの持ち場に盗賊がなだれ込んできて、一気に押し包もうとする。


だが、ヴィーシャは全ての攻撃を目に見えない速さでかわす。


ワイルド・コッカーの特性だ。


そしてかわす端から剣を叩き込んでいく。




オオツメカワウソの特性で攻撃は三又に分かれ、盗賊たちを一気に倒していく。




ミードリは戸板を超えてくる盗賊に火炎魔法を放つ、三又に分かれ、通常より大きな火炎が盗賊たちを一気に飲み込み、連打をすることで阿鼻叫喚と化している。




パムの持ち場には素早く入り込んだ盗賊が、彼女に向けて槍を突き出した。


「ガキィン」パムに届いた槍は折れてはじけ飛ぶ。


ロックトータスの特性だ。


「いま」パムはそう言うとフラッシュのスキルを放ち盗賊に目くらましをかける。


「うぉおおおおお」


そこに村人たちが推し寄せて、鍬やすきで盗賊を滅多打ちにしていく。




ヤヒスはどうなったのか。


彼の前には巨体の盗賊が立ちはだかっている、盗賊は大きなこん棒を振りまわして攻撃してくる。


「クソ!当たらねぇ!」ワイルド・コッカーの特性が乗ったヤヒスは攻撃を素早く避けてメイスを叩き込んでいるがあまり効果が無い。




「いくら早くても、俺にはプロテクの魔法がかけられているんだ!なにも痛くないぜ!」




「そうか、なるほど」そう言ったヤヒスは叫ぶ


「剥離!」


剥離の効果によってプロテクの魔法は引き剥がされる


そこへヤヒスが盗賊の膝にメイスを叩き込む


ベキリと言う音とともに膝の皿が割れる。




巨体の盗賊は転げまわっている。後ろに控えていた数人の盗賊はうろたえている。


そこにメイスを鞭のようにしならせてまとめて打撃を叩き込む。


ミドルスネークのしなやかな特性が付与されている。


同じように打撃を叩き込むと、盗賊たちは起き上がらなくなった。




「全員倒したようね」


後ろからヴィーシャが声をかけてくる。


「みなさん、ロープを、盗賊を全員縛り上げましょう」


ミードリは叫んでいる。




パムも近づいてきたので声をかける。


「大丈夫だったか」


「攻撃してきた盗賊の槍が私に当たって折れた、なんともないよ」




「ロックトータスの硬さはえげつないわね」


「避けた方が良かったんじゃ」


とヤヒスが言うと。


「これまでの結合スキルを見て、ロックトータスの硬さを計算すると余裕であると判断出来たからね。




村全体の騒ぎが収まりつつある頃、四人は麦わらの束にに座り込み村の様子を見ていた。


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