英雄譚として始まりながら、その内側には痛烈な後悔と喪失が刻まれている作品です。
近衛騎士アーサーの視点で語られる物語は、魔王との戦い、姫クローディアとの関係、そして国を興すまでの流れに王道ファンタジーの熱さがあります。
しかし本作の魅力は、ただの英雄物語で終わらないところ。手に入れた平和、家族、国、そのすべてが再び理不尽な存在によって蹂躙される展開には強い衝撃があります。
アーサーの中に宿る黒い力、セラフィエルの圧倒的な存在感、そして「魔王より上位の何か」が現れたことで、物語のスケールが一気に広がります。
愛と論理、神話と復讐が交差する、先が気になる重厚ファンタジーです。