〜闇姫編〜 第18話 オカルト研究部
私立夢島高等学校、旧校舎2階、そこに部員が2名しかいないとオカルト研究部がある。
ガラッと部室の扉が開き、入ってきたのは茨野塔子だった
「す、すいません…お、遅くなり…」
先輩、まだ来てないみたい。ちょうどよかった…もう一回会話のシミュレーションしとこう…
まずは世間話から、そこから段々とデートのことを…そんなことを考えていると、もう一度部室の扉が開いた。
「ごめん、遅くなった…あれ、もしかして、塔子さんもいま来たところ?」
この人が私の想い人、
茶髪をきれいにセンターで分けた髪型が印象的で、私よりもだいぶ身長は低いが、大人びた印象を受ける。
「は、は、はいい…」
たくさんシミュレーションしたけど…いざ、対面すると、いつも以上にキョドってしまった。
「ははは、ごめんね、驚かしちゃって」
「い、いえ…」
心を落ち着けて、私は椅子に座る。雄二先輩も続いて、私の対面に座る。
そして私は、シミュレーション通り世間話から始めようとする…
「この前のデート、どうだったんですか?」
「え…?デート?」
やってしまった…聞きたいって気持ちが先行しすぎた…先輩も、なんでそんなこと聞いてくるんだって思ってるよ絶対!
「もしかして、
「え…?違ったんですか?」
「うん、アイツとはただの腐れ縁でさ、三年間クラス一緒で、仲は良いけど…恋愛感情とか一切ないんだよオレたち」
え…それ、デートじゃないの?意識してなかったら…異性でもデートにならないの?
世間知らずの私には全然わからない…
「そ、そうなんですね…」
「そうなんです…そんなことよりさ、今日はとっておきのネタ、持ってきたんだよね」
先輩は興奮気味に私の方へ身を乗り出す
「ほう…とっておきのネタ…ですか」
机に肘をつき、キリッとした表情で返す。
「なんとこの学校に、まだオレたちの知らない怪談があったんだよ…」
「ソースは…」
「まあ、ソースとか良いじゃん…」
先輩は冷や汗ダラダラって感じで目をそらす。
「いや、大事ですよ!この学校で、私たちの知らない怪談なんてもう残ってるわけないじゃないですか!」
「いやいや、それがあったんだって!」
「どうせ先輩が適当に作ったんじゃないんですか?」
「・・・。」
冗談で言った一言に、先輩はうつむき、黙ってしまった。
「図星なんですか!?」
「でも、面白いから!」
「関係ないです…」
らしくもなく声を荒げて、もうデートの事なんてすっぽりと頭から抜けていた。
先輩とオカルト話をしている時だけはいつも自然体でいられる。
はあー本当に楽しい…本当に…好きだなあ…
「良いじゃん別に…怪談なんて、全部作り話なんだし」
「先輩…ほんとにオカ研の部長ですか?」
先輩はオカルトが好きなのに、あまり信じてはいないという変わった人だ。
信じない人の気持ちはわからないでもないけど、もしかしたら本当にいるかも、あるかもって思うのが楽しいのに…
「前にも言ったでしょ、妖怪もUMAも宇宙人も、全部作り話だから面白いんだよ。どうして生まれてきたのかとか、どうして広まったのかとか、そういう時代背景が興味そそられる」
「へえーそうですか」
「この話の時だけ、いっつも塩すぎるよ…」
ガックリと肩を落とす姿が私の目には可愛く映る。
どんな姿でも魅力的に映ってしまうなんて、前の彼氏には抱かなかった感情…これが本当の恋なんだって思ったら、やっぱり前の彼氏には悪いことしちゃったなって思う。
この熱い気持ちをいずれちゃんと伝えます…過去を乗り越えられたら必ず…
それまで待っていてほしいなんて言えないけど…待っててくれたら…
嬉しいな…
なんてね…
歌姫系男子との恋は試練が多い @toki_77
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