路上占い、あれこれ㉚【占い師は心霊体験をする】

崔 梨遙(再)

たったの1650文字ですよ!

 若い頃は、よく3連休に、2泊3日の1人旅をしていました。各停に乗って、気に入った景色があればそこで降りるんです。知らない街を歩くだけでも新鮮な気分です。ですが、田舎ですから人通りは少なく、『流石に、ここで路上占いをやっても客は来ないだろうなぁ』というくらいの田舎町です。山とかがあれば、僕はスケッチしたりしていました。


 楽しいのですが、あるのです! 終電がめっちゃ早い駅! 僕は或る街で終電を逃しました。1軒だけ、ビジネスホテルがありました。チェックインしようとしたら、なんと満室! 僕は『じゃあ、野宿するしかないかぁ』と思いましたが、支配人が提案してくれました。


「普段、使っていない部屋でよろしければ」

「はい! そこで構いません」


 普通の部屋でした。僕は風呂に入ってスグにベッドに入りました。


 そして深夜、僕は目を覚ましました。そして、自分が金縛りに遭っていることがわかりました。ですが、金縛りは怖いものではありません。僕はボーッと横になっていました。すると、(僕のベッドは右端なのですが)壁から白装束の髪の長い女性がニューッと入って来ました。女性は宙に浮いています。そして、ゆっくりと僕の上を通り過ぎて、反対側の壁へ消えていきました。そこで、僕は気を失いました。


 朝、目覚めると何事も無かったようでした。『ああ、変な夢を見たなぁ』と思い、左側の壁を見ると、黒い長い髪が何本も貼り付いていました。ここで、その髪を採取してどこかの研究所へ持って行けば良かったのかもしれませんが、気持ちが悪くて髪の毛を触ることが出来ませんでした。


 チェックアウト時、支配人に


「あの・・・あの部屋って何かあるんですか?」


と聞こうとしたら、


「しっ! お代は返しますので、このことは内密に」


と言われました。




 そんなことも忘れた頃の、3連休の1人旅。僕はまた終電を逃しました。駅前にビジネスホテルは1軒だけ。そして、言われました、『満室』です。更に支配人に言われました、『普段、使っていない部屋でよければ』、はいはい、それでいいですよ。


 そしてまたまた夜中の金縛り。『もう、なんでもいいから出て来いよ』。


 すると、チュパチュパと音がします。そして下半身がスースーします。そして、少しヒンヤリ、柔らかくて気持ちいい感触。


 首が動かないので、目だけで下半身を見ました。長い髪が上下運動しています。こ、こ、これは! お口でご奉仕されている-! 僕はビックリしましたが、落ち着いてくると下半身が気持ち良くて、『相手が幽霊でもなんでもいいや』という気分になり、快感に身を任せて、やがて僕は果てました。そこで僕は気を失いました。


 朝、僕はパンツははいていましたが、ベッドの上に長い黒い髪が何本も! 


「すみません、あの部屋って・・・」

「しーっ! お代は返しますから」


『また、それかい!』




そんなことも忘れた頃の、3連休の1人旅。僕はまた終電を逃しました。駅前にビジネスホテルは1軒だけ。そして、言われました、『満室』です。更に支配人に言われました、『普段、使っていない部屋でよければ』、はいはい、それでいいですよ。


 そしてまたまた夜中の金縛り。『もう、なんでもいいから出て来いよ』。


 すると、下半身が妙に気持ち良いことに気付きました。そうです、白い着物の女が僕の上にまたがっているのです。『今度は本番かよ! とうとう来たか? この日が!』女性は白い着物を脱ぎました。色白でスタイル抜群。僕は腹を括りました。『こうなったら、最後までいくしかない!』。ただ、僕は彼女の顔を見たかったのです。俯き加減に長い黒髪、顔が隠れて見えません。僕も彼女も気持ち良くなって、果てた時に一瞬だけ彼女の顔が見えました。残念! 『え! 幽霊って、みんな美人じゃないの? 美人じゃない幽霊もいるの?』と思ったらスグに気を失いました。


 そして、翌朝、また布団には長い黒髪。


「すみません、あの部屋って・・・」

「しーっ! お代は返しますから」


『また、それかい!』



 そこで僕は考えた。あの幽霊さんも、僕の経験人数に含まれるのだろうか?







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路上占い、あれこれ㉚【占い師は心霊体験をする】 崔 梨遙(再) @sairiyousai

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