第31話 魔物の特性

オオツメカワウソとの戦闘。


例のとおりにパムが支援魔法をかける。




次にミードリが火炎魔法を放つが、いつもと違う放出であった。


通常は火球がひとつ放出されるが、今日は炎が鎌のような形で三つに分かれて鋭く放出された。




それは魔物の群れにまどり込み、身体を切り裂きつつ炎上し次々と塵になって消える。


ミードリはひどく驚いた様子で、ロッドを見つめている。


ほぼ同じタイミングで、ヴィーシャが三体のオオツメカワウソに斬り込むと、斬撃が三つの黒い刃と化し、二体の魔物を寸断した。




彼女は止まることなく次の魔物に挑んでいく」


「ダブルスラッシュ!」斬撃が二回繰り返されるスキルだ。




だが、二回ではなく六個の黒い刃が飛び出して、魔物の群れを襲った。


その場にいた魔物は全て塵と消える。




「なにこれ!すごいじゃない、ヤヒス何したの!?」


ミードリも同じように何が起こったか聞いてくる。




「しばらくスキルを研究していたんだ、そしたら魔法付与ってスキルがあることを知ってさ、武器を火属性とか色々変えられるだろ?だったらオレの結合でも出来るかと思って」




「オオツメカワウソの特性が武器に付与されたと言うことですか」


ミードリが興味深そうに聞いてくる。


「そうだと思う、アイツらの特性は大きな爪だろ?それが武器にのったんだとおもうよ」




「と言うことは色々な魔物の特性を武器や防具に付与出来るってことになるのね」


ヴィーシャが驚いている。


「これが初めてだから、どうなのか良くわからないけどね」


ヤヒスは半笑いで頭をかいている。


「それに効果は一時的なものだと思うよ、あっほら、剣の色が戻って行くだろう」




ヤヒスは小川に走って行ってオオツメカワウソの魔石を拾い集めている。


他のメンバーはそれをぼんやり眺めている。


「これからは魔石を全部ギルドに出さないでいくつか残した方が良いかもしれないね」


ヤヒスが戻ってきつつ声を出す。




「ヤヒス、結合スキルってこんなことも出来たの」


ヴィーシャが顔を近づけてくる。


ヤヒスは顔を赤らめて言った。




「やる機会が無かったからわからないけれど、多分女神像を修復した時に能力が追加されたんだと思うよ、女神さまはそのようなことを言っていたし」




「私のロッドにも付与できるの」


とパムが興味津々で聞いてくる。


「補助魔法は、そうだな、魔法を使う魔物の魔石なら効果が相乗されるかもしれないね」


「攻撃系の特性を乗せてもあまり意味ないってことね」


ヴィーシャがうなづいている。




パーティーに新たな戦法が追加されたことで、よりレベルの高いクエストを達成できるだろう。


四人は王都に戻りつつどんな魔物が攻撃や防御に適正か話しながら歩いて行った。

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